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第42話 おNEWメンバーで変態釣れた
しおりを挟む「えーっと、宝箱の中はオークの発生装置とでっかい魔石とおおっ! ダンジョン内で剣なんて初めて見た!」
「それは……多分魔剣だな――ですね。青色の場合使用者の能力を上げるバフ効果、赤色の場合は剣を媒体に何かしらの魔法攻撃が出来る、出来ます。……くそっ! 無理矢理敬語に変換されるとか、話し辛苦て仕方ない、ないです」
遠藤のテイム完了後、俺は『佐藤ジャーキー』での振る舞いの外に命令をいくつか出した。
一つ目に敬語の強制。
焼肉森本の従業員には歳に関係なく敬語を使わせるようにした。
これから遠藤は焼肉森本に顔を見せる機会が大幅に増える。
アルバイトの子達とかが人を見下す癖のある遠藤と対面したら絶対嫌な思いをするし、この命令は必須。
二つ目は非暴力。
これも焼肉森本の従業員を保護する為に必須。
こんな命令をしないと危ない存在とか俺の中ではコボ以下。
これは遠藤がモンスター化しててもしてなくても同じ。
そういえば遠藤はモンスター化して見た目的にも能力的にもオークらしさを手に入れたけど、普通のモンスターと一緒で魔石を体内に精製出来るのかな?
もしそれが出来るようなら遠藤には魔石の自動生成収集装置になってもらう事も……。
そしてそして三つ目は……。
「はぁ、それはそうとダンジョン外に出る前に四つん這いで移動しろっていう命令だけ解いてくれませんか? このままメディアにとり上げられたら俺の会社での立場が余計にヤバい、です」
「そうだな。遠藤の立場が悪くなるのは焼肉森本的にも美味しくないから……ダンジョン内、俺と一緒に居る時、或いは焼肉森本の従業員が命じた場合のみ四つん這いで移動しろ。これは、今までの態度に対するお仕置きな」
遠藤のプライドをズタボロにするためだけの命令。
これで少しくらいは今までの自分を反省してくれればいいんだけど。
「あ、あと外でインタビューを受けるかもしれないけど、俺の事べた褒めしてくれよ」
「インタビュー? もしかして外にマスコミが待ってるのか? 髪は黒焦げ、尻尾は生えてるし、服だって――」
「取り敢えず、服は俺の替えを着とけばいい。ほら、洗って返してくれよ」
「分かった、分かりました。っておま、ご主人様趣味悪いですね」
「外でも四つん這い強制してやろうか?」
「……すみませんでした」
遠藤の綺麗な綺麗な土下座。
これだけは命令で強制された動きじゃないっぽい。
◇
「もう知ってるかもしれませんが、この人が『佐藤ジャーキー』との提携担当の遠藤さん、遠藤です。俺のテイムモンスターとして長期休暇、日曜休みには養殖場にお手伝いにも来てくれるのでその時は構ってあげてください」
「……よろしくお願いします」
ダンジョンから帰還した次の日、俺はその日の焼肉森本の出勤メンバーに遠藤を紹介した。
アルバイトの子達はキョトンとしていて、小鳥遊君細江君は目を点に、景さんと店長は人を見定めるような厳しめの視線、一ノ瀬さんは何故か息を荒くしている。
「今日は日曜なので、養殖場で肉を捌かせていただきます」
「……遠藤さん? え? この人本当に遠藤さんですか?」
謙虚な口調に細江君が遂に黙っていられなくなって俺に視線を向けた。
「そうだよ。今回の事件で本人も更正して、真っ当に働きたいって事らしいよ」
「ニュースで見ましたけど……あれマジだったんですね」
昨日ダンジョンを出ると、遅い時間にも限らずマスコミが群れていて、遠藤が生還した事が大々的に生中継された。
今日の新聞の一面を真っ黒焦げの遠藤が飾っていたのは正直おもろかった。
「僕はまだ信じてませんけどね。さっ、紹介も終わった事ですし僕とアルバイトの子達は業務に戻ります。――遠藤さん……遠藤。もし焼肉森本の従業員に何かするようなら……僕はお前を許さないし、何をするか分からない。それだけは覚えておけ」
「……遠藤さん。俺ももう仕事に……。俺が入社した時の、親切で優しい遠藤さんは嘘ではないと俺は思ってますから、その、えっと、仕事また一緒に頑張りましょう。それじゃあ」
小鳥遊君、細江君、アルバイトの子達は店の準備に消えていった。
なかなかすぐに馴染む事は難しいかもしれないけど、こういうのは徐々に、徐々にだよな。
「提携の件について詳しい内容、もちろんそれについての日程もまだ決まっていない。『佐藤ジャーキー』の人間も生還したばかりの君に仕事を押し付けるようなことはないだろう。だから無理せずほどほどに、な」
「何か気になる事があれば店長だけでなくて、私にも相談してくれて構いません。提携の件、お願いします」
店長と景さんもそれだけ言い残してその場からいなくなった。
2人は小鳥遊君ほどじゃないけど、まだ警戒を解いてないみたい。
そもそも2人って焼肉森本の人間に対してとそうじゃない人に対しての対応がちょっと違くて……実は2人って、特に店長は意外だけど人見知りなんじゃないかな?
「えっと、その私は一ノ瀬って言って、これから、はぁはぁ、提携について、はぁはぁ、一番お話しする機会が、はぁはぁ……あの、そのぉ、さっきから気になってたんですけど……そのはみ出てるやつさ、触ってもいいですか?」
変態釣れちゃったよぉ。
遠藤、腰から尻尾ちょろ出しとか……。
テイムのこと知られたくないからしっかり隠せって言ってあったのに……。
意外におっちょこちょいな一面があるのか? それ、全然需要無いんだけど……。
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