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時刻は十三時半。

ランチタイムが終了してテントに生徒たちが戻って来た。

食事もして時間を空けたことで彼らの興奮も随分落ち着いたように見えた。中には不届き者もいたようだが、それは高坂たち風紀委員が終結していた。

高坂はグランドから離れたところで見回りをしていたせいで、コスプレのことを知らなかった。


「はあっ?あの理事長がそんなことを?」

「ああ、おかげで酷いありさまだった」

「そうそう、オレは遠くてはっきり見えなかったけど勇人くんのコスプレ姿が刺激がありずぎてみんな鼻血を出して大変だった」

「救護室が満杯になってたな・・」


松本と大野の話を聞いて高坂は頭が痛くなった。

ただでさえ、あの容姿で幸村の弟だとわかって注目を浴びているのになんてことを仕出かしてくれてんだっ!


「オレが居ない間に・・何てこった・・」


自分さえいればと後悔している高坂に松本も大野も顔を引きつらせながらこう言って見せた。


「委員長がいても無駄だったと思うぞ」

「何でだ?」

「だって、生徒全員に相手はできないだろ?」

「そうそう、それに会長なんか魔法少女だぞ!」

「ああ、あれはあれで有りだと思ったな・・」


大野の聞き流せない言葉に驚いて目を大きく見開く。


「・・お前、まさか幸村のこと?」

「違うよっ!あれは写真部のいいカモだって言ってんだよ」

「写真部・・」

「あれはきっと盗撮しているな・・」

「裏で売買して儲けるつもりだろが、後で没収だな」


二人が真面目にその話をしていたが、高坂は写真部の撮った写真に興味を魅かれた。


「勇人の女王様の写真・・」

「委員長・・?」


急に様子の変わった高坂に大野は心配になる。

「どんな・・恰好だったんだ。その女王様は?」

「うん・・?」

「えーっと、黒のボンテージで肩は出ていたな。足は網タイツで厚底サンダルでレースの仮面にロープ状の鞭を持ってたな・・」

「ボンテージ・・網タイツ・・仮面・・鞭・・・・・」


妄想してるのだろうか、高坂の目は虚ろで頬が緩み二やついていた。

ボンテージって身体にピッタリなやつだよな・・網タイツはきっとあのキレイな足にピッタリで仮面はあの色気を誘い鞭を振り回して・・・きっとそれで叩かれたいと思った奴は少なからずいただろうな・・

鞭を振り回す姿を想像して唇をギュッと絞めた。

その姿を見てみたいと思った。

没収したら絶対自分の物にしょう。

そんなことを目論んでいるなんて知らない彼は午後からの競技に向かう。


「次は・・応援団か。委員長の出番だな」

「ああ、これからがオレの出番だ」


そう呟き、満面の笑みを浮かべたのだった。
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