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しおりを挟む「何ですか、それはっ・・そんな報告うけてませんよ」
高坂を睨みながら罵倒する副会長と驚くチャラ男。そして何を思ったのか高坂に視線を向ける会長。
「高坂・・どういうつもりだ」
「どうもこうも、これはオレらの仕事だ。それにその事件は一応報告書は渡してある」
それを聞いて二人はチャラ男の方を見る。
「拓也、お前・・」
「えっと、ごめん・・忙しくて見落としたかも・・ハハハ」
苦笑いをしながらも正直にミスを告白する。
「それにしても、こいつラグビー部の野村だよね?その時それを勇人が一人でやっつけたの?」
「あー、うん」
風紀委員と違って生徒会メンバーは勇人のケンカの腕を知らない。
あの細身の腕でこのごつい男を、しかもラグビーで鍛えられた筋肉バカをどうやってやっつけたのか気になるのも無理はなかった。
「何か、武道の心得でもあるのですか?」
「えっと、実は空手を・・でも、これは高坂さんが・・」
「そうなんだ・・」
チャラ男こと五十嵐拓也は勇人が空手をしていて腕っぷしが強いことを知って、少々焦っていた。
うそ~・・勇人が空手ええーーっ!
どうしうよう、これじゃあ襲うのは無理かな?
なんて不謹慎なことを頭が駆け巡る。
そして、副会長こと早瀬浩太もまた・・
はあ~・ただでさえ体格差があるのに空手とは・・
と、ショックを受けていた。
「わかりました。この男の処分は風紀にお任せします・・」
内心叶わないかも、とかでも諦めたくないとか色々なことを考えながらそんな素振りは見せないところはさすがだと言いたい。
誰もホメてくれないけれど・・
「ああ・・」
今更任せると言われもそんなの関係ない。
こっちはこっちで秩序を守るだけだ。
それにしても、幸村は相良に何の用が・・?
チラッと見れば何か思いつめたような顔をしている。
「そういえば、会長は勇人と何の話をしていたのですか?私としてはそちらが気になります」
グイっと会長との距離を縮めて迫る早瀬に会長こと幸村夏樹は気まずくなる。
まさか、佐川のことでもめたとは言いずらい。
ただでさえ、早瀬は佐川のことをよく思っていないのだ。
「会長・・?」
「・・いや、別に話すことじゃない」
プイっと顔を背けていることから、早瀬はもしかしてあの生徒のことかと勘繰った。
でも、ここでそれを言うのは躊躇われた。
勇人を見れば彼も同じような反応で、自分の勘に間違いないと思いながらこれ以上は何も言わなかった。
勇人と言えば
やべええええーーーっ!!
佐川のことは誰にも言いたくねえし
会長だって同じだろう?
でも、なぜわざわざオレを探しに来てくれたんだ?
罪悪感?
罪滅ぼし?
それとも、けん制か?
「・・・・」
どっちにしてもオレにはいいものじゃねえな・・
さっきまで忘れていた『偽者』という問題を思い出して段々と気分が沈んでいく。
帰りたい・・・
早く帰って・・何も考えずに眠りたい・・・
あ、でも調書があるか・・!
できれば明日にしてほしいなと思いながらみんなでその場を後にしたのだった。
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