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第58話 新しい仲間はデザート班
しおりを挟むやっとレベルアップしたか……。
どれくらい強くなったのか確認、そんでもって八つ当たりの対象となってくれ!
俺は引き続きテツカミバチを拳で爆散させる。
元々の攻撃力も高かっただけに違いが分かり難いけど、腕を振るスピードはまだまだ上げられそうだ。
それに空気を捉えられるような感覚が自分の中に生まれて……これちょっと面白い事が出来るかもしれない。
俺は空気の重たさの様なものを感じ、それを弾くように全力で腕を振る。すると目の前で強烈な風が起き、それはテツカミバチ達の身体を意図も容易く引き裂いてしまった。
ゲームやアニメなんかでいうところの所謂かまいたちを生み出せるようになったようだ。
ファイアボールが効かないモンスターも増えてきていたところだったから嬉しくはあるけど、これ日常生活に支障出ないよな?
「今のは魔法攻撃……じゃないですよね。何が起きたのか全然分かりませんでした! 流石です神様!」
「凄いですけど……女王テツカミバチは殺さないようにお願いしますねっ!」
小鳥遊君は本気で尊敬してくれてるんだろうけど、どうしても俺の事を忘れていたのを誤魔化そうとしているように見えてしまうのは俺の性格が悪いからなのか……。
まぁ別に仲良くなる分には一向に構わないし、そういう関係になったのなら上司として祝ってやらないといけないよね。
……なんかレベルアップしてテンション上がったからいろんな事が許せるくらい自分に余裕が出てきたかもしれない。
「小鳥遊君、このダンジョンのモンスターをテイム出きるようになったんだよね? 女王は今新しいテツカミバチを高速で産み出す余裕はないし、疲労してる。また卵を産まれる前に急いでテイムをっ!」
「了解です!」
小鳥遊君は爆散したテツカミバチの破片を踏みつけながら走って女王テツカミバチの元に駆けていく。
それを邪魔しようと残っていたテツカミバチがそれを追いかけようとするが、そうはさせない。
――パンッ!
テツカミバチの数が減りさっきまでよりも大きな音でテツカミバチが爆散したように感じた。
今まで複数の羽音の所為で気にする事はなかったけど、こういう状況になってみるとやはり大きく聞こえる。
それだけ俺の攻撃力が上がったって事なのかな?
ドラゴン相手でも圧倒出来るだけのステータスだったらいいんだけど……見るのが楽しみなような、不安なような。
「よし! 触れた!」
気付けば小鳥遊君が女王テツカミバチの体に触れ、なにやら呟いていた。
恐らくテイムした際の色々な選択に答えているのだろう。
俺ごスライムのマグちゃんをテイムした時やオークになった遠藤をテイムした時は割りと複雑な条件を満たしてテイム可能になったんだけど、ある程度のレベルのダンジョンからは報酬の基本としてテイムする力が与えられるのかもしれない。
「テイム完了です! やりましたよ一ノ瀬さん! 神様!」
――パンッ!
「おおナイスっ!」
俺は残りのテツカミバチを処理しながら早速小鳥遊君の元ではなく巣に向かった。
小鳥遊君のところには全力疾走で一ノ瀬さんが向かっていったのが分かったからここは空気を読む。それが大人ってもんだからな。
「中は……もういないな」
俺は巣を軽く叩いたり中に手を突っ込んだりしてテツカミバチの残りがいない事を確認すると、改めて手に入れた蜜を一舐め。
「やっぱ旨いけど……ちょっと飽きたな」
自分の体に纏わりつく蜜を見て俺はそう呟いたのだった。
◇
「それじゃあお疲れさまでした。私は明日も早いので先に帰ります」
「外まで見送りますよ」
「あ、有難うございます」
「2人ともお疲れさまでした」
「「お疲れさまでした」」
ダンジョンを後にして一旦女王テツカミバチを預ける為に俺達は養殖場まで移動していた。
それようの部屋を儲けて、コボやマグにも顔を合わさせて、蜜は焼肉屋としてそこまで需要はないけれどこれで蜜も無償無料で手に入るようになったというわけだ。
どうせなら蜜を使ったジェラートを考えていいもしれない。
前から焼肉森本のメニューには創作系のものが少ないなって思ってたとこだったからいい機会になるかも。
小鳥遊君達は先に帰ったけど、たまにはキッチンにこもって料理も悪くない。
「……昨日の敵は今日の味方。お互い戦った疲れをとって明日から頑張ろうな」
「……」
疲れてぐったりとしている女王テツカミバチの頭を撫でてやると、言葉による返事はないもののこくりと頷いてくれた。
なんだかんだで半日以上も一緒にいたからか、早くも情が沸き出てしまっている。頭のティアラみたいな触覚も良く見れば可愛いかもしれな――。
「宮下君、お疲れ様」
「景さん……。なんでここに?今日はお休みなのに……」
「ちょっと動画の編集してて。それに一ノ瀬さんにダンジョンに侵入した様子の動画を今日中に届けるって言われたから」
「そうだったんですね。えっと、その……」
「なにか作るんだよね。だったら私も手伝っていい?」
「……はい」
どうやら俺の休日は今から始まってくれるらしい。
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