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おまけ ソコロと王太子の婚約解消 に
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学園でソコロは意外な人物に会った。学園を卒業したその人に声をかけて、薔薇園のガゼボでお茶をする約束をする。
『ソコロ様のサロンに招かれるなんて光栄だな』
とその人は軽口をたたき、用事が終わったらいくよと言って颯爽と去っていった。
ダージリン、アップルティー、セイロン、アッサム
紅茶の種類はどれにしようか。ソコロは微笑みながら紅茶の入った陶器の入れ物を眺める。
そして今日の気分はこれねと決め、それを侍女に手渡した。
遠くの方で女学生らしき華やかな声が聞こえてくる。楽しそうな声にソコロも声のする方を眺めてふふふっと声を上げて少しだけ笑う。
庭園で王太子に頬を叩かれたソコロは、その後のことは、断片的にしか覚えてなかった。多分、デイブに助けられて安心したのと、殴られた衝撃のせいだろうとソコロは考察している。
公爵家でソコロが王太子との学園で起きた出来事の顛末を話すと、父は激昂し、母は静かに怒り、兄は激怒していた。
ソコロ一人が首を縦に振らない為に、暗礁に乗り上げてた王太子とソコロの婚約解消。
家族はとうに王太子とジョイの関係を知っていたし、その上で調査もしていた。だからソコロの知らない王太子とジョイの不適切な関係も、またジョイと側近達との不適切な関係も把握していた。
この日、初めてソコロは首を縦に振った。
その後の公爵家の動きは迅速だった。
国王へ王太子のソコロへの暴行から始まり、ジョイとの浮気の証拠の提出。ソコロをいかに疎かにしていたかの陳述から婚約の解消まで、淀みなく流れるようにモルガン公爵はしてみせた。
国王はぐうの音も出ず認めるしかなかった。
ここに王太子とソコロの婚約解消が成立した。
呆気ないものなのねがソコロの感想。婚約してから十三年、如何にも重みを感じてたけど、実はこんなに軽いものだったなんてね。ソコロから自嘲気味の笑いが漏れる。
王太子はソコロへの暴力行為により、謹慎処分になったとソコロは聞いた。きっとソコロとの婚約が解消になったのは王太子の耳にも入っているはず。どう考えているのか、どう思ってくれるのか。ちょっとでいいから後悔して欲しいな。それがソコロの本音。
ソコロと婚約が解消され、近いうちに王太子の廃太子が発表されるだろう。
王命のしかも王家とモルガン公爵家の、遺恨を改善する目的でなされた大切な縁組を、王太子の一方的な有責で破談になったのだから、もしかしたら王子でもいられなくなるかもしれない。だがもうソコロの知ったことではない。
ジョイに溺れ自分の立場も省みず、楽しんだツケが今まわってきたのよ。ツケは返さないといけないわ。でも高いツケになりそうだわね。思っていることは過激だったが、ソコロの顔は深く沈んだ色が濃く、決してそれを喜んでいる顔ではなかった。
ふわりとリバーレースが開き、待ち人のデイブがガゼボへ入ってきた。
「待たせたみたいだな。すまない」
「大丈夫よ、座ってデイブ。貴方と二人で話をするのも久しぶりね」
二人といっても侍女は控えている。
「子供の頃、学園に入学する前までだな」
王太子の婚約者だったソコロは、誤解を受けない行動を心がけていた。デイブとは王太子と一緒にころころ育った幼馴染でも異性なので、二人になるのはなるたけ避けてきたが、もうソコロは王太子の婚約者ではないから、その気遣いも不必要だ。
「そうだったかしら?ところで今日はどんな用事で学園に」
「講師を引き受けたんだ。週に一~ニ度だがね」
「講師を?……あらあまり人好きではないデイブにしては、意外なことをなさるのね」
「学園にはアンバーがまだ通っているからな。目を離すわけにはいかないだろ。……目付け役だとでも思ってくれ」
目付け役って……とソコロは笑いそうになり、危うくティーポットからティーカップへ注いでいた紅茶をこぼしそうになる。
デイブは情が深い。だけどそれはほんの一部の人間に限られている。そしてそれ以外の人間にはとても冷たい。幸わいにもソコロはデイブの一部に入っている。そしてそれは王太子も……
「うふふ、アンバーは愛されてますのね。少し羨ましいわ」
「婚約はしたが、まだ婚姻はしていない。目を離すわけにはいかないだろう――ソコロが淹れてくれたお茶は久しぶりだが、やはりうまいな」
「お世辞言っても何もでないわよ。ふふふ」
デイブの少し口元を上げていた顔が真剣な顔に変わった。そして腕を伸ばすとソコロの殴られた頬に触れる。
「あっ……つい子供の頃の癖で。すまない。」
「ふふふ、大丈夫よ。あれからどれくらい経ったと思ってるの?もう腫れも引いたし、あのときだってそんなに、強く叩かれたわけじゃないのよ」
「怪我のない様子に安心した。――あいつは王族を離れて臣籍降下が決まったようだ。国王からそう言われたときは、流石に呆然として項垂れていたそうだ」
「……そう。でもしょうがないわよね。国庫にまで手をつけていたら、流石に国王も庇いきれないでしょう」
「ソコロには悪いことをしたと言ってるぞ」
「今更……でしょう。後悔なされても、どうにもなりませんわ」
「そうだな。――だがあいつが、私が知っているあいつは……あんな奴じゃなかった」
「魅了のせいと仰りたいの?そうですわね、きっと影響はあったのでしょう。ですが、あそこまでされたわたくしには、魅了の影響など関係ないのです。それに……」
「それに?」
ソコロの頭に、瞳が熱を帯び愛しそうに目を細めて、ジョイを見る王太子が浮かぶ。
「殿下は間違いなく、ジョイ嬢を愛してましたわ。わたくしではなく」
「…………そうか」
二人に沈黙が降りる。遠くから数人の男子生徒が笑っている、笑い声が聞こえる。
「デイブは知っているでしょ?わたくしが殿下の為に生きてきたのは」
「そういう教育を、ソコロはされていたからだろ?」
「教育?ああそうね、王室の教育はそういうものですものね。――ですが、今わたくし空っぽですの。これからは何の為に生きたらいいか分からないのです」
そっとソコロは俯いた。
「簡単なことだよ。ソコロの為に生きたらいいじゃないか」
「わたくしの為に?」
ソコロは意外な言葉を聴いたかのように、俯いていた顔を上げてデイブを見た。デイブは優しい瞳で穏やかに笑っていた。
「そうだよソコロ。君は君の為に生きればいい。どうせ婚約解消したんだ、暫くはいい縁などないだろ」
茶目っ気たっぷりにデイブが笑う。ソコロも釣られて笑う。
「そうね。デイブの言う通りね、わたくしはわたくしの為に生きればいいのよね」
ソコロの中でふっと何かが軽くなった。『わたくしの為に生きる』を頭の中で意味は理解していても、実際にどうすればいいのかなど、一つも今のソコロには分からない。だけど時間はあるのだ。ゆっくり考えていけばいい。そうソコロは思った。
「ありがとう、デイブ。わたくし何かに気付けたようですわ」
「お礼ならアンバーに悪い虫が付かないように、見張ってくれるだけでいいから」
真剣な顔でソコロに言うデイブが可笑しくて、ソコロは声を上げて笑ってしまう。
――そうね、今度はデイブみたいに愛してくれる人に出会いたいわ。……留学とかしてみてもいいかもね。うん。わたしらしく生きられそうな気がする
ソコロは抑圧されていたものから、解放されたように、美しく笑うのだった。
『ソコロ様のサロンに招かれるなんて光栄だな』
とその人は軽口をたたき、用事が終わったらいくよと言って颯爽と去っていった。
ダージリン、アップルティー、セイロン、アッサム
紅茶の種類はどれにしようか。ソコロは微笑みながら紅茶の入った陶器の入れ物を眺める。
そして今日の気分はこれねと決め、それを侍女に手渡した。
遠くの方で女学生らしき華やかな声が聞こえてくる。楽しそうな声にソコロも声のする方を眺めてふふふっと声を上げて少しだけ笑う。
庭園で王太子に頬を叩かれたソコロは、その後のことは、断片的にしか覚えてなかった。多分、デイブに助けられて安心したのと、殴られた衝撃のせいだろうとソコロは考察している。
公爵家でソコロが王太子との学園で起きた出来事の顛末を話すと、父は激昂し、母は静かに怒り、兄は激怒していた。
ソコロ一人が首を縦に振らない為に、暗礁に乗り上げてた王太子とソコロの婚約解消。
家族はとうに王太子とジョイの関係を知っていたし、その上で調査もしていた。だからソコロの知らない王太子とジョイの不適切な関係も、またジョイと側近達との不適切な関係も把握していた。
この日、初めてソコロは首を縦に振った。
その後の公爵家の動きは迅速だった。
国王へ王太子のソコロへの暴行から始まり、ジョイとの浮気の証拠の提出。ソコロをいかに疎かにしていたかの陳述から婚約の解消まで、淀みなく流れるようにモルガン公爵はしてみせた。
国王はぐうの音も出ず認めるしかなかった。
ここに王太子とソコロの婚約解消が成立した。
呆気ないものなのねがソコロの感想。婚約してから十三年、如何にも重みを感じてたけど、実はこんなに軽いものだったなんてね。ソコロから自嘲気味の笑いが漏れる。
王太子はソコロへの暴力行為により、謹慎処分になったとソコロは聞いた。きっとソコロとの婚約が解消になったのは王太子の耳にも入っているはず。どう考えているのか、どう思ってくれるのか。ちょっとでいいから後悔して欲しいな。それがソコロの本音。
ソコロと婚約が解消され、近いうちに王太子の廃太子が発表されるだろう。
王命のしかも王家とモルガン公爵家の、遺恨を改善する目的でなされた大切な縁組を、王太子の一方的な有責で破談になったのだから、もしかしたら王子でもいられなくなるかもしれない。だがもうソコロの知ったことではない。
ジョイに溺れ自分の立場も省みず、楽しんだツケが今まわってきたのよ。ツケは返さないといけないわ。でも高いツケになりそうだわね。思っていることは過激だったが、ソコロの顔は深く沈んだ色が濃く、決してそれを喜んでいる顔ではなかった。
ふわりとリバーレースが開き、待ち人のデイブがガゼボへ入ってきた。
「待たせたみたいだな。すまない」
「大丈夫よ、座ってデイブ。貴方と二人で話をするのも久しぶりね」
二人といっても侍女は控えている。
「子供の頃、学園に入学する前までだな」
王太子の婚約者だったソコロは、誤解を受けない行動を心がけていた。デイブとは王太子と一緒にころころ育った幼馴染でも異性なので、二人になるのはなるたけ避けてきたが、もうソコロは王太子の婚約者ではないから、その気遣いも不必要だ。
「そうだったかしら?ところで今日はどんな用事で学園に」
「講師を引き受けたんだ。週に一~ニ度だがね」
「講師を?……あらあまり人好きではないデイブにしては、意外なことをなさるのね」
「学園にはアンバーがまだ通っているからな。目を離すわけにはいかないだろ。……目付け役だとでも思ってくれ」
目付け役って……とソコロは笑いそうになり、危うくティーポットからティーカップへ注いでいた紅茶をこぼしそうになる。
デイブは情が深い。だけどそれはほんの一部の人間に限られている。そしてそれ以外の人間にはとても冷たい。幸わいにもソコロはデイブの一部に入っている。そしてそれは王太子も……
「うふふ、アンバーは愛されてますのね。少し羨ましいわ」
「婚約はしたが、まだ婚姻はしていない。目を離すわけにはいかないだろう――ソコロが淹れてくれたお茶は久しぶりだが、やはりうまいな」
「お世辞言っても何もでないわよ。ふふふ」
デイブの少し口元を上げていた顔が真剣な顔に変わった。そして腕を伸ばすとソコロの殴られた頬に触れる。
「あっ……つい子供の頃の癖で。すまない。」
「ふふふ、大丈夫よ。あれからどれくらい経ったと思ってるの?もう腫れも引いたし、あのときだってそんなに、強く叩かれたわけじゃないのよ」
「怪我のない様子に安心した。――あいつは王族を離れて臣籍降下が決まったようだ。国王からそう言われたときは、流石に呆然として項垂れていたそうだ」
「……そう。でもしょうがないわよね。国庫にまで手をつけていたら、流石に国王も庇いきれないでしょう」
「ソコロには悪いことをしたと言ってるぞ」
「今更……でしょう。後悔なされても、どうにもなりませんわ」
「そうだな。――だがあいつが、私が知っているあいつは……あんな奴じゃなかった」
「魅了のせいと仰りたいの?そうですわね、きっと影響はあったのでしょう。ですが、あそこまでされたわたくしには、魅了の影響など関係ないのです。それに……」
「それに?」
ソコロの頭に、瞳が熱を帯び愛しそうに目を細めて、ジョイを見る王太子が浮かぶ。
「殿下は間違いなく、ジョイ嬢を愛してましたわ。わたくしではなく」
「…………そうか」
二人に沈黙が降りる。遠くから数人の男子生徒が笑っている、笑い声が聞こえる。
「デイブは知っているでしょ?わたくしが殿下の為に生きてきたのは」
「そういう教育を、ソコロはされていたからだろ?」
「教育?ああそうね、王室の教育はそういうものですものね。――ですが、今わたくし空っぽですの。これからは何の為に生きたらいいか分からないのです」
そっとソコロは俯いた。
「簡単なことだよ。ソコロの為に生きたらいいじゃないか」
「わたくしの為に?」
ソコロは意外な言葉を聴いたかのように、俯いていた顔を上げてデイブを見た。デイブは優しい瞳で穏やかに笑っていた。
「そうだよソコロ。君は君の為に生きればいい。どうせ婚約解消したんだ、暫くはいい縁などないだろ」
茶目っ気たっぷりにデイブが笑う。ソコロも釣られて笑う。
「そうね。デイブの言う通りね、わたくしはわたくしの為に生きればいいのよね」
ソコロの中でふっと何かが軽くなった。『わたくしの為に生きる』を頭の中で意味は理解していても、実際にどうすればいいのかなど、一つも今のソコロには分からない。だけど時間はあるのだ。ゆっくり考えていけばいい。そうソコロは思った。
「ありがとう、デイブ。わたくし何かに気付けたようですわ」
「お礼ならアンバーに悪い虫が付かないように、見張ってくれるだけでいいから」
真剣な顔でソコロに言うデイブが可笑しくて、ソコロは声を上げて笑ってしまう。
――そうね、今度はデイブみたいに愛してくれる人に出会いたいわ。……留学とかしてみてもいいかもね。うん。わたしらしく生きられそうな気がする
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