8 / 53
8話 テイム
しおりを挟む
「いいですよ。俺実家暮らしで今は部屋も余ってますから」
「ああそう、じゃあ遠慮なく……っていいの? 本当に? というか寝場所までねだったつもりなかったんだけど」
「なんとなく状況を考えたらそこまで必要だろうなって。母もいますし、女性でもある程度安心してもらえるとは思えるんですけど……。嫌なら別に――」
「嫌じゃない! というかこっちの世界でダンジョン外で生活なんて……。外の世界ってやっぱり文献通りなのかしら?」
「文献?」
「ええ。私のいた世界には度々こっちの世界のものが転移されてくることがあって……特に高度な絵によって記されたあの文献はユーモアさえあって……。ってそんなのあなたの方が知ってるわよね」
なんとなくだけど漫画のことか?
あれは基本フィクションだからなぁ。
変な知識ばっかり植えこまれてなければいいけど……。
それと急にテンションが上がったところを見ると、それが召喚に応じた本当の理由の一つだったりして。
「それで依り代ってどうなるんですか?」
「それはもう簡単よ。あなたが私をテイムすればいいだけだから」
「テイム……」
ステータスの欄には記されているけど、実際どうすればモンスターをテイムできるのか未だに判明していない。
こんな簡単に言ってくるけど、勿論俺がその方法を知ってるわけない。
「もしかしてだけどテイムの方法知らないの?」
「……はい」
「こっちだと奴隷文化がないってことかしら? まぁいいわ。テイムはお互いがそれを了承した状態で血を飲み交わせばいいだけ。都合よく私もあなたも傷口があるから……」
「ちょ、ちょっと!」
「あら、ちょっと染みたかしら?」
「そういうわけじゃなくて――」
「なら今度はあなたがここを舐めて頂戴。それでテイム完了よ」
「は、初めてあった人にそんなこと……」
「人、ねえ。あなたのそういう言葉は嬉しいけど、うじうじされるのは嫌い。だ・か・らっ!!」
「もごっ!!」
ミークさんは切り傷があった指を無理矢理俺の口に突っ込んできた。
いくら俺がずぼらな男だからって舐めるのも舐めさせるのもセクハラなんだけど……。
『【獣人族:雌牛型】のミークをテイムしました。ステータス画面からミークのステータスの確認が可能です。今後ミークが取得した経験値の半分の数値が主に即反映されます。また、主の稼いだ経験値の半分の数値がミークに反映されます。これは元々得られる経験値量が減少するというものではありません。ただしそのデメリットとして、お互いに【職業進化】のレベルが引き上げられます。主とミークの間でダメージは発生しません。基本バフの共有が適用されました。経験値取得量増加のバフが重複しました』
バフがまた重複、それに経験値の共有。
料理人に職業進化が適用されるなんてこと自体ほぼ諦めてたことだったから、これだけの恩恵に対してデメリットはそんなに痛くない。
というかこんなに経験値がもらえるなら引き上げられたレベルですらあっという間かもしれない。
「これからよろしくね。そういえば名前は?」
「栗原陽一っていいます」
「陽一ね。私のことはミークでいいわよ。それと呼び捨てで構わないから」
「了解です」
「それで、早速だけど私のステータス見る? 結構強いスキル持ってるのよ、私。それにレベルも上がったばっかりで――」
「多分まだまだ上がるから、その後に確認させてもらうよ」
「え? ……。ああ! これを食べてその分でレベルが上がるって思ってるのね! でも残念。私これでも今時点でレベル6だから、そんな簡単には――」
ミークが全て言い終わる前に俺はミノタウロス串を一口。
その旨味に感動を覚えると同時に再びアナウンスが流れた。
『レベルが【15】に上がりました。ミークのレベルが【11】に上がりました。レベル10を超えたことでステータスボーナス(全能力+100)が得られました。ノーマルスキル:真空波(拳から放たれる真空の波で遠くの敵にダメージを与える)を取得しました。パッシブスキル:食い気(消化が早くなり、腹が減りやすくなる、食べることのできる量が増える)を取得しました』
「――嘘、でしょ? 私、もう11レベル?」
「やっぱりこんなにレベルアップが早いのっておかしい――」
「おかしいに決まってるでしょ! ……。テイムされたけど、召喚師と違って強制的に言うことを聞かせるようなものじゃないから、ぐだぐだ自由にこの世界を楽しもうと思っていたけど……」
「そんなこと思ってたのか……」
「ここまで簡単にレベルが上がるなら、もっともっと強くなって、戦いたいって意欲が……。やっぱり半分モンスターなのね、私」
「それは助かるよ。俺の実家貧乏だからさ。自分の食う分くらいは働いてもらいたいって思ってたんだ」
「え? ……。……。ごめんなさい、この主チェンジで」
『不可能です。それよりもステータスポイントが無振り状態です。ステータスの確認をしますか?』
なるほどミークとはアナウンスも共有できるようになったのか。
なんかこのやり取り3人パーティーみたいになってきてちょっと楽しいかも。
「はは……。はい、じゃあ確認します」
「ああそう、じゃあ遠慮なく……っていいの? 本当に? というか寝場所までねだったつもりなかったんだけど」
「なんとなく状況を考えたらそこまで必要だろうなって。母もいますし、女性でもある程度安心してもらえるとは思えるんですけど……。嫌なら別に――」
「嫌じゃない! というかこっちの世界でダンジョン外で生活なんて……。外の世界ってやっぱり文献通りなのかしら?」
「文献?」
「ええ。私のいた世界には度々こっちの世界のものが転移されてくることがあって……特に高度な絵によって記されたあの文献はユーモアさえあって……。ってそんなのあなたの方が知ってるわよね」
なんとなくだけど漫画のことか?
あれは基本フィクションだからなぁ。
変な知識ばっかり植えこまれてなければいいけど……。
それと急にテンションが上がったところを見ると、それが召喚に応じた本当の理由の一つだったりして。
「それで依り代ってどうなるんですか?」
「それはもう簡単よ。あなたが私をテイムすればいいだけだから」
「テイム……」
ステータスの欄には記されているけど、実際どうすればモンスターをテイムできるのか未だに判明していない。
こんな簡単に言ってくるけど、勿論俺がその方法を知ってるわけない。
「もしかしてだけどテイムの方法知らないの?」
「……はい」
「こっちだと奴隷文化がないってことかしら? まぁいいわ。テイムはお互いがそれを了承した状態で血を飲み交わせばいいだけ。都合よく私もあなたも傷口があるから……」
「ちょ、ちょっと!」
「あら、ちょっと染みたかしら?」
「そういうわけじゃなくて――」
「なら今度はあなたがここを舐めて頂戴。それでテイム完了よ」
「は、初めてあった人にそんなこと……」
「人、ねえ。あなたのそういう言葉は嬉しいけど、うじうじされるのは嫌い。だ・か・らっ!!」
「もごっ!!」
ミークさんは切り傷があった指を無理矢理俺の口に突っ込んできた。
いくら俺がずぼらな男だからって舐めるのも舐めさせるのもセクハラなんだけど……。
『【獣人族:雌牛型】のミークをテイムしました。ステータス画面からミークのステータスの確認が可能です。今後ミークが取得した経験値の半分の数値が主に即反映されます。また、主の稼いだ経験値の半分の数値がミークに反映されます。これは元々得られる経験値量が減少するというものではありません。ただしそのデメリットとして、お互いに【職業進化】のレベルが引き上げられます。主とミークの間でダメージは発生しません。基本バフの共有が適用されました。経験値取得量増加のバフが重複しました』
バフがまた重複、それに経験値の共有。
料理人に職業進化が適用されるなんてこと自体ほぼ諦めてたことだったから、これだけの恩恵に対してデメリットはそんなに痛くない。
というかこんなに経験値がもらえるなら引き上げられたレベルですらあっという間かもしれない。
「これからよろしくね。そういえば名前は?」
「栗原陽一っていいます」
「陽一ね。私のことはミークでいいわよ。それと呼び捨てで構わないから」
「了解です」
「それで、早速だけど私のステータス見る? 結構強いスキル持ってるのよ、私。それにレベルも上がったばっかりで――」
「多分まだまだ上がるから、その後に確認させてもらうよ」
「え? ……。ああ! これを食べてその分でレベルが上がるって思ってるのね! でも残念。私これでも今時点でレベル6だから、そんな簡単には――」
ミークが全て言い終わる前に俺はミノタウロス串を一口。
その旨味に感動を覚えると同時に再びアナウンスが流れた。
『レベルが【15】に上がりました。ミークのレベルが【11】に上がりました。レベル10を超えたことでステータスボーナス(全能力+100)が得られました。ノーマルスキル:真空波(拳から放たれる真空の波で遠くの敵にダメージを与える)を取得しました。パッシブスキル:食い気(消化が早くなり、腹が減りやすくなる、食べることのできる量が増える)を取得しました』
「――嘘、でしょ? 私、もう11レベル?」
「やっぱりこんなにレベルアップが早いのっておかしい――」
「おかしいに決まってるでしょ! ……。テイムされたけど、召喚師と違って強制的に言うことを聞かせるようなものじゃないから、ぐだぐだ自由にこの世界を楽しもうと思っていたけど……」
「そんなこと思ってたのか……」
「ここまで簡単にレベルが上がるなら、もっともっと強くなって、戦いたいって意欲が……。やっぱり半分モンスターなのね、私」
「それは助かるよ。俺の実家貧乏だからさ。自分の食う分くらいは働いてもらいたいって思ってたんだ」
「え? ……。……。ごめんなさい、この主チェンジで」
『不可能です。それよりもステータスポイントが無振り状態です。ステータスの確認をしますか?』
なるほどミークとはアナウンスも共有できるようになったのか。
なんかこのやり取り3人パーティーみたいになってきてちょっと楽しいかも。
「はは……。はい、じゃあ確認します」
0
お気に入りに追加
468
あなたにおすすめの小説
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
おじさんが異世界転移してしまった。
明かりの元
ファンタジー
ひょんな事からゲーム異世界に転移してしまったおじさん、はたして、無事に帰還できるのだろうか?
モンスターが蔓延る異世界で、様々な出会いと別れを経験し、おじさんはまた一つ、歳を重ねる。
千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜
星影 迅
ファンタジー
およそ30年前、地球にはダンジョンが出現した。それは人々に希望や憧れを与え、そして同時に、絶望と恐怖も与えた──。
最弱探索者高校の底辺である宝晶千縁は今日もスライムのみを狩る生活をしていた。夏休みが迫る中、千縁はこのままじゃ“目的”を達成できる日は来ない、と命をかける覚悟をする。
千縁が心から強くなりたいと、そう願った時──自宅のリビングにダンジョンが出現していた!
そこでスキルに目覚めた千縁は、自らの目標のため、我が道を歩き出す……!
7つの人格を宿し、7つの性格を操る主人公の1読で7回楽しめる現代ファンタジー、開幕!
コメントでキャラを呼ぶと返事をくれるかも!(,,> <,,)
カクヨムにて先行連載中!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる