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走り去った和也を、面倒くさい奴だと認識しつつオレはそのままパーティーを抜け出して部屋に戻った。

色んなことがあって疲れてしまった。

だけど、オレの頭の中は高坂さんのことでいっぱいだ。

ノーマルだったはずなのに周りの影響ってすごいなと思う。

ソファーに座ってシャツのボタンを外しそのまま脱ぎ捨てる。

シャワー室で熱いお湯を浴びながら今後のことを考える。


夏樹兄さんのこと、父さん母さんのこと、幸村家のこと・・。

オレって、本当に幸村家に居てもいいんだろうか?

晴広兄さんは快くオレを迎え入れてくれたけど・・

夏樹兄さんは、オレが弟だと知ったらどう思うだろう?

黙っていたことに腹を立てないだろうか?


いくら考えても答え何か出て来ないと分かっているけど・・

不安で不安で仕方がない・・。

自分で名乗り出るといいながらも、拒否されるのが怖いなんて・・


オレってこんなんだったけ?


はあ~・・

ダメだ・・考えれば考えるほどドツボにはまって行く。


頭をブンブン振り凹む気分を浮上させようとした。

だけど・・失敗して自己嫌悪

なんて悪循環だ



そんな時、誰かがドアをノックした。

慌ててバスローブを羽織りドアを開けたらそこには副会長の姿があった。



オレはなぜこの時相手を確認しなかったのかと後悔した。


なぜなら副会長はドアを開けたと同時に部屋に押し入ってきたから・・


「ちょっと!」

「・・・」


無言でソファーに押し倒される。


「うわっ!」

見下ろすその瞳には色気を帯びていた。

これは・・ヤバい。

今のオレはバスローブ・・当然、下は裸である。

貞操の危機にダラダラと冷や汗が流れ顔が引きつる。


「ええっと、副会長・・?」


なるべく刺激しないように声をかけるが、返って来た言葉は想定外なもの。


「・・・です」

「え・・?」

「浩太です・・」


ーーーえ?

それって浩太って呼べっとことか?

いや、年上でみんなのアイドルを名前呼びするにはさすがに抵抗がある。

それに、親衛隊に知られたら・・・オレは袋叩き・に?

でも、今のこの状況では従わないわけにはいかない、か?


「こ、こう、た先輩・・」


思わず先輩ってつけたけどそれでもよかったのかふわりっと笑った。

ホッとしたが、でもこの状況はかわらないわけで・・


「ええっと、浩太先輩、どいてくれませんか?」

「‥イヤです」

「え?あの~・・この体勢は困るんですが・・」


何が困るかって言えば、副会長の顔が近いんだよっ!

息遣いさえ感じるこの距離にキレイな顔がある。

サラリと落ちる髪、長いまつ毛ピンク色の唇はしっとりと濡れていて、その唇が今にもオレの唇に触れそうだと思ってたら、


そのままゆっくりと降りて来た―ーー





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