198 / 225
20.拓也の憂鬱
しおりを挟む19-3の勇人と海斗の会話を入れ替えました。
「どうした、海斗」→「どうした、勇人」
「い、いや別に」→「い、いや何でもない・・」
*******************
中間テストも終わり結果は勇人は一位を継続。海斗も五位の結果だった。
そして、学校はもうすぐ文化祭の準備へと入る。
ここ聖林では外部からの招待客はチケット制だが毎年プレミアがつき高値で取引されているらしい。
無料のチケットが高値で売れるのだから随分悪どい商売だろう。
それでも毎年大勢押し寄せ賑わいを見せていた。
財閥や大企業の息子がいることで、少しでもつながりを持とうとする会社役員や結婚して玉の輿を狙うOLや彼氏を作ろうとする女子生徒もこの一大イベントを楽しみにしていた。
まだ少し先だが、きっと今からおしゃれな洋服や小物探しに夢中になっていることだろう。
拓也は届けられた手紙を見て大きなため息を吐いていた。
彼の母親は有名なデザイナーでその才能を受け継いでいる彼は時々デザインを提供していた。
手紙の内容は文化祭が終わったら仕事を手伝うように、との依頼だった。
「手伝えって、言ってもなあ・・」
文化祭が終われば期末テストがあるし、生徒会の仕事も忙しくそれどころではない。
大学を卒業したら留学して後を継ぐのだから今は自由にさせてほしいとあれほど約束したのに・・。
「何でこうなるかな・・」
好きな相手には振られて落ち込んでいるというのに、この手紙を見て更に凹んでしまった。
ベッドに倒れこんで天井を見つめていると、開いた窓から風が吹き込みカーテンを揺らす。
「本気、だったのに・・」
投げ出した手紙が風にあおられてバサバサと床に落ちるが、構わずに目を閉じた。
昔好きだった彼を忘れようと親衛隊と体を重ねてきたが忘れられずそこに現れたのが勇人だった。
アピールしてアタックして――結構、がんばったつもりだったのに・・
何がいけなかったんだろう?
何が高坂と違ったんだろう?
結局は、オレを理解してくれる人はいないってことなのかな?
自問自答しても答えはなく、心がスーッと冷えて行く。
ピロロン―――
だが不意に鳴ったスマホの通知音で、思考が引き戻された。
「ああ―――っ!ダメだダメだダメだっ!」
頭を掻きむしりながら暗い沼に落ちて行くのを声を出して自身で阻止する。
こういう時、声を出すだけで随分違うことをオレは知っている。
落ちて行くだけだった心を何とか救いあげれてホッとする。
「はあ~・・・・・・・・・・・危ない、ところだった・・・」
振られたからといって、ここまで落ちこむなんてらしくない。
スマホを見れば通知の相手は勇人。
『ごはん、一緒にたべよう』
たったそれだけの言葉に口元が綻ぶ。
『すぐ行く・・』
と、返信してオレは部屋を出た。
さっまでの落ち込みはどかに吹き飛んでいた。
1
お気に入りに追加
2,180
あなたにおすすめの小説
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
病んでる僕は、
蒼紫
BL
『特に理由もなく、
この世界が嫌になった。
愛されたい
でも、縛られたくない
寂しいのも
めんどくさいのも
全部嫌なんだ。』
特に取り柄もなく、短気で、我儘で、それでいて臆病で繊細。
そんな少年が王道学園に転校してきた5月7日。
彼が転校してきて何もかもが、少しずつ変わっていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初のみ三人称 その後は基本一人称です。
お知らせをお読みください。
エブリスタでも投稿してましたがこちらをメインで活動しようと思います。
(エブリスタには改訂前のものしか載せてません)
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる