最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職

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第72話 ラスボス戦ほど?

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「こんな簡単にドラゴン達が殺されるなんて……強い。強いなあ。イライラがどうでもよくなるくらい魅せられたちゃったよ。やっぱり欲しい、欲しいよ、おじさん」

「俺はどうあってもお前みたいな奴の部下にもコレクションにもなりたくはないな。だからさっさと諦めてその水晶から離れてくれ。離れないなら、勿論力づくでいくぞ! このダンジョンを牛耳って脅される立場から逆転だあっ!」


 薄気味悪く笑う橘伸二。

 俺はそんな奴の触れている水晶に触れる為に思いきって駆け出した。


「……【マルチグラビティ】」

「なっ!?」


 突き出された両手に黒い靄がかかると、脚が何かに押し潰されそうになる。


「俺が定めた場所、範囲に通常の何十倍の重力を掛けられる魔法さ。おじさんの強さなら死ぬことはないって思ったけど、一応脚だけにしてあげたんだ。動けないし、骨が軋むようでしょ?」


 確かに脚は重い。足元はビキビキと鳴っているし、普通の探索者やモンスターなら間違いなく動けない。


 でも、俺はその普通を軽く越えてる!


「ぐ、ぐぐぐ……ああっ!」

「嘘だろ!? その状態でまだ走れるの!?」


 お、もてええええええええ!!

 今なら無茶苦茶重い装備を身に付けてたピッ●ロの気持ちもとんでもない重力下で修行するベ●ータとかの気持ちが分かる!


「レベル11のおっさんをなめるなよ!」

「ここを守れなかったらおじさんを仲間にするどころじゃないって……。仕方ないから全身を対象にするよっ!」

「ふっ! ぐう……」


 きっつぅ……。

 意識をそらしたら一発で地面に貼り付けになるぞ。

 流石にこれじゃ走るのは無理。


「だったら……」


 俺は重たい腕を後ろに回して手を広げた。

 走るのは無理でも、こうすれば移動する事は出来るんだよ!


「【ファイアボール】」


 手に力を集中。溜め過ぎるとそれがに隙になるかもだから――


「何かしようとしてるみたいだけどそれ無駄だから――」

「ここがジャストぉおおっ!」


 橘伸二が得意気に言い切る前に、俺に溜まった力を解放してファイアボールを放った。

 出来るだけ足元に近いところに放ったファイアボールは直ぐに炸裂、爆煙が俺を包みその後に猛烈な爆風が背中を押す。


「届けええええええええええっ!!」

「く、来るなあああああああっ!!」


 爆風に乗った俺は一瞬で水晶の近く、というかその真上まで飛ぶと、強い重力によって水晶と橘伸二へ一直線。


 橘伸二はテンパり過ぎてスキルを切れていないようだけど、それはそれで都合がいいや。


「喰らえ!  グラビティフライングボディプレスッ!」

「――ぐげっ」


 橘伸二は俺の体の下敷きになると、そのまま地面にめり込んだ。

 レベルが高いのは分かっていたし、これくらいで死ぬような探索者じゃないって判断して思いきったけど……。


「ちょっとやり過ぎたかな?」


 ひくひくと体を痙攣させる橘伸二。

 ラスボス戦が案外しょぼい結末になるのは……まぁありがちだよな。


「それじゃあ水晶をっと……。ん? なにこれ? エマージェンシー?」

『損傷、損傷、修復まで制御不能、一部モンスターのレベルバグ発生。ダンジョン踏破確認。全て修復後リセット及び主を人間、宮下に設定。宝箱出現』

「レベルバグって……上の階大丈夫か?こいつは縛り上げて上に連れてくとして、モンスターテイムしながら上に戻ろうかな」
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