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23.海斗の災難2
しおりを挟む「何でこうなったのかって顔だな・」
口角をあげて見下ろす海斗に金髪は悔しくて奥歯をギリギリと音を鳴らす。
「お前・・いつ応援を・・」
「そうだ、そんな暇はなかったはずだ」
「・・・そんなのお前らに見つかる前に決まっているだろう?」
「・・はっ?」
驚く金髪に海斗は何を今更という顔だ。
「お前らを見つけた時点で風紀には連絡済みだ。それよりもお前らを逃がさないようにわざわざ捕まってやったんだよ。」
「・なんだと・・クソっ!」
金髪を鼻で笑う海斗を見て、駆けつけた高坂は冷静な判断をした海斗に感心した。
「協力に感謝する・・」
「いえいえ・・」
偽の笑顔をはりつけて、できれば関わりたくないと思う海斗。
だが、高坂は海斗の顔をまじまじと見つめて、同じように偽の笑顔を海斗に向けた。
「後で、事情を聞きたいので風紀室に来てくれるか?」
「えっと・・」
風紀が突入した時点で逃げなかったことを後悔するがもう遅い。
「来てくれる、よな?」
有無をいわせない圧力に屈したわけではないが、ここで拒否すれば後で面倒なことになりそうなので、仕方なく海斗は頷いた。
はあ~・・ほんとは目立ちたくなかったのに、失敗したな。しかも相手が高坂さんとなれば逃げ場はないな・・。
金髪から離れて戻ろうとした瞬間、海斗の背後から男が飛び出してきた。
しかも、片手にはナイフを持って。
「原田っ!」
男を止めようと走り出すが、間に合いそうもなく焦る。
しまった、もう一人いるとは思わなかった。原田、すまんっ!
高坂の頭の中には海斗がさされて血だらけの光景がちらつく。
だが、気が付いたときには男は地面に沈んでいた。
「なっ、何が・・?」
海斗は金髪の仲間らしいのが潜んでいることには気づいていた。
だから、油断していると見せかけておびき出した。
まんまと海斗の罠に嵌った男は、飛び出して海斗を捕まえるどころか逆に腕を掴まれ投げ飛ばされて気が付いたら地面に沈んでいたのだ。
「原田・・?」
周りにいた風紀委員も状況が呑み込めずポカンだ。
「う・・ううっ・・」
痛みで唸る男の声で正気に返った高坂は慌ててそいつの腕を背中に回して拘束した。
「今のは一体・・?」
見覚えのある投げ技に高坂の口元は緩む。
「原田、お前・・」
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