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しおりを挟む「和也、食事の用意ができたぞ。昼食べてないから腹減ってんだろ?こんなものしかなかったけど・・」
話かけられてビックリしていたみたいだけど、ちゃんと席についてくれた。
「・・・これ、何?」
「え、知らないのか?」
「初めて見る・・」
「へえ~・・そうか、これはな『牛丼』といってオレたち庶民にはポピュラーな食べ物なんだ。ひと口でもいいから食べてみろよ、美味しいぞ・・」
舌の肥えた奴に合うかどうかわからねえけど・・
和也はじーっと見て匂いを嗅いで恐る恐るそれを口に運んだ。
オレは手を止めてドキドキしながらそれを見ていた。
少な目だけど箸でひと口食べた。
すると、目を大きく見開いた。
「う、美味い・・こんな美味しいものを勇人たちは食べているのか」
「ん、まあ・・毎日じゃないけど・・安くて美味しくて気軽に食べられるからオレも好きなんだ」
「ふ~ん・・庶民の食べ物もたまにはいいな・・」
お腹が空いていたのもあったと思うが、嬉しそうにニコニコしながらキレイに完食した。
その後、コーヒーを飲んでいると
「あ、あのさ・・」
「ん・・?」
「その・・さっきはあんな酷いことしてごめんなさい・・」
「え、ああいやちょっと待って!オレこそごめん、無神経なこと言って悪かった・・」
お互い頭を下げたまま上げようとしない。
上げては下げての繰り返しになり何度目かで目がバッチリ合った。
「ぶっ!ハハハ――」
「フフフ・・アハハハハハ―ーーっ」
何だか、それがおかしくて噴き出した。その後はお決まりの大爆笑!
そして、オレたちは友達になった。
親衛隊には戻ったら謝ると約束してくれた。
これで、彼も穏やかな学校生活を送れるだろう。
それが、嬉しかった。
で、もう寝ようと寝室に行ったんだが・・
やはり、ベッドは一つ・・
しかも悪い予感というものは当たるもので・・
クィーンサイズ―――だった・・・
ここでもかっ!
と、もはや何度目かわからない突っ込みを入れるオレ・・・
和也といえば、驚いて固まっている。
さて、どうする?
オレはソファーでもいいか・・
「あのさ、オレがソファーで寝るから和也はベッドで・・」
「これなら、一緒に寝ても狭くないな」
え?今何と・・?
『一緒に寝ても・・』と言いましたか・・?
いや、まさかな・・
うん、疲れているから・・
幻聴なんて・・
「良かったなあ・・」
「・・・・う、うん?」
あれ?幻聴じゃ、ない・・?
まさか、本気で一緒に寝る気なのか?
「一緒に寝る、のか?」
念のため確認すると・・
「・・・・」
何で無言なの?
「えっと・・」
「・・・・ダメ、なのか?」
目を潤ませて甘える仕草に戸惑う。
イヤイヤイヤ・・さすがにそれはダメだろうと思う
こらっ!
手を握るな!
頬ずりするな!
てか、何をしてんの?
動揺しているオレに最後のとどめを刺す
「なあ、勇人・・・寂しいから一緒に寝よ?」
コテンと首を捻っておねだりポーズに
オレは―――
イヤとは言えなかった・・
「わ・・わかった」
今のオレはきっと真赤になっているに違いない
さすが、会計の弟―――である
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