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しおりを挟むなぜ・・こうなった・・?
パーカーを脱いだだけなのに、何でみんな鼻血を出して倒れる?
しかも、高坂さんまで?
そんなにオレの体って変なのか?
う~ん・・よくわからねえ・・
自力で帰っていた親衛隊を見送ってオレは高坂さんの傍で目が覚めるのを待った。
顔についた血を濡らしたタオルでふき取りながらそーっと、高坂さんの顔を覗き込む。
長いまつ毛にすっとした鼻。
そしてオレの視線は薄っすらと開いている唇に集中。
色っぽくてドキドキした。
触れたい―――!
この状況でそう思うのは不謹慎かもしれない
だけど・・
指でそっと触れてみる
柔らかい―――っ!
「ん・・・」
あ、ヤバい・・意識が戻りそうだ。
慌てて手を引っ込めると、ボーっとしているのか目が明いても視線が定まらないようだった。
「高坂さん・・」
「・・・・」
「・・?」
呼びかけても返事がなくて不安に駆られたとき
ん・・・?
何か腰のあたりが・・?
確かめようとして手に触れたのは、高坂さんの手だった。
それと同時にギュッと握られたと思ったら、そのままグィッと引っ張られて倒れこんだ。
「どわっ!」
当然、高坂さんを下敷きにしまったわけで、慌てて起き上がろうとしたら今度は背中に手を回された。
「こ、高坂・・さん?」
う、困った!
これじゃあ動けないっ!
「は、離してっ・・」
離れようとバタバタしたら更に強い力で抱きしめられた。
「勇人・・」
低音ボイスでささやかれぞわぞわしてカーッと身体が熱くなった。
「好き・・だ」
え?今なんて言った?
『好きだ』と言わなかったか?
本当に?
オレのことが・・
好き―――?
う、嬉しい―――っ!
この人に思われて・・・
『オレも好きです』と言いたい
『あなたが好き』って言いたい
だけど―――
それは・・言えない・・・
さっき晴広兄さんに
できるだけ、誰とも親密にならないように・・・と、言われたばかりなのだ。
「高坂さん・・・オレ・・」
「なあ、オレのものになれよ」
抱きしめられたまま懇願する彼に、オレはどう言えばいいんだろう?
「勇人・・」
「・・・」
無言のオレに苛立ったのか、起き上がって身体を反転させられる。
「なあ、勇人・・」
見下ろす高坂さんの表情は苦しそうだ。
そんな顔をオレがさせているのかと思うと胸がギュッと痛くなった。
「じ、時間を・・ください」
だけど、今のオレにはこれが精いっぱいで
―――無性に泣きたくなった。
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