107 / 225
14-18
しおりを挟む「海の上?」
「何でそう言える?」
「外のタイヤの跡だ。あの先は海しかない。恐らくそこから船で連れ出されたに違いない」
外に出て確かめてみれば夏樹の言う通りタイヤの向こうは海が見えた。
「オレたちができるるのは、ここまでだね」
海を見つめながら勇人の無事を祈りながら車に乗り込んだ。
別荘に戻ると、真田が出迎える。
「高坂さま、調査か完了しました・・」
「そうか、中で聞こう」
「はい・・」
リビングではなく集まったのは夏樹の部屋だ。そこは他の部屋とは違い防音となっているため都合がよかった。
「真田、報告しろ」
「はい、会長のおっしゃる通り親衛隊の人数が一致しませんでした」
「やはり、そうか」
「はい、残念ながら何者かが親衛隊に紛れ込みスタッフに成りすましたと思われます。」
「そんな・・」
「しかし親衛隊に紛れて侵入し、スタッフになりすますとは・・」
「発見した盗聴器から勇人がログハウスにいることを知ったにしては早すぎると思うが・・」
「そうだな、オレは親衛隊になりすました奴があのキャンプ中に勇人の跡をつけて仲間に知らせて誘拐していっしょに逃げたと思っている」
「・・あの中にいたって言うのか?」
「その件ですが、その隊員は最近入隊した者なのですが、私も遠山も顔を見たことがありません。しかし身元確認のため寮に電話をしたら本人が出ました。風邪で熱があり参加できなかったそうです。でも、名簿に彼の名前もありましたし、ここでの同室の者にも顔を合わしてました。つまり、偽者がいたということです。その偽者が勇人さまの跡をつけ仲間と共に連れ去ったと思います」
シンと静まり返る室内。
「つまり、最初から勇人を狙っていたってことか・・」
小さく息を吐くと夏樹はスマホを取り出し兄である晴広に電話をかけた。
この調査結果を報告するためと勇人が弟かどうか確かめるためだ。
『そうか、親衛隊にまぎれていたか』
「ああ・・」
『ここから先はオレに任してお前たちは学校に帰れ・・』
「わかった。でもその前に教えてくれ。勇人がはやとなのか?」
晴広は夏樹が勇人の正体に気づいたことにホッとした。これで勇人の負担が減ると、しかし勇人は自分で名乗り出ると約束した。だからここで晴広が認めるわけにはいかなかった。いや、したくなかったといった方がいいかもしれない。別にそんなややこしいことをしなくてもいいのにと思うのが一般的な意見だが・・・
『・・・それはオレからは何も言えん』
「兄さん?」
『・・知りたいなら勇人本人から聞くんだな。兎に角お前たちは帰るように、いいな』
「ちょっと、待って・・・」
ツーツーツー
話はまだ終わっていないというのに晴広は電話を切ったのだった。
2
お気に入りに追加
2,194
あなたにおすすめの小説


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。

俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

イケメンの後輩にめちゃめちゃお願いされて、一回だけやってしまったら、大変なことになってしまった話
ゆなな
BL
タイトルどおり熱烈に年下に口説かれるお話。Twitterに載せていたものに加筆しました。Twitter→@yuna_org
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる