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39話 一触即発
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「……なによ、これ」
「きしゃぁ……」
「1階層に湧くモンスター……ってわけじゃないですよね」
階段を登り終わると、いつものスライムやアルミラージではなく、ナーガやポイゾナスサーペント等へび系のモンスターがそこら中に蔓延っていた。
どれも召喚師に召喚されたモンスターのようだが……。
「――そうだ、もっと喰え! 俺のために経験値をかき集めろ! 倒せないやつがいるなら仲間を召喚してやる! 俺のスキルは覚醒した! 枠はほぼ無限!魔力も恵んでもらえる!だから好きなだけ暴れて暴れて暴れて……俺に殺されろ! あははははははははは!」
林の奥から聞こえる高笑い。
俺の予想通りこの声はあの男のもので間違いない。
「なるほど、あの男がこれを……だけど、これだけのモンスターを召喚できるほどあいつには魔力も実力もなかったはずだけど……」
「俺が魔力を供給して、スキルの拡張を促してやったから。よかったよ、今回も新人の中に召喚師がいてくれて。召喚したモンスターはいい肉壁になるから」
「後ろか、いつの間に……」
「ひなた! 構えて! こいつなにかまずい!」
「はい! ミーク姉さん!」
湧き出る疑問符に頭を傾げていると、誰もいなかったはずの背後から突然低い声が響き聞こえた。
その声の主はただならぬ雰囲気を醸し、微かに殺気を感じる。
荒井さんとは違うタイプだが、この人も間違いなく強い。
「そう身構えるなって。俺は別に君らをとって食おうなんざ思ってないから。それどころか俺は俺で新人の召喚師の育成に手を貸してやってるんだぜ、ほら2階層で荒井がやってるみたいにさ」
「それは【波】のため、でいいんだよな?」
荒井さんには勝手に敬語が出るのに、この男に関してはどうしても敵意を向けてしまい口調も悪くなってしまう。
育成なんて言ってるが、なにか悪意があるようにどうしても感じてしまう。
「もちろんもちろん。俺だって上層に強力なモンスターがやってくるのはまずいと思ってて、だからこそ召喚師の力でモンスターや亜人っていう、人じゃない存在に俺たちの代わりを担ってもらおうってわけだ」
男が悪びれる様子もなくそう言葉を紡ぐとミークがギリギリと歯をこ擦り合わせる音を立て、苛立ちを露にした。
きっとモンスターも亜人もどこか別の世界に自由や理想を持ってこの世界に召喚されている。
それをその希望をないがしろにするような、差別的発言はミークの逆鱗に触れてしまったらしい。
「……。亜人だって、召喚された知性のあるモンスターだって当然意思がある。それを捨て石同然に思うのはどうかと思うわ。正直に言って気に食わない」
「それは君が亜人で、あの【波】を経験していないから出る言葉だと思うな。君もあの惨劇を見たら俺のやり方に同意してくれるはずだよ。それに亜人はともかくとして、モンスターなんて殺されて当たり前の存在なんだからそう怒ることもないでしょ。あっ!そこにいるやつ……そいつ大分経験値を取得して肥えてたはずのやつじゃん。あいつのとこに連れて行って経験値になってもらおうか」
男は恐ろしいほど静かに俺たちの元に寄り、足元にいたモンスターを拾い上げようとしたのだが……
「その子どうするつもりかしら?」
「……。それを聞いてどうするのさ? 君たちには関係ないはずだよね? ……。もし邪魔をするっていうならちょっと黙ってもらうことになるよ」
そんな男性の首元にミークは槍を突きつけ、辺りは一触即発、あっという間に荒々しい殺気で満ちてしまった。
「陽一! ひなた! あなたたちも加勢して!」
「きしゃぁ……」
「1階層に湧くモンスター……ってわけじゃないですよね」
階段を登り終わると、いつものスライムやアルミラージではなく、ナーガやポイゾナスサーペント等へび系のモンスターがそこら中に蔓延っていた。
どれも召喚師に召喚されたモンスターのようだが……。
「――そうだ、もっと喰え! 俺のために経験値をかき集めろ! 倒せないやつがいるなら仲間を召喚してやる! 俺のスキルは覚醒した! 枠はほぼ無限!魔力も恵んでもらえる!だから好きなだけ暴れて暴れて暴れて……俺に殺されろ! あははははははははは!」
林の奥から聞こえる高笑い。
俺の予想通りこの声はあの男のもので間違いない。
「なるほど、あの男がこれを……だけど、これだけのモンスターを召喚できるほどあいつには魔力も実力もなかったはずだけど……」
「俺が魔力を供給して、スキルの拡張を促してやったから。よかったよ、今回も新人の中に召喚師がいてくれて。召喚したモンスターはいい肉壁になるから」
「後ろか、いつの間に……」
「ひなた! 構えて! こいつなにかまずい!」
「はい! ミーク姉さん!」
湧き出る疑問符に頭を傾げていると、誰もいなかったはずの背後から突然低い声が響き聞こえた。
その声の主はただならぬ雰囲気を醸し、微かに殺気を感じる。
荒井さんとは違うタイプだが、この人も間違いなく強い。
「そう身構えるなって。俺は別に君らをとって食おうなんざ思ってないから。それどころか俺は俺で新人の召喚師の育成に手を貸してやってるんだぜ、ほら2階層で荒井がやってるみたいにさ」
「それは【波】のため、でいいんだよな?」
荒井さんには勝手に敬語が出るのに、この男に関してはどうしても敵意を向けてしまい口調も悪くなってしまう。
育成なんて言ってるが、なにか悪意があるようにどうしても感じてしまう。
「もちろんもちろん。俺だって上層に強力なモンスターがやってくるのはまずいと思ってて、だからこそ召喚師の力でモンスターや亜人っていう、人じゃない存在に俺たちの代わりを担ってもらおうってわけだ」
男が悪びれる様子もなくそう言葉を紡ぐとミークがギリギリと歯をこ擦り合わせる音を立て、苛立ちを露にした。
きっとモンスターも亜人もどこか別の世界に自由や理想を持ってこの世界に召喚されている。
それをその希望をないがしろにするような、差別的発言はミークの逆鱗に触れてしまったらしい。
「……。亜人だって、召喚された知性のあるモンスターだって当然意思がある。それを捨て石同然に思うのはどうかと思うわ。正直に言って気に食わない」
「それは君が亜人で、あの【波】を経験していないから出る言葉だと思うな。君もあの惨劇を見たら俺のやり方に同意してくれるはずだよ。それに亜人はともかくとして、モンスターなんて殺されて当たり前の存在なんだからそう怒ることもないでしょ。あっ!そこにいるやつ……そいつ大分経験値を取得して肥えてたはずのやつじゃん。あいつのとこに連れて行って経験値になってもらおうか」
男は恐ろしいほど静かに俺たちの元に寄り、足元にいたモンスターを拾い上げようとしたのだが……
「その子どうするつもりかしら?」
「……。それを聞いてどうするのさ? 君たちには関係ないはずだよね? ……。もし邪魔をするっていうならちょっと黙ってもらうことになるよ」
そんな男性の首元にミークは槍を突きつけ、辺りは一触即発、あっという間に荒々しい殺気で満ちてしまった。
「陽一! ひなた! あなたたちも加勢して!」
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