上 下
58 / 225

9.変化

しおりを挟む





あれから会長と親衛隊は今までの誤解が解けて距離を少しづつだけど縮めている。

月に一度だが親睦会なんかも開かれることが決まったみたいだ。

実際に制裁はグンと減り風紀の耳に入って来てないし、負担も減った。

お陰で仕事は見回りと書類の整理だけだ。


「・・・・・」

「・・・・」

風紀室でオレと高坂さんは溜まりに溜まった書類作りのためにパソコンと格闘していたが

水族館から帰って来てから高坂さんの様子がおかしい。

あんなにベッタリだったのに口数も少ないし顔を見ようともしない。

オレ、何かやったか・・?

ずっとそのことを考えているけど思い当たる節がない。

聞いても答えてくれねえし・・・・もしかして嫌われた?

それとも・・

はあ~・・・いくら考えても何も浮かばない・・

チラッと高坂さんを見るけど、全くこっちを見る気配がない。

単に仕事に集中しているだけか?

「高坂さん・・」

「・・・・」

「あの~・・何でオレを無視するんですか?」

「・・・」

またかっ!

また無視かよっ!

一体何なんだよ!

ムカつくっ!

もう、いいっ!あんたがその気ならこっちにも考えがあるっ!

大人げないと言われるかもしれないけど、オレも無視することにした。

もうすぐ今日の仕事も終わるからさっさと帰ろう!

最後の一枚を終わらせてオレは風紀室から出た。

「ムカつくっ!」


出た所で松本さんが帰って来たので「お先です」とひと言かけて寮へと向かった。



勇人を見送った松本は中で仕事をしている高坂に声をかける。

「高坂さん、相良と何かあったんですか?」

「・・・いや」

「だったらなぜ彼を無視するんですか?」

「・・・・」

「まただんまりですか?いい加減にしてもらえませんか。

あんたがそんな態度だと士気が落ちるんですよ。相良だってかわいそうだ・・」


松本の言葉が効いたのか手が止まる。

「あいつが・・・・」

「ん、相良が・・?」

「相良がかわいくて、我慢できそうにないっ!」

「・・・は?」

「水族館行った時、あいつ送迎車の中で寝たんだがその寝顔がエロくてな。

あれは襲ってくれっているようなもんだった・・」


興奮しているのか顔が赤いし息も荒い。

はあああーーっ!これがあの『風紀の鬼』と言われた委員長なのかあっ?


「ああーーっ!!クソッ、思い出しただけで|勃起|《たち》そうだっっ!」

「あ、あんた何を・・」


呆れて言葉が出ないとはまさにこのことだ。

堅物の風紀委員長さまが後輩にメロメロとは・・青天霹靂ってやつなのか?

今まで見たことのないデレように、驚くもののまあ委員長も人の子だったんだと思ったが、

そこで、はたっと気づく。

これって、バレたらヤバいのでは、と・・

下手をすれば学校が荒れるんじゃ・・?

会長の件が片付いたと思ったら今度はこっちかよっ!

デレデレな高坂に松本は、これから起こり得ることに、イヤな予感を抱かずにはいられなかった。
しおりを挟む
感想 66

あなたにおすすめの小説

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

親衛隊総隊長殿は今日も大忙しっ!

BL
人は山の奥深くに存在する閉鎖的な彼の学園を――‥ 『‡Arcanalia‡-ア ル カ ナ リ ア-』と呼ぶ。 人里からも離れ、街からも遠く離れた閉鎖的全寮制の男子校。その一部のノーマルを除いたほとんどの者が教師も生徒も関係なく、同性愛者。バイなどが多い。 そんな学園だが、幼等部から大学部まであるこの学園を卒業すれば安定した未来が約束されている――。そう、この学園は大企業の御曹司や金持ちの坊ちゃんを教育する学園である。しかし、それが仇となり‥ 権力を振りかざす者もまた多い。生徒や教師から崇拝されている美形集団、生徒会。しかし、今回の主人公は――‥ 彼らの親衛隊である親衛隊総隊長、小柳 千春(コヤナギ チハル)。彼の話である。 ――…さてさて、本題はここからである。‡Arcanalia‡学園には他校にはない珍しい校則がいくつかある。その中でも重要な三大原則の一つが、 『耳鳴りすれば来た道引き返せ』

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

処理中です...