25 / 53
25話 視線の人物
しおりを挟む
「ぐ、あ……」
『レベルが【51】に上がりました。ミークのレベルが【47】に上がりました。主の武器登録が開放されました。登録された武器は――』
「一点突破、むやみやたらに攻撃を繰り出すんじゃなくてどこの部位、どういった角度、どういった状況が相手に有効なのか考え、窮地に立ってもその思考を持つ。それこそがレベルアップ以外で攻撃力を高められる基礎パッシブスキルを取得できる鍵。2つとも同じように意識的に戦闘を繰り返すことでレベルを上げられるから、私と戦う時も今の意識を忘れないように。さて、ちょっと疲れたし休憩でもしているといい。階層主以外は私の殺気で殆ど動けないからここは安全、だと思う」
レベルアップのアナウンスをかき消すほど大きな声で、荒井さんは条件に付いて説明。
その後大きな音を立てて倒れたグラデビーパを見た荒井さんはどこか満足気な表情をすると、倒れている探索者を3人ほど抱きかかえて俺たちのもとを離れた。
あの人たち、まだまだ回復できてないのにまた特訓か……。
今日のことがトラウマにならなければいいけど。
「にしても……。指導の腕は確かだよな、荒井さん」
「悔しいけど強くなるために多分、貴重な情報を与えてくれてるのよね? ま、だからと言って当初の目的、あいつからモンスターの素材をたんまり奪ってやろうって気持ちは変わらないけど」
ミークはユニークスキルのおかげでもう痛みが引いているようだ。
奪ってやろうってのはちょっとあれだけど、この調子で強くなったとしたなら5段階ってのも思ったより早い段階でどうにかなるかもな。
「それじゃあ恒例のアレといきましょう!」
「……。そっか。そうだよな。折角荷物も持ってきたし――」
「まって! また視線が……。こっちね! あ、荷物は置いておくから!」
新しく解放された武器登録については木になるところだが、今はご褒美タイム兼レベルアップを楽しもう! と思っていると、またあの視線。
ついに痺れを切らしたのか、ミークはその視線の主を探しに走り出した。
ユニークスキルの性質上そうなるのは当然だけど、あいつ本当に元気だな。
「……。もう視線のことは任せて、俺は調理に入るか。今日はガス使えるからこれをセットして……。よし、『料理強化』発動」
『食材ランクC+、クラデビーパを確認。予想バフ、しめりけ。水魔法の効果を少し高めます』
「魔法強化系のスキルか……。正直外れだな。しかも食材ランクはミノタウロスと同じかぁ」
『バフの効果が低い代わりに得られる経験値が多めになっています。同じランクでも食材によってそういった特色があります』
「なるほどな。特定のバフを狙うか、それとも経験値を狙うか、そんな狩りの仕方、考え方ができると。なんかMMORPGみたいなノリだな。まぁいいや。とにかくこの素材から2人前を――」
「捕まえてきたわよ! こいつ! こいつが私たちのことずっと見てたのよ!」
「は、ははははは、離してください! 別に攻撃したり、盗んだりしたいわけじゃないですから! ただちょっと観察して、荒井さんに特別扱いされるためにどうしたらいいのかって考えてただけですから!」
「いやいやいや、だからって俺の家まで来るってもう行動がストーカーだからって……。昨日の剣士の人?」
ミークがひっ捕らえてきたのは昨日勇敢に荒井さんに挑戦した剣士?の女性。
動きはいいと思っていたけど、なんか問題がありそうだなっておもってたけど……もう2階層まで来れたのか。
「あっ! それ、モンスターを料理するんですよね? その、良ければ私にもそのお恵みを……」
「あなたよくそんなことを堂々と――」
「お、お金なら払いますから! いくらですか? 10万円ですか、20万円ですか? きょうは手持ち100万円しかもってなくて――」
「オッケーオッケー! この子の分も作って頂戴陽一!」
金で証を手に入れたか。それなら納得……ってミークまで金に釣られてるし。
貧乏店のせいで金にうるさくなった葵の性格が移ったか?
『レベルが【51】に上がりました。ミークのレベルが【47】に上がりました。主の武器登録が開放されました。登録された武器は――』
「一点突破、むやみやたらに攻撃を繰り出すんじゃなくてどこの部位、どういった角度、どういった状況が相手に有効なのか考え、窮地に立ってもその思考を持つ。それこそがレベルアップ以外で攻撃力を高められる基礎パッシブスキルを取得できる鍵。2つとも同じように意識的に戦闘を繰り返すことでレベルを上げられるから、私と戦う時も今の意識を忘れないように。さて、ちょっと疲れたし休憩でもしているといい。階層主以外は私の殺気で殆ど動けないからここは安全、だと思う」
レベルアップのアナウンスをかき消すほど大きな声で、荒井さんは条件に付いて説明。
その後大きな音を立てて倒れたグラデビーパを見た荒井さんはどこか満足気な表情をすると、倒れている探索者を3人ほど抱きかかえて俺たちのもとを離れた。
あの人たち、まだまだ回復できてないのにまた特訓か……。
今日のことがトラウマにならなければいいけど。
「にしても……。指導の腕は確かだよな、荒井さん」
「悔しいけど強くなるために多分、貴重な情報を与えてくれてるのよね? ま、だからと言って当初の目的、あいつからモンスターの素材をたんまり奪ってやろうって気持ちは変わらないけど」
ミークはユニークスキルのおかげでもう痛みが引いているようだ。
奪ってやろうってのはちょっとあれだけど、この調子で強くなったとしたなら5段階ってのも思ったより早い段階でどうにかなるかもな。
「それじゃあ恒例のアレといきましょう!」
「……。そっか。そうだよな。折角荷物も持ってきたし――」
「まって! また視線が……。こっちね! あ、荷物は置いておくから!」
新しく解放された武器登録については木になるところだが、今はご褒美タイム兼レベルアップを楽しもう! と思っていると、またあの視線。
ついに痺れを切らしたのか、ミークはその視線の主を探しに走り出した。
ユニークスキルの性質上そうなるのは当然だけど、あいつ本当に元気だな。
「……。もう視線のことは任せて、俺は調理に入るか。今日はガス使えるからこれをセットして……。よし、『料理強化』発動」
『食材ランクC+、クラデビーパを確認。予想バフ、しめりけ。水魔法の効果を少し高めます』
「魔法強化系のスキルか……。正直外れだな。しかも食材ランクはミノタウロスと同じかぁ」
『バフの効果が低い代わりに得られる経験値が多めになっています。同じランクでも食材によってそういった特色があります』
「なるほどな。特定のバフを狙うか、それとも経験値を狙うか、そんな狩りの仕方、考え方ができると。なんかMMORPGみたいなノリだな。まぁいいや。とにかくこの素材から2人前を――」
「捕まえてきたわよ! こいつ! こいつが私たちのことずっと見てたのよ!」
「は、ははははは、離してください! 別に攻撃したり、盗んだりしたいわけじゃないですから! ただちょっと観察して、荒井さんに特別扱いされるためにどうしたらいいのかって考えてただけですから!」
「いやいやいや、だからって俺の家まで来るってもう行動がストーカーだからって……。昨日の剣士の人?」
ミークがひっ捕らえてきたのは昨日勇敢に荒井さんに挑戦した剣士?の女性。
動きはいいと思っていたけど、なんか問題がありそうだなっておもってたけど……もう2階層まで来れたのか。
「あっ! それ、モンスターを料理するんですよね? その、良ければ私にもそのお恵みを……」
「あなたよくそんなことを堂々と――」
「お、お金なら払いますから! いくらですか? 10万円ですか、20万円ですか? きょうは手持ち100万円しかもってなくて――」
「オッケーオッケー! この子の分も作って頂戴陽一!」
金で証を手に入れたか。それなら納得……ってミークまで金に釣られてるし。
貧乏店のせいで金にうるさくなった葵の性格が移ったか?
0
お気に入りに追加
469
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる