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ピピッピピッピピッピピッ――――

スマホの電子音が鳴り響く。


それを止めようと手探りしていると


「ほら、起きなさい・・」

「ん・・・」


眠い・・

昨日は色々ありすぎてなかなか寝付けなず、気が付いたら朝だった。

それからやっと寝ることができたからすごく眠い。


もう少し、寝かせて・・ん、んんん?

ここは一人部屋だったはず。なのに何で人の声がするんだ?


恐る恐る重い瞼を開けると、そこには優しく微笑む晴広兄さんがいた。

何でここに・・ていうかどうやって入ったんだ?

しかも、顔が近いっ!


「おはよう・・」

「お、おはよう・・」


まだ寝ぼけているオレに晴広兄さんはニコニコしながらオレのおでこに


チュッーーー!



「はあっ!・・・な、なな何をすんだよーーっ!」


キ、キスしやがった!動揺するオレの頭に夏樹兄さんが言った言葉を思い出す


『この人、バイだから・・・』


バイって女も男もイケるってことだよな・・じゃあ何か、晴広兄さんはオレをそんな目で・・・イヤイヤイヤ、まさかそんなことはない、よね・・?

おでこを手で押さえながら、晴広兄さんを見ると、意外にもキョトンとしていた。

あれ・・?何か違えた、か?


「何って、朝のあいさつだけど・・」

「へ・・?」

「え・・?」


オレは昨日のことで過敏になっていたのかもしれない。

そう気が付いて茹蛸みたいに真赤になったのが自分でもよくわかった。


「ぶっ!ハハハっハハハっハハハハハ―――――っ!!!」


豪快に笑いだす晴広兄さんのオレは


「うううううう・・・」


と、唸るしかなかった。




そして、散々笑った後


「学校は楽しいかい?」

「ああ、すごく楽しい・・」

オレの答えに満足したのか優しい笑顔を向けてくれた。


それを見てオレもまた心が温かくなるのを感じた。


ああ、これが兄弟なんだ家族なんだなって実感した。

オレはいつも家に帰れば一人だった。

母さんはいつも仕事に追われ家に帰ってこない日もあった。

だけど、育児放棄なんかじゃない。

オレらは置手紙をしたりメールで連絡を取り合ったりして、二人きりの家族の絆を深めていた。

だから、兄弟のいないオレはこんなたわいもないコミュニケーションがすごく嬉しかった。

夏樹兄さんともこんなふうに話せる日がくるんだろうか?

そんな心配もあったけど、晴広兄さんと触れ合ってそんな不安は薄れて行った。









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