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しおりを挟む「ん・・・う~ん」
会計を追い出した後、いつの間にか眠っていたらしく物音で目が覚めた。
コンコンコン―――・・・
「誰だ・・?」
まさか、また会計じゃねえよなと、警戒しながらドアスコープを覗くとそこには会長の姿が・・
慌てて開けると会長は驚いた様子だった。
「まだ、着替えてないのか?」
「え?何が・・?」
オレの態度に呆れてため息を吐く。
「スケジュール表を見ていないのか?十八時からディナーパーティーだぞ・・」
「ディナー・・・?」
ああ、それでタキシードなんだ。
「早くしろ・・」
「えーっと・・持って」
「は?」
「タキシードなんて持ってません」
パーティーがあるのはわかったが、タキシードなんて頭になかった。
ていうか、その前に持っていない。
「何をいっている。クローゼットに用意してあるだろう?」
そう言われて、慌てて確認すると確かにタキシードがあった。
しかも、黒と白だ。
その他にも何着かスーツが用意されていた。
「あー・・ここは見ていなかったわ」
「早くしろ。黒いほうだぞ」
「わかりましたから、急かせないでください」
急いで黒のタキシードに着替えて髪を整えるが上手くまとまらない。
「う~ん・・」
「何してる。貸してみろ!」
見かねた会長がワックスを使ってサッとセットしてくれた。
「ありがとうございます・・」
オールバックだけど、ね。
「何か、恥ずかしい」
「何言っている。よく似合っているぞ」
嬉しそうにニッコリ微笑む会長は、白いタキシードで襟は金色だった。
おまけに白い手袋・・まるでどこかの王子様みたいだな。
その証拠に廊下ですれ違う親衛隊は顔を赤く染めている。
あれ、親衛隊は制服なんだ。
そして、生徒会は白で風紀委員は黒か。
控室だと通された部屋には全員揃っていてどうやらオレたちが最後みたいだった。
「遅かったですね・・」
「勇人を迎えに行ってた」
「勇人?・・・いつの間に会長は彼を下の名前で・・?」
「・・悪いか?」
「・・・いえ、別に」
別に認めたわけではないが副会長は会長が名前呼びしていることが少し気に入らなかった。
これ以上ライバルを増やしたくないのが本音。
自分の知らないところで事が進むのが気に入らないが
それよりも今は、黒のタキシード姿の勇人に見惚れた。
いつも下ろしている前髪が今日は上に流していて、それが新鮮でドキドキした。
「・・勇人、よく似合ってますよ」
「え、ああ・・どうも」
何か居ずらいな。
みんなの視線が何か・・・
特に会計の視線・・・・キラキラしててキモイ・・
気づかないフリをするに限るな。
気慣れない服に緊張して喉が渇く。
すると、そこにタイミングようく氷水入ったコップが差し出された。
「あ、ありがとうございます・・」
受けって顔を見れば、そこには優しく微笑む高坂の姿があった。
勇人と同じ黒いタキシードとオールバックの髪型に、いつもと違う妖艶な大人の色気を醸し出していて、勇人をドキリとさせるには十分だった。
カーっと赤くなったのがわかって俯く。
「どうした・・?」
不思議そうに首を傾げる。
「い、いや・・何でもないです」
「・・・そうか」
落ち着け!オレの心臓っ!
持っていたコップの氷水を一気に飲み干したら少し落ち着いた。
そのタイミングでノックがされ案内係に呼ばれる。
「さあ、行こうか」
「ええ・・」
会長の掛け声でみんなが控室を出て会場のドアの前に並ぶ。
「いいですか?開けますよ」
「ああ、頼む」
金ぴかの大きなドアが開き、親衛隊の歓声がオレたちを迎え入れた。
****************
すみません。
晴広兄さんの出番はもう少し先でした
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