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最終章 王女と騎士
第三十八話
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──私と一緒に暮らさないか?
騎士悪鬼──滝口を前にしたせいか、かなり昔の記憶を思い出した。
無様に泣き叫ぶ俺に寄り添い、抱きしめながら言ってくれた、あの一言。
──滝口さん。あなたは覚えてないかもしれませんが、あの一言でどれだけ救われたか、今でも覚えています。
だから今度は、俺があなたを救う。
そして謝らせてくれ。八年前の、あなたの善意を無碍に扱ってしまった事を。
戦う決心がつくと、悪鬼はそれを待っていたかのように動いた。
足が地面に離れるより早く腰を落とし、構えた長剣を前に突き出す。
予備動作無しによる刺突の狙いは、鎧で覆われていない喉元。腕の振り、腰の捻り、足の動きを駆使して繰り出される一撃は凄まじい速さと勢いを持っており、かするだけでも喉を切り裂く威力を秘めている。
既に避けられない間合いにまで入っている。呪力で防げそうになく、無理にかわせば追撃の可能性もある。
どうすればいいか考えるより先に、体が動く。
長剣の切先が喉元に触れる寸前、空いた左手で剣脊を叩き、剣の軌道を左に逸らす。
切先は喉元ではなく空を切り、悪鬼が間合いに入った瞬間、腹部に向けて拳を振る。
「ガ──‼︎」
呻き声らしきものを上げ、数歩後ずさる悪鬼。
すかさず鎧騎士は、体勢をわずかに崩した悪鬼に向けて、追撃の刺突を浴びせる。
しかし悪鬼は、数回受けただけですぐに体勢を戻し、下から斬り上げた長剣で連撃を受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。
槍と剣が軋み、槍を押し返そうとしてくる。
そのタイミングで、一気に剣を引く。
ぎゃりん! と刃が滑り、薄闇に一直線の火花が咲く。鎧騎士は後方に押しやられ、悪鬼は前につんのめる。
ここで踏み留まろうとすれば、速やかに体勢を立て直した悪鬼の一撃を喰らうだろう。勢いに逆らわず、背中から地面へと倒れ込む。
頭の中でロットが意識を変わろうとしてきたが、その判断は二秒ばかり早すぎる。勝敗を決めるのは、鎧騎士の仕掛けが奏功するか否か。
背中が地面に叩きつけられる寸前、呪力で硬度を上げた右足を、悪鬼の顎目掛けて右足を振り抜いた。
一瞬早く反撃に気付き、上体を捩って蹴りを回避しようとするが、鍔迫り合いから前のめりに倒れかけた勢いがまだ残っている。鎧で保護された爪先が、無防備な下顎に吸い込まれていく。
「ッ……!」
悪鬼の口から、鋭い気合が発せられた。
長剣を握る右腕が、ぶんっと唸りを上げて真横に動く。だが、今更どんな斬撃を繰り出そうと、俺の蹴りの方が確実に速い。無視して撃ち抜けば先に届く…………
いや、そうじゃない。
滝口──悪鬼の狙いはカウンター攻撃ではない。剣の刀身ではなく柄頭で、俺の体ではなく右足を迎撃しようとしている。
蹴り足を横から打たれたら、軌道を逸らされ隙が生まれてしまう。
ならば、狙うべきは。
「────!」
歯を食い縛り、今に撃ち出されようとしている右足を懸命に引きとどめる。感覚的には一秒半だけ技の出を遅らせ、悪鬼の右手を先行させる。
────いま!
ガシィン!!
と硬質な衝撃音が轟いた。
足蹴りは当初狙った悪鬼の下顎ではなく、剣を握る右手の甲を捉えた。鎧の殴打をもろに受け、骨が砕けるのが感じ取れる。
悪鬼の右手は真上に跳ね上げられ、手中の長剣も弾き飛ばされて、くるくる回転しながら舞い上がり、後方に壁に突き刺さる。
その様子を高速で流れる視界の端に捉えながら、後方宙返りからの着地直後に追撃を放つべく槍を握り直す。
右足の靴底が、床に触れる。膝を曲げ、衝撃を吸収し、体勢が安定するや否や全力で蹴り飛ばす。左足を思い切り深く踏み込み、悪鬼の胸めがけて突き上げを繰り出す──。
「────!?」
極端に前傾した姿勢から攻撃しようと起き上がった先にあったのは、こちらに向けて突き出された悪鬼の右手と、掌の中央に浮かび上がる光点だった。
俺の槍が、悪鬼の胸に食い込む、その寸前。
「失せろ」
冷ややかな呟きが発せられ、光点が炸裂されると、発生した爆発的な火炎放射が鎧騎士を呑み込んだ。拓実に勝る火炎の奔流に、とても踏み留まれずに襤褸切れの如く吹き飛ばされる。
「ぐあっ……!」
呻き声を漏らしながら、両手を広げて懸命に姿勢を安定させる。殺人的な衝撃に翻弄されつつもどうにか体の回転を止め、床に両足を向ける。
着地した瞬間、強烈な衝撃が脳天まで突き抜け、しばしその場に膝をつき、全身の痺れをやり過ごす。
さっと顔を上げると、当然ながら悪鬼もかなり後方まで反動で押しやられている。腰を落とした姿勢から悠然と直立するその姿には、憎たらしいまでの余裕が感じられる。
遅れて立ち上がると、脳内からかすかな声が届いた。
『大丈夫か、悠斗?』
『全然大丈夫じゃない。なんだあの強さは』
火炎放射──呪力による攻撃だというのに、必殺技と同等かそれ以上の威力だった。直前に呪力の壁で防ぎはしたが、全部は防げずにまだ頭が痛む。
『普通の悪鬼とは違うとは言え、ここまで差があるのはおかしい。何か理由があるのか?』
『分からん。今言えるのは、一瞬たりとも油断をするな。奴はまだ何かを隠している』
「マジかよ……」
つい声が漏れてしまった。
同じ駒で実力差が出ているというのに、まだ秘密を抱えているなんて……果たして悪鬼を倒して先に進むことが出来るのか?
いや、弱気になっては駄目だ。
王を倒し、消滅させられた人々を救い出す。拓実と誓った約束を破る真似は……罪を重ねるわけにはいかない。
王と戦うまでは温存していたかったが、出し惜しみしてる場合ではない。
槍を放り投げ、剣型デバイスを機能拡張スロットに装着し、取り出したもう一つの駒──騎士を嵌め込む。
一匹の馬が鎧となって、既に取り付いた鎧に覆いかぶさるように装着される。天井から一筋の雷が降り注ぎ、雷光が二本の剣となって両腰に取り付く。
大きく息を吸い、吐いて、『シュバリエ』を握る。
悪鬼は長剣を、ぴたりと中段に構えた。一切の隙がない立ち姿を見て、ロットが囁く。
『変わるか?』
『駄目だ』
即座に否定してから、シュバリエを構える。
滝口を救うのは俺の役目だ。相棒とて、その役目を渡す訳にはいかない。
いつもなら一言申すロットも、今は何も言わない。
俺の意を汲んでくれた相棒に。
「……ありがとう」
と小さな呟きで応え、俺は意識を切り替えた。
今この瞬間から、戦闘に必要ないことは全て忘れる。剣と一体化し、身につけた技の限りを尽くして挑む。
もう一度深く息を吸い、ぐっと止める。
あらゆる雑音が、背景が、温度までもが遠ざかる。
「……‼︎」
無音の咆哮を迸らせ、猛然と床を蹴り飛ばす。
悪鬼は中段に構えたまま動かず、俺の撃ち込みを待ち受ける。
双闘形態によって実力差が埋まった今、無駄な小細工はいらない。
十メートルを瞬時に駆け抜け、突進のスピードを余さず乗せた右上段斬りを放つ。
対する悪鬼は、床を割り砕かんばかりの踏み込みから、両手持ちの右下段斬り上げを繰り出す。
黒と白銀の刃が激突し、眩い閃光を放って跳ね返る。この間合いでは、片手より両手の方が有利と判断し、柄頭に左手を添えて両手持ちに移行。重い剣に宿る慣性に逆らわず、最短の軌道を描いて大上段に構えると、
「オオオッ!」
溜めていた息を全て気合に変え、呪力を宿した剣を振り下ろす。
実力が互角ならば、全力の垂直斬りを、横斬りあるいは斜め斬りでの迎撃は出来ない。可能な対処は相打ち覚悟で同じ技を繰り出すか、剣の間合いから逃れるか、二つに一つだ。
しかし、今の悪鬼では相打ち覚悟で同じ技は出せない。
呪力を宿した聖剣『シュバリエ』は威力も硬度も素の時よりも遥かに強い。並大抵の剣ではへし折られてしまう。
今度こそ、届く──!
技を鈍らせる躊躇いを振り捨て、俺は剣を振り抜いた。
剣は甲高い金属音を放って装甲に食い込み、刹那の抵抗感を残して真下へと振り抜かれる。悪鬼の左の肩当てから胸当てにかけて、一直線の光の筋が走る。
直後、硝子質の破砕音を響かせて、装甲が砕け散る。
宙に舞う金属の細片に、真紅の飛沫が入れ混じる。手応えからして深傷ではないにしろ、俺の剣が滝口の体を切り裂いたことになる。
傷つけたと認識した瞬間、俺も同じ場所に、我が身を斬られたような痛みを覚える。避けがたく顔が歪むが、ここで手を止めるわけにはいかない。垂直斬りが床に達した瞬間に手首を返し、全身のバネを使って追撃の斬り上げる──寸前。
左肩から胸にかけてを斬られたばかりの悪鬼が、一瞬たりとも竦むことなく、右足で俺の剣を蹴り飛ばした。
その動作が、反撃のための踏み込みでもあることを悟り、戦慄しつつも懸命に体を傾ける。同時に、黒い剣が唸りを上げて左側から迫る。
辛くも首への直撃を回避したが、完全には躱せず、左肩を横一文字に切り裂かれる。痛みではなく凍り付くような冷たさを感じながら、右足で思い切り床を蹴り飛ばし、剣を振り抜いた直後の悪鬼めがけて体当たりをぶちかます。
今度こそ目も眩むような激痛が弾け、鮮血の雫が宙に舞った。
赤い霧の向こうに、倒れまいと左足を踏ん張る悪鬼の姿がある。
あの体勢から、即座の反撃は不可能。俺は片手持ちに戻したシュバリエを右上に構え、跳躍する。
右肩めがけて、斜め斬りを繰り出す。これが当たれば、両肩に傷を負った悪鬼はこれまでのようには剣を振れなくなるはずだ。
「は……あっ!」
叫び、斬撃を放とうとした、その刹那。
悪鬼の体の向こうから、赤い閃光が迸った。
驚愕に眼を見開きつつも、もはや剣を止めることはできず、そのまま振り下ろす。
一瞬遅れて、悪鬼の体が、反時計回りに猛然と回転する。左から、赤色の光の軌跡を引く水平斬りが迫る。
俺の剣と悪鬼の剣が激突し、今度は俺だけの剣が大きく弾き返された。
左肩から鮮血の破線を引きながら、俺と悪鬼は吸い寄せられるように、全く同じ動きで剣を真上に振りかぶった。
今度はこちらも、呪力を宿す。
二本の刃が、深いレッドの光を迸らせる。
眩いスパークを散らし、鬩ぎ合う。
二本の剣たちは、互いを喰い合うかのように交差したまま、オレンジの火花とレッドの光芒を大量に迸らせた。三度目の鍔迫り合いに入った俺と悪鬼は、至近距離で顔を突き合わせながら、斬撃を完遂するべく剣と腕をぎりぎりと軋ませる。
嚙み合う二本の剣の軋む音が、対消滅するように薄れていき、同時に剣を戻す。
渾身の撃ち込み。弾かれる。
悪鬼の斬撃。剣の根本で弾く。
二人とも足を止め、最短の間合いで剣を振るい続ける。剣戟の衝撃と火花が途切れることなく生まれ、周囲の空間を音と光で満たしていく。
「オ……オ、オオオ────ッ!!」
俺が吼える。
「ハ……ア、アアア────ッ!!」
悪鬼も、初めて雄叫びを放つ。
速く。もっと速く。
互いに相手が動くより速く剣を振る。次第に剣は残像を出すようになり、音を置き去りにする。
見えない剣戟の中、先に崩れたのは悪鬼。
鎧騎士の横切りを受け止めきれず、ほんのわずかに姿勢が崩れる。
そのわずかがデカい。
音速を超える剣戟では、瞬きすら危うい。一瞬の隙で窮地に陥る可能性などごまんとある。
悪鬼の姿勢が崩れるより速く、ブレスレットのボタンを押す。瞬時に駒を立て、倒す。
『必殺技・殲滅の雷』
剣戟中にシュバリエに蓄積された呪力が一筋の雷光となり、悪鬼に直撃する。
シュバリエは外部からの衝撃を呪力に変えて蓄積する事が出来る聖剣であり、溜まった呪力を殲滅の雷として放出すれば、並の悪鬼ならば触れただけで消滅する。
しかし、右眼のコンタクトレンズは悪鬼の姿をはっきりと捉えている。
瞬間、全身に悪寒が走り、脳内でロットが叫ぶ。
『避けろ、悠斗!』
時すでに遅し。
直撃によって生じた白煙が消し飛ばされ、朱色の雷光が放たれる。
雷光を認識した時には、既に直撃していた。
「ぐぁああああああ‼︎」
全身に鋭い痛みが走る。この威力は、殲滅の光だ。
雷光が止み、膝をつくと、長剣を振り下ろした体勢で静止している悪鬼が視界に入る。どういうわけか、傷一つ負っていない。
「何が……起きた」
攻撃を仕掛けた筈が、逆に一撃を受けた。しかも同じ攻撃を。
もしや、騎士悪鬼が隠し持つ特性は『コピー』で、俺の攻撃をコピーして打ち返してきたのか?
いや、それだと無傷の説明がつかない。ギリギリで躱したとも思えない。
『考え事は後にしろ!』
再び聞こえたロットの叫びで正気に戻る頃には、悪鬼は間近に迫り、剣を振り上げていた。
多くの悪鬼と戦い得た経験が活きたのか、気付くのと同時に『シュバリエ』を抜き、斬撃を迎撃する。
「グッ……!」
咄嗟の行動故に中途半端な力しか出ず、受け止めきれずに剣が弾かれてしまう。
悪鬼は流れるように剣を構え、続く二撃目を放つ。
二撃目をキャバリエで防ぐも、勢いに耐えきれずに防御が解けてしまう。
そして悪鬼は、今の展開を読んでいたかの如き繋ぎで剣を持ち直し、袈裟斬りを繰り出す。
両手の剣を弾かれてしまった鎧騎士に防ぐ術はなく、悪鬼の刃が深々と鎧を抉る。
「ガハッ!」
鎧を容易く切り裂き、わずかに皮膚を裂いて肉を抉り取られる。
鎧はすぐに修正され、肉体の損傷も治っていく。体の八割が呪力に侵された今、体の傷はロットが治療してくれる。
だが、痛みを感じないわけではない。傷が治ってなお傷口がズキズキと痛み、気色悪い感覚が鎧内を満たしている。
「このッ‼︎」
傷が治った瞬間、再度溜まった呪力を雷に変え、ゼロ距離で撃ち出す。
この距離ならかわせないと確信するも、目を見張る事が起きた。
突如、悪鬼の目の前に朱色の魔法陣が出現し、雷を吸収したのだ。
そして、吸収された雷が、今度はこちらに放たれる。
咄嗟にキャバリエで防ぎ、爆破の勢いに身を任せて悪鬼から距離を取る。
離れた位置に着地してから、一呼吸於いてロットに話しかける。
『今の、分かるか?』
一瞬の間を於いて、ロットが答える。
『カウンターだ』
『カウンター……』
『奴は自分に向けられた呪力による攻撃を倍以上の威力を持って跳ね返している』
そう考えれば、殲滅の雷を無傷で返してきた説明がつく。
しかし、だとしたら──。
『どう倒せばいいんだ?』
呪力による攻撃を跳ね返す敵。つまり、鎧騎士にとっては天敵も良いところだ。
必殺技も呪力を使った攻撃だ。蹴り技も足に呪力を宿して撃ち出す技だから効果は期待できない。
ならば、呪力抜きの純粋な剣での勝負だが、それも難しい。俺と悪鬼の剣術の差は大差ない。決め切れるか分からない。
悪鬼を倒すビジョンが思い浮かばない中、唐突にロットが答えを出した。
『呪力による二点同時攻撃……それしか方法はない』
突然出された名案に安心させられるも、すぐに不可能だと気付く。
ロットが出した策を実行するには二人いなければいけない。今この場には俺と悪鬼しかいない。
だがロットは、俺の疑問など承知の上だとばかりに解決案を出した。
『……私を独立化させろ。そうすれば可能だ』
それは妙案だった。
長い間共に戦ってきたせいで忘れていたが、ロットも悪鬼だ。他の悪鬼同様に独立化させられる。
『ナイスアイディアだ。それならすぐに実行できる』
駒を体に押し当てれば、ロットは簡単に独立化する。変身時の代償のお陰で独立化しても俺の魂が取られる事もないし、変身能力も失われる訳じゃない。
駒をブレスレットから外し、胸に押し当てようとした──寸前。
『だが、それをすれば私は消える』
駒を押す手が止まる。
『消えるって……どういう事だよ?』
『君から得た代償とはいえ、所詮は代用。姿を留める時間も限られ、力を使い果たせば消滅する』
『じゃあ……』
独立化させれば、ロットと別れることになる。
『躊躇している暇はない』
悲しみが込み上げるより早く、ロットの叱責がくる。
『消滅した人々とユニを救うんだろ? なら非情になれ。多くのものを犠牲にしなければ勝てないのは承知の事実の筈だ』
『でも……』
『希望を取り戻す為に戦うと決めただろ! それとも全部嘘だったのか!』
『……‼︎』
そうだ……俺はユニを取り戻す為にここに来たんだ。なら、躊躇ってる場合じゃない。
それに──消滅を恐れずに手を貸してくれる相棒の覚悟を、無碍にはできない。
浮き出た涙を瞬きで払い、剣を構える。
何があっても倒す。ロットの覚悟に報いる為にも。
騎士悪鬼──滝口を前にしたせいか、かなり昔の記憶を思い出した。
無様に泣き叫ぶ俺に寄り添い、抱きしめながら言ってくれた、あの一言。
──滝口さん。あなたは覚えてないかもしれませんが、あの一言でどれだけ救われたか、今でも覚えています。
だから今度は、俺があなたを救う。
そして謝らせてくれ。八年前の、あなたの善意を無碍に扱ってしまった事を。
戦う決心がつくと、悪鬼はそれを待っていたかのように動いた。
足が地面に離れるより早く腰を落とし、構えた長剣を前に突き出す。
予備動作無しによる刺突の狙いは、鎧で覆われていない喉元。腕の振り、腰の捻り、足の動きを駆使して繰り出される一撃は凄まじい速さと勢いを持っており、かするだけでも喉を切り裂く威力を秘めている。
既に避けられない間合いにまで入っている。呪力で防げそうになく、無理にかわせば追撃の可能性もある。
どうすればいいか考えるより先に、体が動く。
長剣の切先が喉元に触れる寸前、空いた左手で剣脊を叩き、剣の軌道を左に逸らす。
切先は喉元ではなく空を切り、悪鬼が間合いに入った瞬間、腹部に向けて拳を振る。
「ガ──‼︎」
呻き声らしきものを上げ、数歩後ずさる悪鬼。
すかさず鎧騎士は、体勢をわずかに崩した悪鬼に向けて、追撃の刺突を浴びせる。
しかし悪鬼は、数回受けただけですぐに体勢を戻し、下から斬り上げた長剣で連撃を受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。
槍と剣が軋み、槍を押し返そうとしてくる。
そのタイミングで、一気に剣を引く。
ぎゃりん! と刃が滑り、薄闇に一直線の火花が咲く。鎧騎士は後方に押しやられ、悪鬼は前につんのめる。
ここで踏み留まろうとすれば、速やかに体勢を立て直した悪鬼の一撃を喰らうだろう。勢いに逆らわず、背中から地面へと倒れ込む。
頭の中でロットが意識を変わろうとしてきたが、その判断は二秒ばかり早すぎる。勝敗を決めるのは、鎧騎士の仕掛けが奏功するか否か。
背中が地面に叩きつけられる寸前、呪力で硬度を上げた右足を、悪鬼の顎目掛けて右足を振り抜いた。
一瞬早く反撃に気付き、上体を捩って蹴りを回避しようとするが、鍔迫り合いから前のめりに倒れかけた勢いがまだ残っている。鎧で保護された爪先が、無防備な下顎に吸い込まれていく。
「ッ……!」
悪鬼の口から、鋭い気合が発せられた。
長剣を握る右腕が、ぶんっと唸りを上げて真横に動く。だが、今更どんな斬撃を繰り出そうと、俺の蹴りの方が確実に速い。無視して撃ち抜けば先に届く…………
いや、そうじゃない。
滝口──悪鬼の狙いはカウンター攻撃ではない。剣の刀身ではなく柄頭で、俺の体ではなく右足を迎撃しようとしている。
蹴り足を横から打たれたら、軌道を逸らされ隙が生まれてしまう。
ならば、狙うべきは。
「────!」
歯を食い縛り、今に撃ち出されようとしている右足を懸命に引きとどめる。感覚的には一秒半だけ技の出を遅らせ、悪鬼の右手を先行させる。
────いま!
ガシィン!!
と硬質な衝撃音が轟いた。
足蹴りは当初狙った悪鬼の下顎ではなく、剣を握る右手の甲を捉えた。鎧の殴打をもろに受け、骨が砕けるのが感じ取れる。
悪鬼の右手は真上に跳ね上げられ、手中の長剣も弾き飛ばされて、くるくる回転しながら舞い上がり、後方に壁に突き刺さる。
その様子を高速で流れる視界の端に捉えながら、後方宙返りからの着地直後に追撃を放つべく槍を握り直す。
右足の靴底が、床に触れる。膝を曲げ、衝撃を吸収し、体勢が安定するや否や全力で蹴り飛ばす。左足を思い切り深く踏み込み、悪鬼の胸めがけて突き上げを繰り出す──。
「────!?」
極端に前傾した姿勢から攻撃しようと起き上がった先にあったのは、こちらに向けて突き出された悪鬼の右手と、掌の中央に浮かび上がる光点だった。
俺の槍が、悪鬼の胸に食い込む、その寸前。
「失せろ」
冷ややかな呟きが発せられ、光点が炸裂されると、発生した爆発的な火炎放射が鎧騎士を呑み込んだ。拓実に勝る火炎の奔流に、とても踏み留まれずに襤褸切れの如く吹き飛ばされる。
「ぐあっ……!」
呻き声を漏らしながら、両手を広げて懸命に姿勢を安定させる。殺人的な衝撃に翻弄されつつもどうにか体の回転を止め、床に両足を向ける。
着地した瞬間、強烈な衝撃が脳天まで突き抜け、しばしその場に膝をつき、全身の痺れをやり過ごす。
さっと顔を上げると、当然ながら悪鬼もかなり後方まで反動で押しやられている。腰を落とした姿勢から悠然と直立するその姿には、憎たらしいまでの余裕が感じられる。
遅れて立ち上がると、脳内からかすかな声が届いた。
『大丈夫か、悠斗?』
『全然大丈夫じゃない。なんだあの強さは』
火炎放射──呪力による攻撃だというのに、必殺技と同等かそれ以上の威力だった。直前に呪力の壁で防ぎはしたが、全部は防げずにまだ頭が痛む。
『普通の悪鬼とは違うとは言え、ここまで差があるのはおかしい。何か理由があるのか?』
『分からん。今言えるのは、一瞬たりとも油断をするな。奴はまだ何かを隠している』
「マジかよ……」
つい声が漏れてしまった。
同じ駒で実力差が出ているというのに、まだ秘密を抱えているなんて……果たして悪鬼を倒して先に進むことが出来るのか?
いや、弱気になっては駄目だ。
王を倒し、消滅させられた人々を救い出す。拓実と誓った約束を破る真似は……罪を重ねるわけにはいかない。
王と戦うまでは温存していたかったが、出し惜しみしてる場合ではない。
槍を放り投げ、剣型デバイスを機能拡張スロットに装着し、取り出したもう一つの駒──騎士を嵌め込む。
一匹の馬が鎧となって、既に取り付いた鎧に覆いかぶさるように装着される。天井から一筋の雷が降り注ぎ、雷光が二本の剣となって両腰に取り付く。
大きく息を吸い、吐いて、『シュバリエ』を握る。
悪鬼は長剣を、ぴたりと中段に構えた。一切の隙がない立ち姿を見て、ロットが囁く。
『変わるか?』
『駄目だ』
即座に否定してから、シュバリエを構える。
滝口を救うのは俺の役目だ。相棒とて、その役目を渡す訳にはいかない。
いつもなら一言申すロットも、今は何も言わない。
俺の意を汲んでくれた相棒に。
「……ありがとう」
と小さな呟きで応え、俺は意識を切り替えた。
今この瞬間から、戦闘に必要ないことは全て忘れる。剣と一体化し、身につけた技の限りを尽くして挑む。
もう一度深く息を吸い、ぐっと止める。
あらゆる雑音が、背景が、温度までもが遠ざかる。
「……‼︎」
無音の咆哮を迸らせ、猛然と床を蹴り飛ばす。
悪鬼は中段に構えたまま動かず、俺の撃ち込みを待ち受ける。
双闘形態によって実力差が埋まった今、無駄な小細工はいらない。
十メートルを瞬時に駆け抜け、突進のスピードを余さず乗せた右上段斬りを放つ。
対する悪鬼は、床を割り砕かんばかりの踏み込みから、両手持ちの右下段斬り上げを繰り出す。
黒と白銀の刃が激突し、眩い閃光を放って跳ね返る。この間合いでは、片手より両手の方が有利と判断し、柄頭に左手を添えて両手持ちに移行。重い剣に宿る慣性に逆らわず、最短の軌道を描いて大上段に構えると、
「オオオッ!」
溜めていた息を全て気合に変え、呪力を宿した剣を振り下ろす。
実力が互角ならば、全力の垂直斬りを、横斬りあるいは斜め斬りでの迎撃は出来ない。可能な対処は相打ち覚悟で同じ技を繰り出すか、剣の間合いから逃れるか、二つに一つだ。
しかし、今の悪鬼では相打ち覚悟で同じ技は出せない。
呪力を宿した聖剣『シュバリエ』は威力も硬度も素の時よりも遥かに強い。並大抵の剣ではへし折られてしまう。
今度こそ、届く──!
技を鈍らせる躊躇いを振り捨て、俺は剣を振り抜いた。
剣は甲高い金属音を放って装甲に食い込み、刹那の抵抗感を残して真下へと振り抜かれる。悪鬼の左の肩当てから胸当てにかけて、一直線の光の筋が走る。
直後、硝子質の破砕音を響かせて、装甲が砕け散る。
宙に舞う金属の細片に、真紅の飛沫が入れ混じる。手応えからして深傷ではないにしろ、俺の剣が滝口の体を切り裂いたことになる。
傷つけたと認識した瞬間、俺も同じ場所に、我が身を斬られたような痛みを覚える。避けがたく顔が歪むが、ここで手を止めるわけにはいかない。垂直斬りが床に達した瞬間に手首を返し、全身のバネを使って追撃の斬り上げる──寸前。
左肩から胸にかけてを斬られたばかりの悪鬼が、一瞬たりとも竦むことなく、右足で俺の剣を蹴り飛ばした。
その動作が、反撃のための踏み込みでもあることを悟り、戦慄しつつも懸命に体を傾ける。同時に、黒い剣が唸りを上げて左側から迫る。
辛くも首への直撃を回避したが、完全には躱せず、左肩を横一文字に切り裂かれる。痛みではなく凍り付くような冷たさを感じながら、右足で思い切り床を蹴り飛ばし、剣を振り抜いた直後の悪鬼めがけて体当たりをぶちかます。
今度こそ目も眩むような激痛が弾け、鮮血の雫が宙に舞った。
赤い霧の向こうに、倒れまいと左足を踏ん張る悪鬼の姿がある。
あの体勢から、即座の反撃は不可能。俺は片手持ちに戻したシュバリエを右上に構え、跳躍する。
右肩めがけて、斜め斬りを繰り出す。これが当たれば、両肩に傷を負った悪鬼はこれまでのようには剣を振れなくなるはずだ。
「は……あっ!」
叫び、斬撃を放とうとした、その刹那。
悪鬼の体の向こうから、赤い閃光が迸った。
驚愕に眼を見開きつつも、もはや剣を止めることはできず、そのまま振り下ろす。
一瞬遅れて、悪鬼の体が、反時計回りに猛然と回転する。左から、赤色の光の軌跡を引く水平斬りが迫る。
俺の剣と悪鬼の剣が激突し、今度は俺だけの剣が大きく弾き返された。
左肩から鮮血の破線を引きながら、俺と悪鬼は吸い寄せられるように、全く同じ動きで剣を真上に振りかぶった。
今度はこちらも、呪力を宿す。
二本の刃が、深いレッドの光を迸らせる。
眩いスパークを散らし、鬩ぎ合う。
二本の剣たちは、互いを喰い合うかのように交差したまま、オレンジの火花とレッドの光芒を大量に迸らせた。三度目の鍔迫り合いに入った俺と悪鬼は、至近距離で顔を突き合わせながら、斬撃を完遂するべく剣と腕をぎりぎりと軋ませる。
嚙み合う二本の剣の軋む音が、対消滅するように薄れていき、同時に剣を戻す。
渾身の撃ち込み。弾かれる。
悪鬼の斬撃。剣の根本で弾く。
二人とも足を止め、最短の間合いで剣を振るい続ける。剣戟の衝撃と火花が途切れることなく生まれ、周囲の空間を音と光で満たしていく。
「オ……オ、オオオ────ッ!!」
俺が吼える。
「ハ……ア、アアア────ッ!!」
悪鬼も、初めて雄叫びを放つ。
速く。もっと速く。
互いに相手が動くより速く剣を振る。次第に剣は残像を出すようになり、音を置き去りにする。
見えない剣戟の中、先に崩れたのは悪鬼。
鎧騎士の横切りを受け止めきれず、ほんのわずかに姿勢が崩れる。
そのわずかがデカい。
音速を超える剣戟では、瞬きすら危うい。一瞬の隙で窮地に陥る可能性などごまんとある。
悪鬼の姿勢が崩れるより速く、ブレスレットのボタンを押す。瞬時に駒を立て、倒す。
『必殺技・殲滅の雷』
剣戟中にシュバリエに蓄積された呪力が一筋の雷光となり、悪鬼に直撃する。
シュバリエは外部からの衝撃を呪力に変えて蓄積する事が出来る聖剣であり、溜まった呪力を殲滅の雷として放出すれば、並の悪鬼ならば触れただけで消滅する。
しかし、右眼のコンタクトレンズは悪鬼の姿をはっきりと捉えている。
瞬間、全身に悪寒が走り、脳内でロットが叫ぶ。
『避けろ、悠斗!』
時すでに遅し。
直撃によって生じた白煙が消し飛ばされ、朱色の雷光が放たれる。
雷光を認識した時には、既に直撃していた。
「ぐぁああああああ‼︎」
全身に鋭い痛みが走る。この威力は、殲滅の光だ。
雷光が止み、膝をつくと、長剣を振り下ろした体勢で静止している悪鬼が視界に入る。どういうわけか、傷一つ負っていない。
「何が……起きた」
攻撃を仕掛けた筈が、逆に一撃を受けた。しかも同じ攻撃を。
もしや、騎士悪鬼が隠し持つ特性は『コピー』で、俺の攻撃をコピーして打ち返してきたのか?
いや、それだと無傷の説明がつかない。ギリギリで躱したとも思えない。
『考え事は後にしろ!』
再び聞こえたロットの叫びで正気に戻る頃には、悪鬼は間近に迫り、剣を振り上げていた。
多くの悪鬼と戦い得た経験が活きたのか、気付くのと同時に『シュバリエ』を抜き、斬撃を迎撃する。
「グッ……!」
咄嗟の行動故に中途半端な力しか出ず、受け止めきれずに剣が弾かれてしまう。
悪鬼は流れるように剣を構え、続く二撃目を放つ。
二撃目をキャバリエで防ぐも、勢いに耐えきれずに防御が解けてしまう。
そして悪鬼は、今の展開を読んでいたかの如き繋ぎで剣を持ち直し、袈裟斬りを繰り出す。
両手の剣を弾かれてしまった鎧騎士に防ぐ術はなく、悪鬼の刃が深々と鎧を抉る。
「ガハッ!」
鎧を容易く切り裂き、わずかに皮膚を裂いて肉を抉り取られる。
鎧はすぐに修正され、肉体の損傷も治っていく。体の八割が呪力に侵された今、体の傷はロットが治療してくれる。
だが、痛みを感じないわけではない。傷が治ってなお傷口がズキズキと痛み、気色悪い感覚が鎧内を満たしている。
「このッ‼︎」
傷が治った瞬間、再度溜まった呪力を雷に変え、ゼロ距離で撃ち出す。
この距離ならかわせないと確信するも、目を見張る事が起きた。
突如、悪鬼の目の前に朱色の魔法陣が出現し、雷を吸収したのだ。
そして、吸収された雷が、今度はこちらに放たれる。
咄嗟にキャバリエで防ぎ、爆破の勢いに身を任せて悪鬼から距離を取る。
離れた位置に着地してから、一呼吸於いてロットに話しかける。
『今の、分かるか?』
一瞬の間を於いて、ロットが答える。
『カウンターだ』
『カウンター……』
『奴は自分に向けられた呪力による攻撃を倍以上の威力を持って跳ね返している』
そう考えれば、殲滅の雷を無傷で返してきた説明がつく。
しかし、だとしたら──。
『どう倒せばいいんだ?』
呪力による攻撃を跳ね返す敵。つまり、鎧騎士にとっては天敵も良いところだ。
必殺技も呪力を使った攻撃だ。蹴り技も足に呪力を宿して撃ち出す技だから効果は期待できない。
ならば、呪力抜きの純粋な剣での勝負だが、それも難しい。俺と悪鬼の剣術の差は大差ない。決め切れるか分からない。
悪鬼を倒すビジョンが思い浮かばない中、唐突にロットが答えを出した。
『呪力による二点同時攻撃……それしか方法はない』
突然出された名案に安心させられるも、すぐに不可能だと気付く。
ロットが出した策を実行するには二人いなければいけない。今この場には俺と悪鬼しかいない。
だがロットは、俺の疑問など承知の上だとばかりに解決案を出した。
『……私を独立化させろ。そうすれば可能だ』
それは妙案だった。
長い間共に戦ってきたせいで忘れていたが、ロットも悪鬼だ。他の悪鬼同様に独立化させられる。
『ナイスアイディアだ。それならすぐに実行できる』
駒を体に押し当てれば、ロットは簡単に独立化する。変身時の代償のお陰で独立化しても俺の魂が取られる事もないし、変身能力も失われる訳じゃない。
駒をブレスレットから外し、胸に押し当てようとした──寸前。
『だが、それをすれば私は消える』
駒を押す手が止まる。
『消えるって……どういう事だよ?』
『君から得た代償とはいえ、所詮は代用。姿を留める時間も限られ、力を使い果たせば消滅する』
『じゃあ……』
独立化させれば、ロットと別れることになる。
『躊躇している暇はない』
悲しみが込み上げるより早く、ロットの叱責がくる。
『消滅した人々とユニを救うんだろ? なら非情になれ。多くのものを犠牲にしなければ勝てないのは承知の事実の筈だ』
『でも……』
『希望を取り戻す為に戦うと決めただろ! それとも全部嘘だったのか!』
『……‼︎』
そうだ……俺はユニを取り戻す為にここに来たんだ。なら、躊躇ってる場合じゃない。
それに──消滅を恐れずに手を貸してくれる相棒の覚悟を、無碍にはできない。
浮き出た涙を瞬きで払い、剣を構える。
何があっても倒す。ロットの覚悟に報いる為にも。
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