最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職

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第31話 ゴブリン解体係

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「あ、神お帰りなさいませ!コボルトにします? ゴブリンにします?」

「ただいまあ。ゴブリンもコボルトも処理しちゃうわぁ」

「ん? おつかれでしたら少し休まれてか――」


 新妻かのように駆け寄ってきたコボ。


 俺は突っ込むのも面倒なくらい疲れがどっと押し寄せている中、コボに適当に返答あげるた。

 するとコボは俺が抱えているこの存在に気づいた。


「きゅうっ!」

「……可愛く鳴くだろ?」

「……もしかして、俺の代わりですか? そろそろコボも肥えてきたし殺っちゃおっかな。スライムでも代わりきくし、あいつでかくて可愛くないし、ファブってるけど獣臭いし、ダニいそうだし、言葉遣い変だし、生殖機能ないなってるし、仕事雑だし、ファブってるけど獣臭いし――」

「ファブってるの件ダブってるぞ」

「俺何でもしますからっ! だから殺さないでくだせぇっ! 俺、スライム畜生なんかに……畜生なんかに絶対負けませんからっ! この通りですうっ!」


 芸術的なジャンピング土下座を決めるコボ。


 今の絶対膝やったろ。


「安心しろって。お前には引き続き仕事をしてもらうから」

「ぼ、ぼん゛どでづがあ゛っ!」


 ドラ○もんに頼み事する時のの○太位泣くじゃん。


「きゅう……」


 マグちゃんは泣いているコボに何か感情を抱いたようで小さく唸った。


 そしてマグちゃんはのっそりと俺の腕から離れてコボに近づく。


 慰めてあげようとでもしてるのかな?


「きゅうぅぅぅ――」

「え、マグちゃんそんな事も出来るの?」


 鳴き声と共に細長く伸びたマグちゃんは頑張って俺に姿を似せて見せた。


 正直なところ全然似てないけど、所々は捉えてるか……足の長さとかタレ目なところとか……。


「きゅうっ!」

「お前、それはなかよくしようって事なのか?」


 マグちゃんは俺の姿でコボの頭を撫で始めた。


 なんか慎ましい光景だなぁ。

 ここは癒し空間かも――


「って熱うっ!! も、燃える、頭が、ああああああああああっ! こんのっ! 離れろっ!」

「きゅう。くきゅきゅきゅきゅきゅきゅ!」


 マグちゃんは笑いながら俺の元に駆け寄ってきた。

 その姿は『ご主人様は渡しません』といっているよう。


 嫉妬して悪戯しちゃったのか。

 可愛い奴だな。


 笑うのも仕方ないよね。

 あのコボルト頭のてっぺんだけハゲちゃってるもんね。

 うんうん仕方ない仕方ない。


「神様っ! 俺こいつと仲良くしていける自信ありませんよっ!」

「それは困るな……。マグちゃんコボとも仲良くしてくれるか?」

「きゅっ!」


 ビシッと腕部分を額に当てるマグちゃん。

 うん、かあいい。


「コボの言う事を聞いていい子に働くんだよ。でも辛かったら宮下おじさんに言うんだぞ」

「きゅっ!」

「神様スライムにも甘いのなんでなんですか? こんなのただの親バカでしょ。俺にも、俺にも優しくして下さいよおっ!」

「コボ、お前は優秀で頼りになる。でも……」

「でも?」

「残念だけど可愛くはないんだよ」


 コボは顎が外れるかと思う位あんぐりとしている。


 でもこれはこの問題だけは……だってしょうがないじゃないか。


「可愛くない分、もっと強くかっこよくなれ! 男の子……♂のモンスターだろ?」

「……分かりました。俺もっと強くなってもっと質のいい肉を収穫出来るように頑張ります!」

「うむ。……ぷ、にしても綺麗にハゲだな」

「笑わないで下さいよ!マジで熱かったんですから!」


 名前にマグマってついているだけあって酸で溶かす能力じゃなくて炎、マグマの身体で相手を溶かすのか。


 俺が抱き上げても熱くはなかったから、多分調節が効くのかな。


 思っている以上にこのマグちゃんは器用な子なのもしれない。


「……試すか。コボ、休まずにゴブリンを殺る。準備してくれ」

「は、はい、了解しました!」


 俺はマグちゃんにある仕事を任せられるか確認する為、成長したゴブリン、ゴブリンジェネラルのいる部屋に向かった。





「――おい、神がお越しになった。ゴブリンジェネラルを召集させろ」

「……がぁああああああっ!」


 部屋に入るとコボは拘束された一際大きなゴブリンの元に駆け寄り、耳打ちをする。


 すると、そのゴブリンの鳴き声で部屋に散らばっていたゴブリンジェネラルがかき集められる。


 リーダーを完全に手駒にする事で、コボはノーリスクでゴブリンジェネラルを生産する術を手に入れていたのだ。


「よし、じゃあ俺がこいつらを殺るからマグちゃんは魔石と目以外を速やかに溶かしてくれ。いいな?」

「きゅうっ!」


 とびきりの返事を聞くと俺はすかさずコボが、正確には拘束されたゴブリンが集めてくれたジェネラルゴブリン4匹を人差し指で突っついて殺した。


 いつもは思いっきり殺すけど、それだと今後の為にならないかもしれないから今日は敢えて姿をそのまま残す方法だ。


「きゅうっ!」

「「おお」」


 マグちゃんは俺が仕事を終えたのを確認すると、4つに別れてもにゅもにゅとゴブリンジェネラルの死体を包んだ。


 そして……。



 ――コロンっ。



 あっという間にゴブリンジェネラルから目と魔石を取り出し吐き出した。


 今まで魔石を探したり目をくり抜くのが面倒だったけど……。


「今日付けでマグちゃんをゴブリンの解体係に任命します!」


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