82 / 225
12-8
しおりを挟むピピッピピッピピッピピッ――――
スマホの電子音が鳴り響く。
それを止めようと手探りしていると
「ほら、起きなさい・・」
「ん・・・」
眠い・・
昨日は色々ありすぎてなかなか寝付けなず、気が付いたら朝だった。
それからやっと寝ることができたからすごく眠い。
もう少し、寝かせて・・ん、んんん?
ここは一人部屋だったはず。なのに何で人の声がするんだ?
恐る恐る重い瞼を開けると、そこには優しく微笑む晴広兄さんがいた。
何でここに・・ていうかどうやって入ったんだ?
しかも、顔が近いっ!
「おはよう・・」
「お、おはよう・・」
まだ寝ぼけているオレに晴広兄さんはニコニコしながらオレのおでこに
チュッーーー!
「はあっ!・・・な、なな何をすんだよーーっ!」
キ、キスしやがった!動揺するオレの頭に夏樹兄さんが言った言葉を思い出す
『この人、バイだから・・・』
バイって女も男もイケるってことだよな・・じゃあ何か、晴広兄さんはオレをそんな目で・・・イヤイヤイヤ、まさかそんなことはない、よね・・?
おでこを手で押さえながら、晴広兄さんを見ると、意外にもキョトンとしていた。
あれ・・?何か違えた、か?
「何って、朝のあいさつだけど・・」
「へ・・?」
「え・・?」
オレは昨日のことで過敏になっていたのかもしれない。
そう気が付いて茹蛸みたいに真赤になったのが自分でもよくわかった。
「ぶっ!ハハハっハハハっハハハハハ―――――っ!!!」
豪快に笑いだす晴広兄さんのオレは
「うううううう・・・」
と、唸るしかなかった。
そして、散々笑った後
「学校は楽しいかい?」
「ああ、すごく楽しい・・」
オレの答えに満足したのか優しい笑顔を向けてくれた。
それを見てオレもまた心が温かくなるのを感じた。
ああ、これが兄弟なんだ家族なんだなって実感した。
オレはいつも家に帰れば一人だった。
母さんはいつも仕事に追われ家に帰ってこない日もあった。
だけど、育児放棄なんかじゃない。
オレらは置手紙をしたりメールで連絡を取り合ったりして、二人きりの家族の絆を深めていた。
だから、兄弟のいないオレはこんなたわいもないコミュニケーションがすごく嬉しかった。
夏樹兄さんともこんなふうに話せる日がくるんだろうか?
そんな心配もあったけど、晴広兄さんと触れ合ってそんな不安は薄れて行った。
1
お気に入りに追加
2,180
あなたにおすすめの小説
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!
慎
BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥
『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。
人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。
そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥
権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥
彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。
――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、
『耳鳴りすれば来た道引き返せ』
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
病んでる僕は、
蒼紫
BL
『特に理由もなく、
この世界が嫌になった。
愛されたい
でも、縛られたくない
寂しいのも
めんどくさいのも
全部嫌なんだ。』
特に取り柄もなく、短気で、我儘で、それでいて臆病で繊細。
そんな少年が王道学園に転校してきた5月7日。
彼が転校してきて何もかもが、少しずつ変わっていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初のみ三人称 その後は基本一人称です。
お知らせをお読みください。
エブリスタでも投稿してましたがこちらをメインで活動しようと思います。
(エブリスタには改訂前のものしか載せてません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる