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もやもやした気持ちを抱えたまま二学期が始まった。

生徒たちが笑顔で学校に向かっていく中、勇人はやっと日常を取り戻せてホッとしていた。

いや、しているはずだった。

それは寮を出てから、会う奴らの反応が異様なことだ。

じーっと見ていたかと思ったら赤くなったり、仲間うちでこそこそ内緒話をしたり指を指したりする奴までいる。

おいお前、指を指すのは止めろ!オレを犯罪者みたいな扱いをするなっ!

何か、ムカついてきた。

さっさと教室に行こうと校門まで来たら、モーゼのように左右に分かれやがった。

何だよこれ?どういうわけか誰か説明しろっ!!

近くにいた奴にガンを飛ばしたら、ピシッと固まって動かなくなった。


「おい・・」

「―――っ!」


何でそうなる?

そいつと一緒にいた奴に視線を移せば、今度は赤くなって倒れた。

それはあの記者会見を思い起こす。

これはあれか、誰かに聞くのは無理か?

諦めながらため息を吐いて校舎に入って靴箱の蓋を開けると・・


―――バサバサバサ


と、大量の封筒が落ちて来た。


「ふぇっ!」


ビックリして変な声が出た。


「何だこれ・・手紙か?」


ここに来てこんな手紙をもらったことはない。


「嫌がらせか・・?」


風紀委員になってから絡まれたりすることもあったので、そいつらの新たな嫌がらせなのかと思った。

ひょっとしたら呼び出しの手紙か?いやでもこんなたくさんもらう心当たりはないな。

う~ん・・・とりあえず開けてみるか。


恐る恐る一つだけ開けてみて、ビシッと固まる。


「な、何だこれは・・・」


呼び出しは呼び出しでも、思っていたようなものではなかった。


『勇人さま、好きです。付き合ってください。もし付き合っていただけるなら○日○時、屋上で待っています』


これ出したのは女の子ではなくここの生徒。つまり男ということになる。

まさかのラブレターだった。

震える手で、残りの封筒を見てまさかこれ全部同じような内容なのか?

今まで、クラスメイトがそういうのを他人事のように見ていただけに、自分がそういう対象にされたことに驚いた。

ノーマルだって、みんな知っていると思っていけど・・

でも、何で今頃こんな手紙が?


「どうしよう、これ?」


両手では抱えきれない大量の手紙に頭を抱える。

このまま放置するわけにもいかないし、でも持って帰るのもイヤだ。


勇人が悩んでいると、親衛隊の真田と遠山が駆けつけて来た。


「勇人さま。おはようございます」

「おはようございます。」

「え、ああ・・おはようございます。」


勢いよく挨拶してきた二人にこんな状況を見られて恥ずかしくなった。

できれば隠したいと思うがそれは無理な話というものだ。

真田と遠山は目の前にある大量の手紙に眉間にしわを寄せた。







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