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準備体操も終わり、競技開始のホイッスルが鳴る。

ルールは簡単、紅白に分かれて争うだけのどこでも行っている体育祭だ。

だがそのクラス分けが問題だった。

SクラスとAクラスからDクラスまでの五クラスあるが、運動部がAクラスに集中しているため不公平だというのが意見があり、毎年もめていたが今年になってAクラスだけ二つに分けられることがやっと決まったのだ。

Aクラスの生徒は複雑な気持ちだろう、なんせクラスメイト同士で敵対することになるのだから。

しかも在学中ずっとだ。実に気の毒な話である、だが彼らの犠牲もあって体育祭は無事迎えることができたと言っても過言ではないだろう。

結局、紅組にSクラスA-1クラスBクラス。白組にA-2クラスCクラスDクラスと決まったのだった。



最初は百メートル走だ。

全学年で争うので応援も半端ない。

太鼓や応援歌が大音響で流れて盛り上がりいく。

男子校の体育祭は筋肉もりもりで男くさいと聞いたことがあったがここも例外ではないようだ。

ただ親衛隊の応援は相変わらず黄色いが、ちょっと前のオレなら笑い飛ばしていたが今ではそれが微笑ましく感じた。

運動部の色男が汗を流している姿が堪らないらしい。

午前中の競技は他に障害物競走、玉入れ、応援団の披露。午後からは綱引きと借り物競争と最後にリレーがある。

数は少ないがそれだけ出場する人数が多いのだ。特に綱引きはクラス対抗となるので時間がかかる。だがこれは如何にクラスがまとまっているかにかかっていた。


「出番まで、ゆっくりできるな・・」

「うん、そうだね~会長は何に出るの?」

「オレは障害物競走だ。そういう拓也は?」

「ん~・・・オレは綱引きだけ」

「あ、オレも・・」

「何だ和也もか・・」

「中原は?」

「オレは借り物競争・・」

「えっ!マジっ」

「いつの間にか決まってた・・」


口を尖らせて拗ねている中原に和也は苦笑する。借り物競争は競技というよりイベントに近い。これを仕掛けたのは先代の生徒会で犠牲になるのはクラスで人気者だと決まっていた。復学したばかりの中原が犠牲になったのは仕方がないのかもしれない。


そんな風に和やかに過ごしているように見える生徒会のテントだが、早瀬は勇人の様子がおかしいことに気づいていた。

それに中原が関係していることも。

一体、何があったのでしょうね。

トイレで席を離れている彼の席を見て夏樹に視線を送ると、彼も気づいて席を立つ。


「ちょっと席を離れます」

「トイレ?」

「ええ・・」


拓也は二人して離れる彼ら見送り考える。

あれって、たぶん勇人のことだよね。そんなに高坂と離れたことがショックなのかな・・

オレだって勇人のことが好きなのに誰も本気にしてくれないんだよな~

はあ~・・凹むよねえ~・・

拓也は勇人が高坂に好意を寄せていることにいち早く気づいていた。だが、幸村家の人間とわかり風紀委員を解任され生徒会入りしてことで自分にもチャンスが巡って来たと思っていた。

だが、実際はどうだろう。勇人が自覚しただけだったんじゃないだろうか。



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