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前編
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雨がしとしとと降っている。
王都学園の一階の校舎と講堂を繋ぐ渡り廊下には、屋根があるから雨が降っていても濡れなくてすむ。
ソコロ・モルガン公爵令嬢は、屋根のある渡り廊下のちょうど中間で、ソコロの右斜め前方の男女が目に入り足を止め息を殺した。
二人は渡り廊下から学園の庭園に出ようとしていて、傘がないのをどうしようかと途方に暮れながらも、どこか楽しそうだ。
女が男を見上げようと男へ目線を向けたとき、男側の少し離れた斜め後ろにいたソコロと目線が合った。女は一瞬、目を見開いたがすぐに戻り変わりに口元を歪めた。ソコロは無表情で女を見返していると、女は視線を男に戻し、より体を近づけて先ほどの続きとばかりに男を見上げた。まるでソコロに仲の良さを見せつけるように。
なにごとかを話し合い、くすくすと笑い男が上着を脱ぐと、男と女は先ほどより体を寄せ合って男の上着を被り、女の足取りに合わせて庭園に消えていった。
貴族のが多いが庶民もいる学園だ。貴族は婚約者といえど、あんなには体を寄せ合ったりしない。だが庶民の恋人同士は貴族より男女の距離が近い。学園内でも今のような距離の近い男女を見ないわけではない。取り立てて特別珍しい男女の姿ではないのにソコロが立ち止まったのは、男がソコロの婚約者だったからだ。
スチュアート・デラクール王太子
この国の第一王子
ソコロは婚約者のスチュアートを愛している。だからスチュアートが他の女と一緒にいる姿を見るのはやはり辛い。ソコロはスチュアートと女の姿が見えなくなると、溜め息を吐き歩きだす。
スチュアートとソコロは幼少期に婚約をした。政略結婚であったが仲は良かった。
幼馴染のデイブ・ルイス侯爵令息と三人で微笑めば微笑み返して同じ時を過ごしてきた。
スチュアートが王太子らしくある為に帝王学に励む姿をソコロは一番近くで見てきたし、また未来の王妃として厳しい王妃教育に励むソコロを一番近くで見てきたのはスチュアートだ。
あからさまに励ましの言葉などなくても、お互いに胸の内は分かり合えていて、お互いに愛し合っている。ソコロは疑ったことがなかった。確かに始まりは王命の政略結婚だけどソコロには不満もないし、相手がスチュアートで幸せだった。
実際にスチュアートとソコロの仲の良さは国民にも知られているし、相思相愛な次期国王と王妃を国民は歓迎している。
それは貴族の間でも同じで、礼儀知らずで無知、その上享楽的な王太子妃に国を滅ぼしかけられた過去をもつこの国は、ソコロの己を律することのできる性格や、淑女の鏡と言われる振る舞いを、王妃として好ましいと貴族達にも認められていた。
今年スチュアートが学園を卒業し、来年のソコロの卒業を待って結婚式を挙げる予定も来年の国の行事としてすでに組み込まれている。
その準備も早々に始まっていて王妃教育は終了したのに、今はそちらの細々としたことにソコロは時間を取られていた。
すべてが順風満帆に進み、そこに憂いなどひと欠片も存在しない完璧な歩み……だったのだつい最近までは。
雲行きが怪しくなったのは、一人の女生徒の存在。
ジョイ・リベラ男爵令嬢
今年編入してきたこの少女は、リベラ男爵が戯れに手を出した侍女が産んだ娘だそうだ。探していて見つかったのが一年前で、それまで彼女は市井で育ち、一年貴族のマナーを学ばせたのちに、この学園に編入させたとソコロは噂で聞いている。
だが実際は、どんな貴族のマナーを学んできたのか聞きたくなるような有り様だし、庶民の生活が長いせいか男性に対しての距離も見えている部分も見えてない部分も近い。
さっきのように。
そう先ほど、スチュアートの上着を被り庭園に一緒に消えて行ったのがジョイだ。
ジョイは編入してくると、あっという間に多くの男性と懇意になり、下級貴族から高位貴族へと乗り換えて、この学園で一番身分の高いスチュアート王太子へとたどり着いた。その間わずか三ヶ月。
たまにスチュアートがソコロに隠れて遊び慣れた下級貴族の令嬢と付き合っているのをソコロは知っていた。
ソコロも内心では歓迎できないけど、ソコロは婚姻を結ぶまでスチュアートと令嬢達みたいな関係にはなれない。王家は純潔を尊ぶ。だから気持ちは別として目を瞑った。それに王家に嫁ぐ身であれば愛妾の存在を否定してはいけない。それに
常にソコロを婚約者として公の場で学園で、尊重してくれたのも目を瞑れた理由の一つ目。
隠れて付き合うどの令嬢よりも婚約者のソコロを優先してくれたのが理由の二つ目。
スチュアートが隠れて付き合っていた、どの令嬢とも長続きしていなかったのが理由の三つ目。
だから今回も楽観視していた。ああいつもの内緒ごとなのだと。
だけどスチュアートがソコロよりもジョイを優先しだしたことで、いつもとは違うのだとソコロは悟る。
日々に変化が起こりだす。まず週にニ~三回は一緒に過ごした学園でのランチタムがなくなった。側近候補達との親睦を図るためと言われれば、その席にジョイがいてもソコロには文句が言えなかった。そのうちソコロがスチュアートの目前に行くと、露骨に顔を歪められ嫌な顔をされるようになる。ソコロは理由が分からず困惑した。自然と距離が遠のき会話する機会も減る。
スチュアートとソコロの仲に比例するようにスチュアートの側近候補達との距離も遠くなった。それどころか学園内ですれ違えばソコロは睨まれることすらある。睨まれる理由に思い当たる節がなくソコロはただただ戸惑うばかりだった。
その頃から側近候補達の婚約者から頻繁に相談がもたらされるようになる。内容はジョイと側近候補達の仲についてだ。側近候補達と婚約者との婚約には、王命の婚約も家同士の繋がりを深める為のもの、中には婚約が解消又は破棄になれば国の経済に大きな損失を与えそうなものも含まれていた。
これにはソコロも頭を抱える。未来の王太子妃、王妃として見過ごすわけにはいかない。だが打開する妙案も正直ソコロはもち合わせていない。
涙を溜めて声を震わせ話をする令嬢達に、ソコロはやり切れない気持ちで話を聞くしかなく、なんの力にもなれない自分に失望しかなかった。
しかし失望している暇はない。兎に角、スチュアートと話をしなければとソコロは熱り立つものの、頭にはスチュアートの歪められた顔が浮かび、ソコロの顔も曇る。
もしスチュアートが話を聞いてくれない場合は、告げ口のようで嫌だけど王妃まで話をもっていくとソコロは決めた。たかが婚約、されど婚約。修復不可能となるまで国の為にも指を咥えて見ているわけにはいかない。
でもまずはスチュアートだ。どうにかしてスチュアートと話をしなければ。その日からソコロはスチュアートと話をする機会を伺った。だがその行為は図らずもスチュアートとジョイが一緒にいる姿をソコロが目にしなくてはいけない局面をも増やす。ソコロの心は悲鳴をあげた。――自分の顔は確認できないけど、醜い顔をしているのは確かだ。ソコロは自分の醜い顔を想像してみる。嫉妬に歪む顔、憎しみにかられ醜い顔、厭悪に燃える顔。どれも今までのソコロがしたことのない顔。だけど今のソコロはしているのだろう。きっと頻繁に。
最近はスチュアートの予定がソコロには把握できない。それ故にスチュアートの行きそうな場所を推測し、ソコロが先回りするようにはしているが、大抵がジョイが一緒の為に会うまでにも至らずにソコロが身を引く形になる。
今も生徒会室の扉の前にソコロはぴんと背筋を伸ばして立っていた。生徒会の活動としては今日は休みのはずだが、内部に人の気配があった。ノックをしようと上げた右腕を扉を叩く瞬間に止める。内部から声が聞こえてきたからだ。それは女の声だった。正確には喘ぎ声……。同時にギシギシというなにかが歪む音に連動するように、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が続く。そして女の口から漏れた人名……『あっ……スチュアート様』いくら経験のないソコロでも内部でなにが行われているかは想像がついた。ソコロの頭の中に黒い渦が巻き、体が小刻みに震える。ばくばくとする心臓を落ちつけようと、胸に手を当て目を瞑り深呼吸をする。どうにか気持ちを落ちつかせたソコロは、踵を返すとその場を離れたのだった。
ソコロが気が付くと、生徒間でソコロ様のサロンと呼ばれているガゼボにいた。今日はお友達を呼んでお茶会をする予定はないので、わざわざお茶会の為に呼ばれるモルガン公爵家の侍女の姿はない。ガゼボ内の椅子に力が抜けたようにソコロは座り込んだ。
本当のことを言えば、以前からソコロはスチュアートとの関係をどうすれば良いのか分からなくなっていた。スチュアートに近づけば顔を歪められ、避けられて満足に話もできないのに、このまま婚約していていいのだろうか。ソコロはスチュアートを愛してる。それは今でも揺るがない。揺るがないが、こんな状態で婚姻したとしてもソコロは幸せになれるのか。ソコロには幸せになれるとは、とても思えなかった。
王都学園の一階の校舎と講堂を繋ぐ渡り廊下には、屋根があるから雨が降っていても濡れなくてすむ。
ソコロ・モルガン公爵令嬢は、屋根のある渡り廊下のちょうど中間で、ソコロの右斜め前方の男女が目に入り足を止め息を殺した。
二人は渡り廊下から学園の庭園に出ようとしていて、傘がないのをどうしようかと途方に暮れながらも、どこか楽しそうだ。
女が男を見上げようと男へ目線を向けたとき、男側の少し離れた斜め後ろにいたソコロと目線が合った。女は一瞬、目を見開いたがすぐに戻り変わりに口元を歪めた。ソコロは無表情で女を見返していると、女は視線を男に戻し、より体を近づけて先ほどの続きとばかりに男を見上げた。まるでソコロに仲の良さを見せつけるように。
なにごとかを話し合い、くすくすと笑い男が上着を脱ぐと、男と女は先ほどより体を寄せ合って男の上着を被り、女の足取りに合わせて庭園に消えていった。
貴族のが多いが庶民もいる学園だ。貴族は婚約者といえど、あんなには体を寄せ合ったりしない。だが庶民の恋人同士は貴族より男女の距離が近い。学園内でも今のような距離の近い男女を見ないわけではない。取り立てて特別珍しい男女の姿ではないのにソコロが立ち止まったのは、男がソコロの婚約者だったからだ。
スチュアート・デラクール王太子
この国の第一王子
ソコロは婚約者のスチュアートを愛している。だからスチュアートが他の女と一緒にいる姿を見るのはやはり辛い。ソコロはスチュアートと女の姿が見えなくなると、溜め息を吐き歩きだす。
スチュアートとソコロは幼少期に婚約をした。政略結婚であったが仲は良かった。
幼馴染のデイブ・ルイス侯爵令息と三人で微笑めば微笑み返して同じ時を過ごしてきた。
スチュアートが王太子らしくある為に帝王学に励む姿をソコロは一番近くで見てきたし、また未来の王妃として厳しい王妃教育に励むソコロを一番近くで見てきたのはスチュアートだ。
あからさまに励ましの言葉などなくても、お互いに胸の内は分かり合えていて、お互いに愛し合っている。ソコロは疑ったことがなかった。確かに始まりは王命の政略結婚だけどソコロには不満もないし、相手がスチュアートで幸せだった。
実際にスチュアートとソコロの仲の良さは国民にも知られているし、相思相愛な次期国王と王妃を国民は歓迎している。
それは貴族の間でも同じで、礼儀知らずで無知、その上享楽的な王太子妃に国を滅ぼしかけられた過去をもつこの国は、ソコロの己を律することのできる性格や、淑女の鏡と言われる振る舞いを、王妃として好ましいと貴族達にも認められていた。
今年スチュアートが学園を卒業し、来年のソコロの卒業を待って結婚式を挙げる予定も来年の国の行事としてすでに組み込まれている。
その準備も早々に始まっていて王妃教育は終了したのに、今はそちらの細々としたことにソコロは時間を取られていた。
すべてが順風満帆に進み、そこに憂いなどひと欠片も存在しない完璧な歩み……だったのだつい最近までは。
雲行きが怪しくなったのは、一人の女生徒の存在。
ジョイ・リベラ男爵令嬢
今年編入してきたこの少女は、リベラ男爵が戯れに手を出した侍女が産んだ娘だそうだ。探していて見つかったのが一年前で、それまで彼女は市井で育ち、一年貴族のマナーを学ばせたのちに、この学園に編入させたとソコロは噂で聞いている。
だが実際は、どんな貴族のマナーを学んできたのか聞きたくなるような有り様だし、庶民の生活が長いせいか男性に対しての距離も見えている部分も見えてない部分も近い。
さっきのように。
そう先ほど、スチュアートの上着を被り庭園に一緒に消えて行ったのがジョイだ。
ジョイは編入してくると、あっという間に多くの男性と懇意になり、下級貴族から高位貴族へと乗り換えて、この学園で一番身分の高いスチュアート王太子へとたどり着いた。その間わずか三ヶ月。
たまにスチュアートがソコロに隠れて遊び慣れた下級貴族の令嬢と付き合っているのをソコロは知っていた。
ソコロも内心では歓迎できないけど、ソコロは婚姻を結ぶまでスチュアートと令嬢達みたいな関係にはなれない。王家は純潔を尊ぶ。だから気持ちは別として目を瞑った。それに王家に嫁ぐ身であれば愛妾の存在を否定してはいけない。それに
常にソコロを婚約者として公の場で学園で、尊重してくれたのも目を瞑れた理由の一つ目。
隠れて付き合うどの令嬢よりも婚約者のソコロを優先してくれたのが理由の二つ目。
スチュアートが隠れて付き合っていた、どの令嬢とも長続きしていなかったのが理由の三つ目。
だから今回も楽観視していた。ああいつもの内緒ごとなのだと。
だけどスチュアートがソコロよりもジョイを優先しだしたことで、いつもとは違うのだとソコロは悟る。
日々に変化が起こりだす。まず週にニ~三回は一緒に過ごした学園でのランチタムがなくなった。側近候補達との親睦を図るためと言われれば、その席にジョイがいてもソコロには文句が言えなかった。そのうちソコロがスチュアートの目前に行くと、露骨に顔を歪められ嫌な顔をされるようになる。ソコロは理由が分からず困惑した。自然と距離が遠のき会話する機会も減る。
スチュアートとソコロの仲に比例するようにスチュアートの側近候補達との距離も遠くなった。それどころか学園内ですれ違えばソコロは睨まれることすらある。睨まれる理由に思い当たる節がなくソコロはただただ戸惑うばかりだった。
その頃から側近候補達の婚約者から頻繁に相談がもたらされるようになる。内容はジョイと側近候補達の仲についてだ。側近候補達と婚約者との婚約には、王命の婚約も家同士の繋がりを深める為のもの、中には婚約が解消又は破棄になれば国の経済に大きな損失を与えそうなものも含まれていた。
これにはソコロも頭を抱える。未来の王太子妃、王妃として見過ごすわけにはいかない。だが打開する妙案も正直ソコロはもち合わせていない。
涙を溜めて声を震わせ話をする令嬢達に、ソコロはやり切れない気持ちで話を聞くしかなく、なんの力にもなれない自分に失望しかなかった。
しかし失望している暇はない。兎に角、スチュアートと話をしなければとソコロは熱り立つものの、頭にはスチュアートの歪められた顔が浮かび、ソコロの顔も曇る。
もしスチュアートが話を聞いてくれない場合は、告げ口のようで嫌だけど王妃まで話をもっていくとソコロは決めた。たかが婚約、されど婚約。修復不可能となるまで国の為にも指を咥えて見ているわけにはいかない。
でもまずはスチュアートだ。どうにかしてスチュアートと話をしなければ。その日からソコロはスチュアートと話をする機会を伺った。だがその行為は図らずもスチュアートとジョイが一緒にいる姿をソコロが目にしなくてはいけない局面をも増やす。ソコロの心は悲鳴をあげた。――自分の顔は確認できないけど、醜い顔をしているのは確かだ。ソコロは自分の醜い顔を想像してみる。嫉妬に歪む顔、憎しみにかられ醜い顔、厭悪に燃える顔。どれも今までのソコロがしたことのない顔。だけど今のソコロはしているのだろう。きっと頻繁に。
最近はスチュアートの予定がソコロには把握できない。それ故にスチュアートの行きそうな場所を推測し、ソコロが先回りするようにはしているが、大抵がジョイが一緒の為に会うまでにも至らずにソコロが身を引く形になる。
今も生徒会室の扉の前にソコロはぴんと背筋を伸ばして立っていた。生徒会の活動としては今日は休みのはずだが、内部に人の気配があった。ノックをしようと上げた右腕を扉を叩く瞬間に止める。内部から声が聞こえてきたからだ。それは女の声だった。正確には喘ぎ声……。同時にギシギシというなにかが歪む音に連動するように、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が続く。そして女の口から漏れた人名……『あっ……スチュアート様』いくら経験のないソコロでも内部でなにが行われているかは想像がついた。ソコロの頭の中に黒い渦が巻き、体が小刻みに震える。ばくばくとする心臓を落ちつけようと、胸に手を当て目を瞑り深呼吸をする。どうにか気持ちを落ちつかせたソコロは、踵を返すとその場を離れたのだった。
ソコロが気が付くと、生徒間でソコロ様のサロンと呼ばれているガゼボにいた。今日はお友達を呼んでお茶会をする予定はないので、わざわざお茶会の為に呼ばれるモルガン公爵家の侍女の姿はない。ガゼボ内の椅子に力が抜けたようにソコロは座り込んだ。
本当のことを言えば、以前からソコロはスチュアートとの関係をどうすれば良いのか分からなくなっていた。スチュアートに近づけば顔を歪められ、避けられて満足に話もできないのに、このまま婚約していていいのだろうか。ソコロはスチュアートを愛してる。それは今でも揺るがない。揺るがないが、こんな状態で婚姻したとしてもソコロは幸せになれるのか。ソコロには幸せになれるとは、とても思えなかった。
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