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「なつ、会長・・」


いけね、危うく夏樹兄さんと呼ぶところだった。

いや、それよりも何でここに?

しかも、この体勢に誤解されても弁明のしようがなくて

サーっと血の気が引いた。


「・・何をしている」

「・・・・」

「・・ええーっと」


おい、副会長!黙ってないで何とか言ってくれよっ!

会長は眉間にしわを寄せていて明らかに機嫌が悪い。

舌打ちして面倒くさそうにソファーから降りる。


「何って、見ればわかるでしょう?」


その反抗的な態度にオレは叫びたくなった。


「・・・・」


会長の視線が副会長からオレに移り、更に機嫌が悪くなる。

その視線はオレの目でではなく少し下へ・・・

そこで、はだけたバスローブに気づく。


「ゲッ!」


慌ててかき寄せるが・・・見られた、よな?

バスローブ姿で押し倒されていたあの状況・・・

夏樹兄さんは、どう思っただろう?

もしかして・・軽蔑、された?




「早瀬、お前・・・」


ギリギリと歯を食いしばり睨みつける会長に副会長は口角をあげ、そして、真直ぐな目で会長を見る。


「私は、勇人が好きです」

「---っ!」

「あなたもそうじゃないんですか?」

「・・・・は」


早瀬の言葉にオレは何も言い返せなかった。



オレが勇人を好き・・?

確かに、この状況は不満だ。

だけど、何か違うようなきがする。



「・・・オレは」


だけど、そんな様子の会長に副会長は気づいていない。



「自覚なしですか・・まあ、いいです。勇人は誰にも渡す気はありませんから・・」


まさに宣戦布告―――と、でも言うのだろうか

『失礼』と言い残して去って行った。


オレと会長を残して・・・


え、ちょっと待って!

あいつ、逃げやがったああーーっ!

クソっ!

これをオレにどうしろっていうんだあ!!

突然やって来てオレに不埒なまねをしておいて会長に宣戦布告!?

何を考えていやがる!

次に会ったらぶん殴ってやる!

怒りを抑えて

チラッと会長を見るとオレと同じようにほうけているが、

ねえ、何でまだいるの?

できれば、さっさと帰って欲しいんだけど・・

混乱しているオレに対しこっちに近づいてくる

えっ!何でこっちに来るんだ!


「く、来るなっ!」


後に下がったらソファーに足を取られ尻もちをついた。

背面に手をつきオレを覗き込むその瞳は戸惑っているように感じた。

ゴクリと息を呑む。

何回も襲われて貞操の危機を体験したオレの思考がおかしくなっていたのかもしれない

まさか、兄さんまで不埒なマネをするんじゃ・・

でも、彼の口から出たのは予想外の言葉だった。


「勇人は、早瀬が好きなのか?」

「え?・・」


オレが早瀬を・・好き?


「イヤイヤイヤ・・それはないです」


思わず思いっきり否定してしまった。

ああ、これ本人がいたら凹むだろうな~なんて余裕をこいていた。


「そうか・・・・じゃあ、好きな奴はいるのか?」


ええっと、これって・・何かイヤな予感がするんだけど・・

いや・・まさか、な・・


「あ、は・・・はい」


オレの返事に笑みを浮かべる。

え、何、その反応・・?



「そうか・・あいつがまさかお前にてをだすとはな・・」


そう言って予定表をテーブルに置いて行ってしまった。

残されたオレはズルズルとソファーから滑り落ちた。

軽蔑されたかと思ったがそうではないようで安心した。

だけど・・・見られた・・

でも、一体どこから?

もしかして、キスされたとこも・・?


「う、わああああああああーーーーーーっ!!」


明日からどんな顔をすりゃあいいんだよおおおおーーーーっ!!




クソッ~!





最悪だああーーっっ!!













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