オレが受けなんてありえねえ！

１８－３３

次に白組の応援団が動く。

紅組と同じように裾が長い学ラン。だたし色はもちろん白だ。

檀上で二人が並び声を張り上げる。

太鼓とホイッスル、そして団旗をリズムに乗って振り回す。

テント内でもペットボトルを使いタンバリンやマラカスを使うところは紅組とは違っていた。

負けてなるものかという決意が感じられていた。


「やるな・・」


夏樹が頷きながら呟いたことに拓也も高坂も同意した。

昨年はこんなにまとまりはなかった。それが変わったのは団長のおかげだろう。

最後に団長の掛け声で、応援団は終了した。

オレがしたような目玉はなかったものの見事だったと思った。

「学生らしくていいな・・」

自分の席で見ていた晴広も感心して笑みを浮かべていた。

この応援団も点数に加算されることになっていて、審査員は来客者と理事長、そして教師たちだ。

点数は最後に発表されることになっている。それは士気を落とさないためだ。


貴賓室のテントでは招待された来客者たちが箱に投票している姿が見られた。

「あなたはどちらに入れましたか？」

「そうですね、すごく迷いましたが・・・あの演武が印象に残ったので紅組に入れました。そういうあなたは・・？」

「私は団旗の乱舞が良かったので、白組に・・」

「そうですか・・今年はどちらもよかったので随分迷いましたよ・・」


楽しそうに頭をたいている男性はＯＢで、毎年多額な寄付をしている企業の役員だった。そして他の男性も外国の社長やエリートサラリーマンなど多種に至った。


「理事長はどちらに？」

「・・・そうですね。私はやっぱり紅組ですね。何と言っても弟たちがいますから」


ニコニコしながら答えるが・・・


『それって贔屓では・・？』

『溺愛しているという噂は本当だったんだ』


とか、いろんな憶測を産んだが、晴広はそんなものは全く気にしなかった。

それよりも、晴広の視線は勇人に集中していて頗る機嫌がよかった。


「あんな素晴らしい演武を見せてくれるなんて・・さすが私の勇人だ」