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しおりを挟むアナウンスで助かったと思った勇人は慌てて立ち上がる。
「ほ、ほら・・つ、着きましたよ」
少し面白くなかったがこのまま留まることもできず仕方なく立ち上がって送迎車から降りた。
外に出た途端、遮っていた太陽の光が眩しくて目を細めた。
眩しっ・・!
降りてすぐに入り口へと向かう。
みんな嬉しそうにしながら歩いていくのを見ながら勇人はチラッと高坂を盗み見る。
高坂に『恋してる』と自覚した勇人の態度は挙動不審だ。
目を泳がしたり、顔を赤らめたりと忙しそうだ。
そんな勇人に高坂は笑いを堪えて、後へと続く。
その先には幸村と佐川の姿があった。
顔を赤らめて幸村と話しながら楽しそうだ。
ただ、彼らの周りには親衛隊が囲んでいた。
高坂が動き出したことを知った彼らは、
ここで何とか引き離して決着をつけるつもりなのだと踏んでいた。
さて、どこで動き出すかな?
今日は鬼ごっこでデート券を獲得したペアが参加していた。本来なら高坂と勇人に参加券はないが警備という名目で強制参加させられていた。
まあ、高坂には都合がよかったので合意したが、何も知らされていない勇人にとっては迷惑かもしれない。
生徒会からは会長の幸村だけでなく、副会長も早瀬も会計の五十嵐も参加している。
まあ、早瀬と五十嵐は不本意だろうが・・。
さっきから二人がこっちを見て残念そうにしているのに気づいて、見せつけてやろうと勇人の肩を組むと悔しそうにしていた。
モテる二人だが、本気になったのは勇人が初めてのようだ。
「ど、どうしたんですか?」
何も知らない勇人が不思議そうに高坂を見る。
ああ、やっぱり・・こいつが勇人がほしい
心底そう思う高坂に対し勇人はからかわれてると気づいていた。
この人は何が面白くてオレをからかうんだ?
周りの奴らがどんな顔をしてオレらを見ているのか気づいてないのか?
気づかれないように小さくため息を吐きながら入り口に入ると
最上階まで長いエスカレーターがあってそれに乗っていく。
そこから長い下りのスロープになっていて真ん中の大きな水槽を巻き込むような作りになっていた。
中の水槽にはたくさんの魚が泳いでいた。
みんな目をキラキラさせてまるで小さな子供が宝物を見つけたような顔だった。
金持ちの彼らにはこんな庶民的な水族館は珍しいのかもしれないなとちょっと笑ってしまった。
「会長、あれ見てください。」
ゆびを指しながら声をあげているのは佐川だ。
そばには会長がいて、少し離れたところには親衛隊が冷たい目でそれを見ていた。
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