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前編
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「ジュエル・ノルデンソン!貴様とは婚約破棄させてもらう!!」
第一王子であるアンジェ様の突然の宣言に場が静まり返った。全ての人々が驚きの表情を一応はしていた。
だが、噂話が好きな貴族の中では、やはりかといった胸中の者もいた。
アンジェ様は蔑むように僕をみている。アンジェ様の横には男爵令嬢のメーリが勝ち誇った顔をしていた。
正直、男爵令嬢の悪意や周囲の下衆な好奇の視線は気分のいいものではない。
だが、これからの自分の人生を考えて慎重に発言しなければいけない場面なのだからと少し気合いをいれてアンジェ様を静かに見返した。
◇◇◇◇◇◇
アンジェ様が男爵令嬢と懇意にされている。
そんな噂話がジュエルの所まで届くようになったのは、半年ほど前だっただろうか。最初は半信半疑だったジュエルも、二人の仲睦まじい姿を見てしまいショックを受けたようだ。
元々病弱な所があるジュエル。
ある日高熱を出してベットで苦しんでいると、ふと別の誰かの記憶がぱらぱらと走馬灯のように駆け巡った。
ジュエルは怒涛のような記憶の嵐に耐えきれなくなり、気がついた時にはジュエルは僕になっていた。
ジュエルとしての記憶はある僕は公爵令息として普段通りの生活を送っていた。
その中の一つとして、最近噂になっている婚約者のアンジェ様との二人でのお茶会が定期的にあった。
ジュエルが僕になる前は普通にお茶会をしていたのだけれど、僕になってからはお茶以外でも僕は楽しい時間をアンジェ様と過ごしていた。
アンジェ様は見た目だけは僕好みなのだ。情熱的な真っ赤な髪にオレンジ色の瞳。すらりとした肢体。
もう一度いうが見た目は好みなのだ。だが性格は残念だが好みではなかった。ジュエルは恋愛感情があったようだが僕は全くなかった。
だから、もういいかなと思った僕はあの日婚約破棄を受け入れて未来の王妃になるはずの男爵令嬢を虐めたという冤罪を受け入れ平民になることになった。
◇◇◇◇◇◇
「お疲れさまです、今日はどうでしたか?」
「いい感じの穴場見つけて、沢山薬草採取できたよ。コハクさんのアドバイスのおかげだ!ありがとう!」
「いえいえ、お役にたてたならよかったです」
まだ若い冒険者に成り立ての少年がにこにことお礼をしてくる。
婚約破棄されてから平民になった僕は名前をコハクに変えて街に降りることにした。職を探していた僕に紹介された職業の中で選んだのが、ギルドの受付係だった。
ギルドの受付係はまさに天職だった。
極端な体型しかいない男性貴族達と違い、冒険者は、ほどよく筋肉のついた魅力的な男達が沢山いた。中には僕好みの美青年や美中年、美少年もいる。
今目の前にいるこの少年もなかなか魅力だ。
「あ、あの!仕事終わったらお礼に一緒に食事でもどうですか!」
「……ごめんなさい。仕事関係の人とは仕事以外では会わないことにしてるんだ」
「そ、そうですか……残念です」
断られてしゅんとする少年にきゅんとなるが、主義を変えるつもりはない。薬草の査定をして少年に報酬を渡し、次々と来る冒険者をさばいていく。
「ふう。今日も疲れたな~」
「今日のあの少年、可愛かったなあ~。あ~あ、誰か誘ってから帰ろうかな」
そんなことを考えてた。
受付が終わり自宅に帰る途中に、後ろから急に誰かに抱き締められた。
「……ジュエル!」
なんか、聞いたことある声だな。もう関わらなくていいかなと思っていた相手の声に似ているな。違うといいなと思いつつ振り向くと、
「……アンジェ様、、お久しぶりですね……」
やはり、アンジェ様だった。
とりあえず、街の知り合いに見られたくはないので急いで自宅に連れて帰った。
自宅に入りガチャリとドアの鍵を閉めてすぐにアンジェ様は僕を抱き締めてキスをしてきた。
「……ジュエル、、ジュエル……はぁ、んっ」
甘ったるい声色で僕の名前を呼ぶアンジェ様。自分勝手に僕の唇を舐めあげ、舌を絡ませようと舌を伸ばしてくる。勝手にしたいようにさせているが自分からはなにもしない。
必死に求めているのに何も反応しない僕に、アンジェ様は何か言おうとするが言葉がうまく出ないらしい。
潤んだ瞳で僕を見つめる姿が昼間の少年と重なる。少しだけ、ぞくりとしたものが背中に流れた。後々、面倒になりそうだが基本的に僕は欲望に忠実だ。
僕はアンジェ様の下唇を指でなぞりながら、囁く。
「……僕が欲しいですか?」
「…あ、ああ」
欲望で濡れきった声で肯定するアンジェ様。
ベットに連れていき、ゆっくりと服を脱がせていく。はあはあとアンジェ様の荒れた呼吸音が聞こえる。
僕は自分の下唇を舐め、食べられるためにやって来た獲物を味わうことにした。
第一王子であるアンジェ様の突然の宣言に場が静まり返った。全ての人々が驚きの表情を一応はしていた。
だが、噂話が好きな貴族の中では、やはりかといった胸中の者もいた。
アンジェ様は蔑むように僕をみている。アンジェ様の横には男爵令嬢のメーリが勝ち誇った顔をしていた。
正直、男爵令嬢の悪意や周囲の下衆な好奇の視線は気分のいいものではない。
だが、これからの自分の人生を考えて慎重に発言しなければいけない場面なのだからと少し気合いをいれてアンジェ様を静かに見返した。
◇◇◇◇◇◇
アンジェ様が男爵令嬢と懇意にされている。
そんな噂話がジュエルの所まで届くようになったのは、半年ほど前だっただろうか。最初は半信半疑だったジュエルも、二人の仲睦まじい姿を見てしまいショックを受けたようだ。
元々病弱な所があるジュエル。
ある日高熱を出してベットで苦しんでいると、ふと別の誰かの記憶がぱらぱらと走馬灯のように駆け巡った。
ジュエルは怒涛のような記憶の嵐に耐えきれなくなり、気がついた時にはジュエルは僕になっていた。
ジュエルとしての記憶はある僕は公爵令息として普段通りの生活を送っていた。
その中の一つとして、最近噂になっている婚約者のアンジェ様との二人でのお茶会が定期的にあった。
ジュエルが僕になる前は普通にお茶会をしていたのだけれど、僕になってからはお茶以外でも僕は楽しい時間をアンジェ様と過ごしていた。
アンジェ様は見た目だけは僕好みなのだ。情熱的な真っ赤な髪にオレンジ色の瞳。すらりとした肢体。
もう一度いうが見た目は好みなのだ。だが性格は残念だが好みではなかった。ジュエルは恋愛感情があったようだが僕は全くなかった。
だから、もういいかなと思った僕はあの日婚約破棄を受け入れて未来の王妃になるはずの男爵令嬢を虐めたという冤罪を受け入れ平民になることになった。
◇◇◇◇◇◇
「お疲れさまです、今日はどうでしたか?」
「いい感じの穴場見つけて、沢山薬草採取できたよ。コハクさんのアドバイスのおかげだ!ありがとう!」
「いえいえ、お役にたてたならよかったです」
まだ若い冒険者に成り立ての少年がにこにことお礼をしてくる。
婚約破棄されてから平民になった僕は名前をコハクに変えて街に降りることにした。職を探していた僕に紹介された職業の中で選んだのが、ギルドの受付係だった。
ギルドの受付係はまさに天職だった。
極端な体型しかいない男性貴族達と違い、冒険者は、ほどよく筋肉のついた魅力的な男達が沢山いた。中には僕好みの美青年や美中年、美少年もいる。
今目の前にいるこの少年もなかなか魅力だ。
「あ、あの!仕事終わったらお礼に一緒に食事でもどうですか!」
「……ごめんなさい。仕事関係の人とは仕事以外では会わないことにしてるんだ」
「そ、そうですか……残念です」
断られてしゅんとする少年にきゅんとなるが、主義を変えるつもりはない。薬草の査定をして少年に報酬を渡し、次々と来る冒険者をさばいていく。
「ふう。今日も疲れたな~」
「今日のあの少年、可愛かったなあ~。あ~あ、誰か誘ってから帰ろうかな」
そんなことを考えてた。
受付が終わり自宅に帰る途中に、後ろから急に誰かに抱き締められた。
「……ジュエル!」
なんか、聞いたことある声だな。もう関わらなくていいかなと思っていた相手の声に似ているな。違うといいなと思いつつ振り向くと、
「……アンジェ様、、お久しぶりですね……」
やはり、アンジェ様だった。
とりあえず、街の知り合いに見られたくはないので急いで自宅に連れて帰った。
自宅に入りガチャリとドアの鍵を閉めてすぐにアンジェ様は僕を抱き締めてキスをしてきた。
「……ジュエル、、ジュエル……はぁ、んっ」
甘ったるい声色で僕の名前を呼ぶアンジェ様。自分勝手に僕の唇を舐めあげ、舌を絡ませようと舌を伸ばしてくる。勝手にしたいようにさせているが自分からはなにもしない。
必死に求めているのに何も反応しない僕に、アンジェ様は何か言おうとするが言葉がうまく出ないらしい。
潤んだ瞳で僕を見つめる姿が昼間の少年と重なる。少しだけ、ぞくりとしたものが背中に流れた。後々、面倒になりそうだが基本的に僕は欲望に忠実だ。
僕はアンジェ様の下唇を指でなぞりながら、囁く。
「……僕が欲しいですか?」
「…あ、ああ」
欲望で濡れきった声で肯定するアンジェ様。
ベットに連れていき、ゆっくりと服を脱がせていく。はあはあとアンジェ様の荒れた呼吸音が聞こえる。
僕は自分の下唇を舐め、食べられるためにやって来た獲物を味わうことにした。
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