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文化祭当日。

勇人はクラスメイトに渡された衣装をじーっと見て固まっていた。

淡いピンク色のミニワンピースは誰がどう見てもナースの制服だった。


「・・・・」


見た瞬間に頭をよぎったのは体育祭のあの悪夢―――・・


「なん、で・・?」


これはどういうつもりだ?

あの体育祭の悪夢を忘れたというのだろうか?

何度も借りだされたあげくに最後にあの仮装・・・。

今思い出しただけも顔から火が出そうだ。

しかも何か恨みでもあるのか、その写真が学校中に出回った。

居場所をなくしたような気がしてショックで寝込んだ。

あんな思いはもうしたくないというのに、何なんだこれは?

もしかして―――


「・・・いじめられているのか?」


生徒会の仕事で忙しくてクラスの模擬店は任せきりになっていたことが災いした。

衣装を持つ手が震えている。

うまくいっていると思っていたのは勘違いだった、のか?


「・・・んなわけねえだろ?」


背後から聞こえたのは海斗の声。


「でも・・」

「現実逃避してんじゃねえよっ!」

「そうだよっ!オレなんかこれだぞっ!」


彼が見せたのはメイド服。だけどスカート丈は少し長いめだ。

海斗はというと、風紀の見回りで途中参加になるらしい。だかちゃんと衣装は用意されていてると聞いて海斗はイやそうな顔をしていた。


「・・・・」

「・・・」

「・・・・・・・・・」


お互い用意された衣装を見て逃げ出したい気分だが、後でクラス委員長の恨みをかうのはできれば避けたい。


「早く着替えてくださいっ!」


逃げ出そうとしていたところにクラス委員長が来てしまい、急かす彼に仕方なくナース服に手をかけたのだった。


「あ、勇人さまは更衣室で着替えてくださいね」


だが、制服のボタンを外してところでそういわれて、首を捻る。


「えっ?・・・何で、オレだけ?」


その言葉に教室がざわつく。

あれ、オレ何か間違ったか?


「えっと・・それ本気で言ってますか?」


呆れたような顔をしたクラス委員長で他のみんなもじとーっと視線を送る。


「勇人、お前・・・」

「えっ、何?」

「オレは、お前に自覚を持てって言ったよな?」


そこまで言われて勇人は彼が何を言おうとしているのか理解した。


「そう・・だった・・ハハハ・・」

引きつった笑いを浮かべながら勇人は衣装を掴んで慌てて更衣室へと走ったのだっった。





*************************


長らく、更新をお休みしていてすみませんでした。








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