オレが受けなんてありえねえ！

１８－１４

待機スペースに着くと、檀上に拓也が上がっているのが見えた。


「何であいつがいる？」


不愉快そうに文句をいう夏樹に勇人はイヤな予感がした。


まさか、あいつ自分でルール説明するんじゃ・・？


「は～い！障害物競走の前にルールの説明をするねえ～」


よせばいいのにニコニコしながらオレたちの方を見ている拓也に夏樹兄さんの顔色が変わった。


「・・・・」


「まずは平均台を渡って、次に網をかいくぐってラケットの上にバレーボールを乗せて落とさないように係員のところまで行ってね。次は用意してある箱の中からくじを引いて同じ番号の袋を受け取ってテントに入って着替えてからゴールしてね。着替えずにゴールしたら失格になるので注意してね。」


おい、それだけか？コスプレのことはここで言わないのか？

ちらっと夏樹兄さんを見れば、明らかに拓也の不審な行動を疑っている様子。

どうしよう、ここで言った方がいいのか？それとも盛り上げるために黙っていたほうが・・・？

決めかねていると拓也が気持ちの悪いウインクを送って来た。

ゲッ！何考えていやがるっ！！

案の定、周りにした生徒たちが黄色い声をあげて真赤になっている。

大丈夫か？こんなんで走れるのか？

あ、それともオレのために油断させているのか？いや、それはないか・・


「あの、バカ・・」


眉間にしわを寄せて呟く夏樹兄さんにオレも同感だと頷いた。


「拓也さまがウインクしてくださるなんて・・」

「これは、頑張らないといけませんね」

「でも、着替えって何をするんでしょうか？」

「そうだよな、打ち合わせにはなかったな・・」


喜ぶ者や戸惑う者、中には嫌悪する生徒もいたが、だいたいは喜んでいるように見えた。

流石だというべきなんだろうけど・・コスプレの衣装が気になって仕方がない。


「さあ、みんな準備はできているかな？」


ざわついていたグランドが静かになって、スタートのホイッスルがなった。