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第30話 マグちゃん
しおりを挟む『【マグマスライム】が仲間になりたそうに見ています。仲間にしますか?』
……。
これドラ○エで見た事あるやつぅ!
何か急にこのスライムが『僕は悪いスライムじゃないよ』って言ってる気がしてきた。
いつの間にかローブを焼く音も聞こえなくなってるし……。
いやいや、水晶が食べれないって分かったから今度は俺の下について餌でも貰おうって魂胆かも……。
そもそもこいつをテイムしたところで使い道がないし、正式にテイムしたモンスターがいるって聞いたらコボが荒れるかもだし……。
こいつはあざとい現金な奴、現金な奴、現金な――
「きゅうっ……」
お前そんな寂しそうに鳴けるのかよぉ。
駄目じゃんそんなのズルじゃん。
捨てられた子犬みたいな事されたらそんなのそんなの……
「テイム……します」
『【マグマスライム】をテイムしました。ステータスを閲覧出来るようになりました。主人のステータスを一部継承しました。テイムの証である紋様が【マグマスライム】に刻まれます。テイムした【マグマスライム】に名前を付けてください。名前は命令を強制する為に必要となります。名付け用のウィンドウを表示します』
テイムする宣言をすると、俺の目の前にキーボード画面が表示された。
名前かぁ。
コボルトでコボだったから……こいつは【マグ】でいいか。
入力して決定ボタンを選択っと。
『名前が確定されました。以降変更は出来ません。ステータス画面を表示します』
―――――
名前:マグ
性別:♀
年齢:1歳
HP:400
攻撃力:300
魔法攻撃力:200
防御力:500
魔法防御力:100
幸運値:100
クリティカル率:10%
◇
スキル:下級以下限定炎系魔法吸収
◇
習得魔法:無し
―――――
これ結構強くない?
今コボに養殖場を全て任せちゃっているけど、マグ……♀だからマグちゃんか。マグちゃんにゴブリンの方を任せるのは有りかもな。
多分ゴブリン位なら圧倒出来出来るだろ。
ただ不安なのはコボがどう思うかだけど……。
あいつ人間味が増して嫉妬とか普通にしそうなんだよな。
「……ともかく宝箱開けて、そっちの転送装置で帰るか」
「きゅうっ!」
「お前本当にあざといな。あっそうそうタイムの方は……。えーっと視聴者の皆さん2時間ジャストでしたっ! 目標達成! 自信のある人は是非試してみて下さいねっ!」
◇
「あのぅ……。お客さんそれもしかしてスライムの死体ですか?こんな事言うのはあれかもしれないんですけど……持ち歩くのはどうか――」
「ぬいぐるみです」
「いや、ぬいぐるみって――」
「ぬいぐるみです。素材が特殊なだけです」
「きゅうっ!」
「えっ!お客さん今それ鳴きませんでしたか!?」
「そういう機能が付いてるぬいぐるみです。触ると鳴ります」
「……随分とリアルな音ですね」
「『科学の力ってスゲー』、ですね」
「……そうですね」
マグちゃんを抱えたままタクシーに乗り込むと、運転手が怪訝そうに質問してきたが、俺はそれを冷静にさも俺が間違ってないと言わんばかりに返答した。
最後まで不思議そうな顔をしていたけど、潔く引いてくれたのはいい意味で社会人してるなと思った。
それにしても、テイムしたスライムを仮想空間とかにしまっておけないとは思わなかったな。
モンスターを外に連れ出して闊歩してる人なんてもはやテロリストだよ。
まぁ焼肉森本の下でコボルトとゴブリンが無限に沸き出している方がよっぽどまずいか。
「――ありがとうございました」
運転手さんにお礼を言って俺は店に戻る。
時間もいい頃合いで店の前には行列が。
こりゃあ急いで下にお客さんを入れられるようにしないと――
「ってあいつら並んでんのかいっ!」
行列の後方にダンジョンモールで会ったあの3人組の姿が見えた。
あれだけ言っておいてツンデレかな?
「次のお客様席へご案内致しま――。宮下君、それ……」
店の扉が開いて景さんと目が合った。
それにつられてお客さん達も俺、というより俺の抱えているスライムを見た。
「こ、これは、ぬいぐるみで――」
「きゅうっ!」
……。
「おいっ! 神がスライムを抱えて歩いてるぞっ!」
「ダンジョンのモンスターをあんな風に扱うなんて、神は本当に神だったんだ!」
行列を作る人から浴びる強烈なフラッシュ。
あーこれもSNS行きだよ……。
「宮下君っ! ここが混乱するから早く中にっ!」
「すみません景さ――」
「おいっ! 神が美人店員さんの尻に敷かれてるぞっ!」
「神より上の存在だとっ!?」
……お前ら俺で遊んでるだけだろっ!
「び、美人って私もう30過ぎのおばさんなのに……」
「景さん、嬉しいのは分かりますけど、突っ込む所はそこじゃないですよ」
「おいっ! 神が嫁さんとコントを始めたぞっ!」
「神はキングオブコ○トまで制するつもりかっ!?」
「――お前らそれパターン化するのやめろっ! ちょっとおもろいのずるいって!」
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