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しおりを挟む「ボス、島田の車を取り囲みました」
戦車から無線が入る。
オレたちが着く前に先に上陸した奴らがいたらしい。
「よし、直ちに拘束しろ。抵抗するなら応戦してもいい。多少は痛みつけてもかまわん。ただし、殺すなよ・・」
「了解!」
桐生の指示の内容にも驚くが、無線の相手の声が生き生きしていたのは気のせいか?
いや、まさか・・な・・
と思ったが、戦車から発射され爆音が轟く。
要人用の車であれば多少の攻撃ではビクともしないかもしれないが、生憎そうではないようで車はあっという間に大破した。
タイヤは見る影もなく、エンジンもむき出し、フロントガラスは割れて崩れ落ちていた。
鉄くずと化し動かなくなった車のドアが開き、地面に落ちるのとほぼ同時に奴らが出て来た。
てっきり、降伏すると思ったが無謀にも銃で抵抗してきた。
ただの銃で戦車に勝てるわけがないのに・・
銃弾がパラパラと空しく地面に落ちて行く。それなのに奴らは必死に島田を守ろうとする。その忠誠心はホメてやりたいが、主人は選んだほうがいいとアドバイスしてやりたかった。
戦車が近づき主砲が奴らをロックオンしてところで両手を上にあげ両膝を地面につけてやっと降参した。
船に乗り込もうとしていた奴らもそれを見て諦めたのか降参したのだった。
「終わったのか?」
「はい。後始末は残っていますがそれはこの国の警察に任せます」
「そうか、良かった」
緊張していたのか身体の力が抜けてその場に座り込んだ。
「腰でも抜けたのか?」
何がおかしいのか桐生はへらへらと笑みを浮かべながら手を差し出す。
敬語ではなく子供扱いされたようでちょっとムッとした。。
「そうじゃねえよ・・」
「フッ・・じゃあ・・あれか、拗ねているのか?」
「なっ・・拗ねてなんかっ!」
別に拗ねているわけじゃない。自分の番がなかったことに不満なだけだ。
あんな扱いを受けたのだから文句を言って殴ってやりたかった。
ただそれだけだし、何か物足りない。
まあ、無事に解決したのだから別にいいけど・・
「まあ、そういうことにしといてやる。お迎えも来たことだしな」
「迎え・・・?」
桐生が指さす先にはヘリコプターが旋回していた。
バリバリバリっ―――!
大音響が辺りに響き、近づいて来る。
プロペラが起こす風が吹荒れ目が開けられない。
陸地に着陸して降りて来たのは―――
幸村晴広、わが兄だった。
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