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9.変化
しおりを挟むあれから会長と親衛隊は今までの誤解が解けて距離を少しづつだけど縮めている。
月に一度だが親睦会なんかも開かれることが決まったみたいだ。
実際に制裁はグンと減り風紀の耳に入って来てないし、負担も減った。
お陰で仕事は見回りと書類の整理だけだ。
「・・・・・」
「・・・・」
風紀室でオレと高坂さんは溜まりに溜まった書類作りのためにパソコンと格闘していたが
水族館から帰って来てから高坂さんの様子がおかしい。
あんなにベッタリだったのに口数も少ないし顔を見ようともしない。
オレ、何かやったか・・?
ずっとそのことを考えているけど思い当たる節がない。
聞いても答えてくれねえし・・・・もしかして嫌われた?
それとも・・
はあ~・・・いくら考えても何も浮かばない・・
チラッと高坂さんを見るけど、全くこっちを見る気配がない。
単に仕事に集中しているだけか?
「高坂さん・・」
「・・・・」
「あの~・・何でオレを無視するんですか?」
「・・・」
またかっ!
また無視かよっ!
一体何なんだよ!
ムカつくっ!
もう、いいっ!あんたがその気ならこっちにも考えがあるっ!
大人げないと言われるかもしれないけど、オレも無視することにした。
もうすぐ今日の仕事も終わるからさっさと帰ろう!
最後の一枚を終わらせてオレは風紀室から出た。
「ムカつくっ!」
出た所で松本さんが帰って来たので「お先です」とひと言かけて寮へと向かった。
勇人を見送った松本は中で仕事をしている高坂に声をかける。
「高坂さん、相良と何かあったんですか?」
「・・・いや」
「だったらなぜ彼を無視するんですか?」
「・・・・」
「まただんまりですか?いい加減にしてもらえませんか。
あんたがそんな態度だと士気が落ちるんですよ。相良だってかわいそうだ・・」
松本の言葉が効いたのか手が止まる。
「あいつが・・・・」
「ん、相良が・・?」
「相良がかわいくて、我慢できそうにないっ!」
「・・・は?」
「水族館行った時、あいつ送迎車の中で寝たんだがその寝顔がエロくてな。
あれは襲ってくれっているようなもんだった・・」
興奮しているのか顔が赤いし息も荒い。
はあああーーっ!これがあの『風紀の鬼』と言われた委員長なのかあっ?
「ああーーっ!!クソッ、思い出しただけで|勃起|《たち》そうだっっ!」
「あ、あんた何を・・」
呆れて言葉が出ないとはまさにこのことだ。
堅物の風紀委員長さまが後輩にメロメロとは・・青天霹靂ってやつなのか?
今まで見たことのないデレように、驚くもののまあ委員長も人の子だったんだと思ったが、
そこで、はたっと気づく。
これって、バレたらヤバいのでは、と・・
下手をすれば学校が荒れるんじゃ・・?
会長の件が片付いたと思ったら今度はこっちかよっ!
デレデレな高坂に松本は、これから起こり得ることに、イヤな予感を抱かずにはいられなかった。
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