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9. 欲情② *

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今回はがっつりR-18回です。
背後にご注意ください(´・ω・`)










 ぶるりと大きく体を震わせた誠吾は、そのまま奏多の薄い体に馬乗りになってベッドに縫い付けるように覆い被さった。

 獣型が解除されたとはいえ、筋肉質でしっかりした体つきの誠吾は奏多より二十キロは重い。起きぬけなのに首筋にはほんのりと汗をかいて、艶のある金髪が張り付いている。奏多はそのまま少しも動かず、動けず、ただ、はあはあと荒い息を吐いて自分を見下ろしている誠吾から目を離せなかった。

 ついさっき奏多が舐めたばかりの尖った犬歯を舌なめずりする。口の中で赤い舌がうごめくのを見て、奏多は今から自分が食われることを実感して瞬きをした。


「奏多……」


 獲物を狙う目つきのくせに、奏多を呼ぶ声はとろけそうに甘い。まるで猫がすり寄るように、誠吾は奏多の首筋に鼻をこすりつけた。自然と耳元すぐに誠吾の荒い吐息がかかって、今度は奏多の方がぶるりと体を震わせて目を閉じた。

 目を閉じると、奏多、奏多、と何度も自分の名前を呼ぶその声が頭の中をぐわんぐわんと揺らして、そうなるともう何も考えられなくなる。それがたまらなく気持ちがいい、と今までに何度も誠吾と体を繋げた奏多は知っていた。


 下半身は馬乗りで固定され、上半身は両手を頭上で誠吾の手によってひとまとめにされて動けない。首筋を熱い舌で舐められて、ぞわぞわと自分の中心部にも熱がたまっていくのを感じた。


「誠吾くん、手ぇ離してよ」
「……何でだ?」
「俺も誠吾くんのこと触りたいから」
「…………ふうん」


 首筋を這う舌の動きが止まって、そっと両手を縛っていた誠吾の手が離れた。ちょっとだけ肩に違和感があるけれど、そのうち消えるだろう。自由を取り戻した両手を、奏多は誠吾の屹立へと伸ばした。まったく触っていなかったにも関わらず、その先端からは既に露があふれている。


「うわ」
「…………うわ、とか言うな」
「だって先走りがすごいんやもん。びっくりするって」
「久しぶりなんだから仕方ないだろ……」
「うん、わかっとるよ。俺も嬉しい」


 下から上に擦り上げるとさらに露があふれて、動かすたびにとろみのある水音が聞こえた。


「ん、奏多……そんなに強く、するなっ……やばいから……」
「触っとるだけやん」
「奏多の手が気持ち良すぎて、やばいんだよ……っ」
「へへ」


 最後にしたのは引越前だったから、数ヶ月ぶりの接触は、性欲がそこまで強くない奏多と違って、獣人の誠吾にとってはきっと待ち望んでいた行為だ。気持ちよくなってもらえるのは素直に嬉しい。

 少しだけ擦る力は緩めたものの、両手の指を絡めながらゆるゆると扱き上げていく動きを続けると、誠吾の腰がより快感を求めて動き始めた。


「ああ、やめ、おいっ、もうイキそうだからやめろ……」
「イっていいよ。誠吾くん、イってもまだできるやろ?」
「できる、できるけどっ……一回目は奏多の中で、出したい……」
「え」


 誠吾はゆっくり上体を起こした。布団と一緒に、奏多のパジャマと下着を乱暴に剥ぎ取ってベッド下に捨てられた。あっという間にお互い裸になってしまっている。

 誠吾は、奏多の両脚を割るように広げ腰の下に枕を差し込むと、奏多のペニスを躊躇せず口に含んだ。

 赤黒く血管の浮き出ているグロテスクな誠吾のものと違って、奏多のものは一言で言って控えめだ。すべてが誠吾の口内におさまってしまって、それが余計に奏多の羞恥心を煽ったし、誠吾を興奮させた。


「ひぁっ!」


 思わず太ももで誠吾の顔を挟んでしまうものの、気にならないのかそのままじゅぷじゅぷと口の中で奏多の誠吾を吸い上げ、舐められ、しゃぶられる。獣化が解けたばかりの誠吾の口の中はとびきり熱くて、奏多はさっきまでの余裕が吹っ飛んでしまうのを感じた。


「うあ、あ、ううっ……」


 わざと大きな音を立ててしゃぶってることがわかっているのに、誠吾の強い吸い上げにたまらず声が出る。口の中で舌先が鈴口を刺激されて、誠吾の顔を挟んだ太ももから力が抜けていった。


「はは。奏多は、舐められるより吸われる方が好きだよな」
「…………そっこで、そこで、喋んなぁ……っ」
「やだ」
「あ、あーーっ!」


 じゅる、とさらに強く先端を吸われた瞬間に腰が跳ねて、目の前が真っ白になる。そのまま誠吾の口の中にどぷりと精液を吐き出した。一回で終わらずに、少量を何度も何度も鈴口から吐き出す。それを誠吾は一度も口を離さずに嚥下えんげした。

 はーっ、はーっ、と息が続かない奏多の体から、一気に力が抜けた。気持ちよさと恥ずかしさで目が潤む。濡れた眦に口づけると、誠吾は額に頬に、唇に、次々と唇を落としていった。


「あー……もう無理。奏多エロすぎ。たまんない。……奏多ん中に入りたい」


 ベッド下の引き出しを開けて、透明の液体が入ったボトルを取り出した。手のひらにたっぷりと出して人肌に温めたそれを指ですくい取ると、奏多の閉じた後孔に塗り込んでいく。マッサージするように指の腹で優しく撫でると、そこを使うのは久しぶりのはずなのに、節ばった誠吾の指がぬぷりと中に入った。


「……あ、ああ……」


 吐息が奏多の口から漏れる。


「まずは全部で三本、受け入れて?」
「……む、無理」
「無理じゃない。もっと太いの、いつも挿入いれてるだろ?」
「自慢かよ! ひ、久しぶりやん、……いきなり三本は無理やし」
「大丈夫。ちゃんと気持ちよくなるから」


 そう言う誠吾は、ローションを継ぎ足しながら奏多の後孔を責め立てていく。
 指が一本から二本、二本から三本になる頃には、奏多は全身を真っ赤にして喘ぐだけになっていた。


「奏多、かな、――飛ぶにはまだ早いよ」


 半分気絶しかかって、軽く頬を叩かれ意識を呼び戻された。

 頑張って目を開ければ、汗だくの誠吾が肩口に噛みついている。艶のある金髪が顔にかかって、何だかくすぐったい。二人とも下半身はもうどちらのものかわからない汁でドロドロだった。これでまだ挿入してないんだから、受け側としては体力の果てを感じて危機感がすごい。

 指が三本、余裕で入るまでに育った後孔をさらに押し広げながら、限界まで張り詰めた誠吾の屹立が侵入し始めた。指とは桁違いの圧迫感。誠吾が腰を動かすたび、奏多の口からは「お、お、」と小さな悲鳴が上がる。

 一応奏多を気遣ってるらしい誠吾は、焦らすようにゆっくり腰を進めてくる。このまま少しずつ来てくれという気持ちと、もういっそ一気に挿入いれてくれという気持ちが奏多の中でせめぎ合う。そしてこういう場合、後者を選ぶとろくな目に遭わないということもわかっていた。


「やばい……入口はめっちゃ締めてくんのに中はとろとろだし、奏多ん中、まじで気持ちいい……」
「…………せぇご、その、実況やめ、ろって」
「奏多の中が気持ちよすぎるのがいけないんだって……!」
「――――ひぃあっ!?」


 最奥まであともうちょっとというタイミングで、誠吾は笑って腰を大きく一突きした。奥の壁に太い先端がぶつかって、その勢いのまま最奥に精液を吐き出した。飛沫というよりも、ほぼ固まり状のものが何度も何度も吐き出されて、そのたびに誠吾の口から吐息が漏れる。

 奏多の内壁に染み込ませるように腰を前後にグラインドして、下生えを絡ませた。



 誠吾の額に張り付いた金髪をそっと指ではらってやると、目尻を下げて嬉しそうにキスをしてくる。唇と唇が触れるだけのキスを何度も繰り返すと、ようやく欲が落ち着いたのか、奏多の体を押しつぶすように重なって寝そべる。


「ちょ、重いんやけど?」
「ちょっとぐらい我慢しろ。この体勢が好きなんだよ」
「あー……はいはい。つか、まずそれよりも抜いて?」
「だめ」
「何でだよ、終わったんだから抜いて?!」


 再度ねだってみせたものの、もう一度「やだね」と断られて、上に覆い被さったまま寝息が聞こえてきた。後孔には少しだけ体積を減らした誠吾のものが挿入ったまま。

 汗だくの体にシーツがぺったりくっついて気持ちが悪い。誠吾の体も重い。きっと今この部屋は色んな匂いで充満していて臭いんだろうなと思ったら、すぐさま窓を開けて換気もしたい。

 ただ、この乗っかっている男が下りない限りは難しいことを悟って、奏多はため息をついた。さっき「一回目は奏多の中で」とか言っていたから、どうせまた起きたら性的に暴れるに違いない。


「あーあ。今日の一限目は、もう無理やんなぁ……」


 必修やなくて良かった……と思いながら、奏多は、目の前で幸せそうに眠る王子様に目を細めた。


――
さすがに獣型のまま行為に及んだらベッド壊れちゃうなと思って、人型での行為になりました(´・ω・`)
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