36 / 38
大団円 アンバーはデイブに愛してると言ってほしい い
しおりを挟む
現在ソコロの部屋にアンバーはいる。初めて訪れた聳え立つ公爵邸に、口をあんぐり開けたままの間抜け顔でしばし絶句していたアンバーだが、その件は是非内緒にして欲しい。
公爵邸はきっと広いだろうな立派だろうなと想像をしてアンバーはやって来たが、そのアンバーの予想を軽く裏切るほど公爵邸は豪邸だった。
庭園も王宮なのでは……と目を見張るもので、公爵邸とホラーハウスドゥリー伯爵邸の違いに目を白黒させるアンバーであった。
常々思ってはいたが、やはりソコロは雲の上の人で、しがない伯爵令嬢のアンバーとは生きてる世界が違う人なのだと。
そんなソコロはアンバーに良くしてくれる。その間にデイブという存在がいたとしても、アンバーにはソコロの友情に感謝しかない。
ソコロの部屋は広く豪華で、場違い過ぎてアンバーは身が縮こまったが、豪華な部屋には不似合いなぬいぐるみや可愛い小物類が、こんな豪邸で育った公爵令嬢ソコロが同い歳の女の子だと教えてくれて、少しだけ縮こまった体が元に戻った。
「それでアンバーはデイブに『愛してる』と言って欲しいと」
ソコロがお茶をアンバーの目前で淹れているが、その所作の美しさにアンバーは見惚れる。ソコロ様のサロンで見慣れているというのに、場所が違うと新鮮に写るのだろうか。
「えっ……それは無理じゃないアレだから」
ジエネッタも一緒だ。公爵邸へ集合したのはジエネッタに、激しくホラーハウスドゥリー伯爵邸を拒否されたから。
「そうねぇ、アレだから無理ですわね。わたくしもそう思いますわ」
ソコロはさもお気の毒に、とでも言いたげにアンバーを見た。
アンバーはそんな二人に、アレとか言わなくてもとか、無理とか言わなくてもとか、ぶつぶつと独り言のように呟いた。
「でも一応は恋愛婚約ですよ。政略結婚ではなくて」
二人に色々言われても納得いかないアンバー。ちょっと食い下がってみる。
「でもアレだよ。人と感性が違い過ぎるから、彼の中では『愛してる』は愛を囁く言葉じゃないのよ。多分」
「そうですわ。『ほくそ笑む笑顔が素敵だ』とか『にやりと悪巧みする君は、この世の者とは思えない程に綺麗だ』が彼にとっては褒め言葉兼愛の囁きなのですわ」
「……二人ともそれときめきますか?」
「まったく」
「ときめけたら、デイブと最高の相性の人認定できますわね。」
ですよねー、アンバーはいつも糸目ですと、アンバー声を大にして言いたかった。
人が遭難しそうな猛吹雪の中(見えないだけで)あやうく遭難しかかっていたアンバーが意識を取り戻すと、婚約の書類には何故かアンバーのサインが……あれ、覚えがないと首を傾げたが、すでに外堀は埋まっていた。『アンバー、でかした!父は安心した』と泣きながら父に祝福されるに至っては、反論する道も逃げ道も断たれているのに思い至ったアンバーには、用意周到なデイブとの婚約を受け入れざるを得なかった。
「まぁ、いいじゃない。愛の言葉はなくとも愛はあるのだから」
「そうでしてよ。そこは疑いようがないですわね。幼馴染ですけど、デイブがあんな人とは思いもしませんでしたわ」
ジエネッタもソコロも呆れ顔。
そうデイブは愛を隠さない男だった。常にアンバーを観察し、アンバーを優先する。これだけ真っ直ぐに愛を隠されないと、やはり絆される。今ではしっかりアンバーもデイブを好きになっていた。
「そこは疑ってません。でも言葉も欲しいじゃありませんか?」
「アンバーは乙女思考だからねぇ。でも相手がアレじゃぁ……」
「気持ちは分かりますわ。ですがデイブがアレですものね」
重苦しい雰囲気となる。ソコロもジエネッタも遠い目をし、アンバーとは視線を合わせないようにしている。
そもそも本来は『愛』とか『恋』とか『好き』とかは、恋愛していれば付録みたいについてくるものだと、アンバーは思っていた――だが違うらしい。いつまで経っても見当たらない。これは……実は『愛』とか『恋』とか『好き』は態度で語られるよりも、言葉で語られる方が難しいものだったのかと、間違った方向にアンバーの思考は猪突猛進に進んでいた。
「じゃぁここはソコロ様にご出陣してもらい、幼馴染として注進してもらうのは?」
「えっわたくしが!」
ソコロ、心底嫌そうな顔をする。
「ジエネッタ!素晴らしい。ソコロ様何卒よろしくお願いします」
もう机に頭を擦り付ける勢いで、アンバーはソコロに頭を下げた。
「しっししかたがないですわね。――そういえばもうすぐ王宮での夜会ですわね。そのときにデイブには話しましょう」
幾分動揺しながらソコロはそう答えたが、内心ではどう説得してもアレは無理でしょうとすでに匙を投げていた。
こうしてアンバーは、とてもない期待を胸に夜会を待つこととなる。
アンバーはデイブから贈られたドレスを身に纏い、迎えにくるデイブを待っていた。そういやオブリンと婚約していた頃は、夜会の迎えはあったが贈りもの(菓子類除く)は貰ったことがなかったな……といらないことを思い出し、ちょびっと悲しくなる。『エルノーラ砂化現象』後、主人のいなくなった部屋を整理したら、プレゼントされたと散見される数々のものは、ほぼ父から贈られたと判断できたが、中にはあきらかに市井で買われたと、思しきものもあった。
状況を考えればオブリンからの贈りものと考えるのが筋だろう。
アンバーは別にものが欲しかったわけではない。だけどオブリンが贈ったと思しきものを見て、なんともやり切れない気持ちになったのは事実で、胸がちくりと痛んだのを忘れられなかった。
そんな経験をしたからか、デイブはアンバーがいるのに他の女へ贈りものなど絶対にしないと、信頼できる点もアンバーがデイブを好きな理由の一つだ。
デイブのエスコートで王宮の舞踏会の会場へ到着すると、ソコロもジエネッタも家族と一緒にいる。目で合図を送り合い、先ずはデイブと一緒に挨拶回りをする。アンバーのドレスの色はもちろんデイブの色だ……全身が。流石にここまで(全部デイブの贈りもの)だとアンバーも恥ずかしくなる。だがデイブは会場中にアンバーはデイブのものとアピールできてご満悦。
ほどほどでソコロとジエネッタと会場の壁際で合流し、それぞれがドリンクを手に談笑する。そしてアンバーもジエネッタもこの場をどう離れるか、笑顔の裏で策していた。ジエネッタは優雅に微笑み、アンバーは小細工してますと、さも書かれてそうな顔で様子を伺う。アンバーの顔を見てソコロが若干引き気味なのには、アンバー気付かない。デイブは目を細め、歪んだ口元の口角をかすかに上げているアンバーがあまりにも愛しくて、今にも抱きつきたかったし、真剣に絵師をここに呼べるか考えていた。
なんとか隙を見つけて、料理が並ぶ一角にジエネッタと向かう。デイブには絶対にジエネッタと離れないことをアンバーは約束させられる。
この場を離れていくアンバーに期待してますと、強く目で訴えかけられたソコロは困っていた。えっそんなに期待されても困りますわと、その困惑を顔にはださないけど、ソコロの動揺は手に持つ扇に表れていた。先ずは話をしないと……切っ掛けをつくらなくてはと、ソコロは焦る。
「ソコロはもてるな。今日は若い令息がソコロをちらちらと見てるぞ」
「公爵家がもてているのですわ……それはそうと、デイブの婚姻ももう一年もないですわね。プロポーズは済みましたの?」
自然な会話になってますかしら?と、ソコロ、どきどき。
「うむ。プロポーズか……」
「あらその様子ではまだですのね。いけませんわ。きちんとしないと……そのときはデイブ分かってますわね」
キロっとデイブをソコロは睨む。ソコロは囁くのは愛ですわよ、という気持ちをのせたつもりで。
「あぁ、ソコロ心配しないでくれ、プロポーズの言葉はとっておきの言葉をとってある」
「まぁ、とっておきの言葉ですの?……それはアンバーが喜ぶ言葉ですわよね?」
やれば……できる?とソコロ、ちょっと訝しみながらも、自分で自分を褒めたくなった。
「もちろんだとも!アンバーが感動のあまり失神してしまうかもしれない言葉だ。だから安心したまえ」
「まぁデイブ、素晴らしいわ。のち程アンバーから話を聞くのを楽しみにしてますわ」
もしかしてわたくし成し遂げられたのかしら?ソコロ、心の中で祝杯をあげる。
この会話が実はまったく噛み合っていなかった事実を、のちに知ったソコロは衝撃を受け、自分のデイブへの認識の甘さに唇を噛みしめることになるとは、この時点では些かも想像だにしていなかった。
……『のち』もすぐではあるのだが。この時点ではソコロは知らない。
「ソコロ任せてくれ!」
デイブは自信ありげにソコロへ微笑んでみせる。その笑顔に重過ぎる使命を課せられたソコロも、安堵したかのように微笑み返した。……数時間後には裏切れるとも知らずに。
気を良くしたソコロは、手にしていたワインをぐびぐびと喉を鳴らして飲むのだった。
公爵邸はきっと広いだろうな立派だろうなと想像をしてアンバーはやって来たが、そのアンバーの予想を軽く裏切るほど公爵邸は豪邸だった。
庭園も王宮なのでは……と目を見張るもので、公爵邸とホラーハウスドゥリー伯爵邸の違いに目を白黒させるアンバーであった。
常々思ってはいたが、やはりソコロは雲の上の人で、しがない伯爵令嬢のアンバーとは生きてる世界が違う人なのだと。
そんなソコロはアンバーに良くしてくれる。その間にデイブという存在がいたとしても、アンバーにはソコロの友情に感謝しかない。
ソコロの部屋は広く豪華で、場違い過ぎてアンバーは身が縮こまったが、豪華な部屋には不似合いなぬいぐるみや可愛い小物類が、こんな豪邸で育った公爵令嬢ソコロが同い歳の女の子だと教えてくれて、少しだけ縮こまった体が元に戻った。
「それでアンバーはデイブに『愛してる』と言って欲しいと」
ソコロがお茶をアンバーの目前で淹れているが、その所作の美しさにアンバーは見惚れる。ソコロ様のサロンで見慣れているというのに、場所が違うと新鮮に写るのだろうか。
「えっ……それは無理じゃないアレだから」
ジエネッタも一緒だ。公爵邸へ集合したのはジエネッタに、激しくホラーハウスドゥリー伯爵邸を拒否されたから。
「そうねぇ、アレだから無理ですわね。わたくしもそう思いますわ」
ソコロはさもお気の毒に、とでも言いたげにアンバーを見た。
アンバーはそんな二人に、アレとか言わなくてもとか、無理とか言わなくてもとか、ぶつぶつと独り言のように呟いた。
「でも一応は恋愛婚約ですよ。政略結婚ではなくて」
二人に色々言われても納得いかないアンバー。ちょっと食い下がってみる。
「でもアレだよ。人と感性が違い過ぎるから、彼の中では『愛してる』は愛を囁く言葉じゃないのよ。多分」
「そうですわ。『ほくそ笑む笑顔が素敵だ』とか『にやりと悪巧みする君は、この世の者とは思えない程に綺麗だ』が彼にとっては褒め言葉兼愛の囁きなのですわ」
「……二人ともそれときめきますか?」
「まったく」
「ときめけたら、デイブと最高の相性の人認定できますわね。」
ですよねー、アンバーはいつも糸目ですと、アンバー声を大にして言いたかった。
人が遭難しそうな猛吹雪の中(見えないだけで)あやうく遭難しかかっていたアンバーが意識を取り戻すと、婚約の書類には何故かアンバーのサインが……あれ、覚えがないと首を傾げたが、すでに外堀は埋まっていた。『アンバー、でかした!父は安心した』と泣きながら父に祝福されるに至っては、反論する道も逃げ道も断たれているのに思い至ったアンバーには、用意周到なデイブとの婚約を受け入れざるを得なかった。
「まぁ、いいじゃない。愛の言葉はなくとも愛はあるのだから」
「そうでしてよ。そこは疑いようがないですわね。幼馴染ですけど、デイブがあんな人とは思いもしませんでしたわ」
ジエネッタもソコロも呆れ顔。
そうデイブは愛を隠さない男だった。常にアンバーを観察し、アンバーを優先する。これだけ真っ直ぐに愛を隠されないと、やはり絆される。今ではしっかりアンバーもデイブを好きになっていた。
「そこは疑ってません。でも言葉も欲しいじゃありませんか?」
「アンバーは乙女思考だからねぇ。でも相手がアレじゃぁ……」
「気持ちは分かりますわ。ですがデイブがアレですものね」
重苦しい雰囲気となる。ソコロもジエネッタも遠い目をし、アンバーとは視線を合わせないようにしている。
そもそも本来は『愛』とか『恋』とか『好き』とかは、恋愛していれば付録みたいについてくるものだと、アンバーは思っていた――だが違うらしい。いつまで経っても見当たらない。これは……実は『愛』とか『恋』とか『好き』は態度で語られるよりも、言葉で語られる方が難しいものだったのかと、間違った方向にアンバーの思考は猪突猛進に進んでいた。
「じゃぁここはソコロ様にご出陣してもらい、幼馴染として注進してもらうのは?」
「えっわたくしが!」
ソコロ、心底嫌そうな顔をする。
「ジエネッタ!素晴らしい。ソコロ様何卒よろしくお願いします」
もう机に頭を擦り付ける勢いで、アンバーはソコロに頭を下げた。
「しっししかたがないですわね。――そういえばもうすぐ王宮での夜会ですわね。そのときにデイブには話しましょう」
幾分動揺しながらソコロはそう答えたが、内心ではどう説得してもアレは無理でしょうとすでに匙を投げていた。
こうしてアンバーは、とてもない期待を胸に夜会を待つこととなる。
アンバーはデイブから贈られたドレスを身に纏い、迎えにくるデイブを待っていた。そういやオブリンと婚約していた頃は、夜会の迎えはあったが贈りもの(菓子類除く)は貰ったことがなかったな……といらないことを思い出し、ちょびっと悲しくなる。『エルノーラ砂化現象』後、主人のいなくなった部屋を整理したら、プレゼントされたと散見される数々のものは、ほぼ父から贈られたと判断できたが、中にはあきらかに市井で買われたと、思しきものもあった。
状況を考えればオブリンからの贈りものと考えるのが筋だろう。
アンバーは別にものが欲しかったわけではない。だけどオブリンが贈ったと思しきものを見て、なんともやり切れない気持ちになったのは事実で、胸がちくりと痛んだのを忘れられなかった。
そんな経験をしたからか、デイブはアンバーがいるのに他の女へ贈りものなど絶対にしないと、信頼できる点もアンバーがデイブを好きな理由の一つだ。
デイブのエスコートで王宮の舞踏会の会場へ到着すると、ソコロもジエネッタも家族と一緒にいる。目で合図を送り合い、先ずはデイブと一緒に挨拶回りをする。アンバーのドレスの色はもちろんデイブの色だ……全身が。流石にここまで(全部デイブの贈りもの)だとアンバーも恥ずかしくなる。だがデイブは会場中にアンバーはデイブのものとアピールできてご満悦。
ほどほどでソコロとジエネッタと会場の壁際で合流し、それぞれがドリンクを手に談笑する。そしてアンバーもジエネッタもこの場をどう離れるか、笑顔の裏で策していた。ジエネッタは優雅に微笑み、アンバーは小細工してますと、さも書かれてそうな顔で様子を伺う。アンバーの顔を見てソコロが若干引き気味なのには、アンバー気付かない。デイブは目を細め、歪んだ口元の口角をかすかに上げているアンバーがあまりにも愛しくて、今にも抱きつきたかったし、真剣に絵師をここに呼べるか考えていた。
なんとか隙を見つけて、料理が並ぶ一角にジエネッタと向かう。デイブには絶対にジエネッタと離れないことをアンバーは約束させられる。
この場を離れていくアンバーに期待してますと、強く目で訴えかけられたソコロは困っていた。えっそんなに期待されても困りますわと、その困惑を顔にはださないけど、ソコロの動揺は手に持つ扇に表れていた。先ずは話をしないと……切っ掛けをつくらなくてはと、ソコロは焦る。
「ソコロはもてるな。今日は若い令息がソコロをちらちらと見てるぞ」
「公爵家がもてているのですわ……それはそうと、デイブの婚姻ももう一年もないですわね。プロポーズは済みましたの?」
自然な会話になってますかしら?と、ソコロ、どきどき。
「うむ。プロポーズか……」
「あらその様子ではまだですのね。いけませんわ。きちんとしないと……そのときはデイブ分かってますわね」
キロっとデイブをソコロは睨む。ソコロは囁くのは愛ですわよ、という気持ちをのせたつもりで。
「あぁ、ソコロ心配しないでくれ、プロポーズの言葉はとっておきの言葉をとってある」
「まぁ、とっておきの言葉ですの?……それはアンバーが喜ぶ言葉ですわよね?」
やれば……できる?とソコロ、ちょっと訝しみながらも、自分で自分を褒めたくなった。
「もちろんだとも!アンバーが感動のあまり失神してしまうかもしれない言葉だ。だから安心したまえ」
「まぁデイブ、素晴らしいわ。のち程アンバーから話を聞くのを楽しみにしてますわ」
もしかしてわたくし成し遂げられたのかしら?ソコロ、心の中で祝杯をあげる。
この会話が実はまったく噛み合っていなかった事実を、のちに知ったソコロは衝撃を受け、自分のデイブへの認識の甘さに唇を噛みしめることになるとは、この時点では些かも想像だにしていなかった。
……『のち』もすぐではあるのだが。この時点ではソコロは知らない。
「ソコロ任せてくれ!」
デイブは自信ありげにソコロへ微笑んでみせる。その笑顔に重過ぎる使命を課せられたソコロも、安堵したかのように微笑み返した。……数時間後には裏切れるとも知らずに。
気を良くしたソコロは、手にしていたワインをぐびぐびと喉を鳴らして飲むのだった。
1
お気に入りに追加
66
あなたにおすすめの小説
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
嘘つきな私が貴方に贈らなかった言葉
海林檎
恋愛
※1月4日12時完結
全てが嘘でした。
貴方に嫌われる為に悪役をうって出ました。
婚約破棄できるように。
人ってやろうと思えば残酷になれるのですね。
貴方と仲のいいあの子にわざと肩をぶつけたり、教科書を隠したり、面と向かって文句を言ったり。
貴方とあの子の仲を取り持ったり····
私に出来る事は貴方に新しい伴侶を作る事だけでした。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました
LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。
その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。
しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。
追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる…
※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
私がいなくなっても、あなたは探しにも来ないのでしょうね
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族家の生まれではありながらも、父の素行の悪さによって貧しい立場にあったエリス。そんな彼女は気づいた時、周囲から強引に決められる形で婚約をすることとなった。その相手は大金持ちの御曹司、リーウェル。エリスの母は貧しい暮らしと別れを告げられることに喜び、エリスが内心では快く思っていない婚約を受け入れるよう、大いに圧力をかける。さらには相手からの圧力もあり、断ることなどできなくなったエリスは嫌々リーウェルとの婚約を受け入れることとしたが、リーウェルは非常にプライドが高く自分勝手な性格で、エリスは婚約を結んでしまったことを心から後悔する…。何一つ輝きのない婚約生活を送る中、次第に鬱の海に沈んでいくエリスは、ある日その身を屋敷の最上階から投げてしまうのだった…。
【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前
地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。
あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。
私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。
アリシア・ブルームの復讐が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる