オレが受けなんてありえねえ！

７－６

中間テストも無事に終わり今回もトップだったことにホッとした。

今日から生徒会の仕事も再開だ。

二学期には体育祭と文化祭の準備があって何かと忙しくなる。

その前に弟を探しておきたかった。

あの時、鬼ごっこで最後まで残った奴のなかに『はやと』がいた。

彼だと思ったのに『僕にはちゃんと両親がいます』と言われてしまった。

一年の中で『はやと』は彼だけだった。


でも、父さんは確かに言った。


『はやとが入学したから・・』と・・・


なのにまだ見つからないなんて・・

せめて、写真だけでもあればよかったのに・・

父さんときたら『自分でみつけなさい。その方が楽しいだろ？』と勝手なことを言ったのだ。

まあ、そうかもしれないけど・・

言い出したらいうことをきかない人だからあきらめているけど。



それに否定した佐川だけど、もしかしたらウソをついている可能性だってある。

もう一度、確かめてみてもいいかもしれない。



「はあ～・・・」

校舎からお花畑抜けて行こうとした時だった。

誰かが花に埋もれているのが目に入った。


「誰だ・・・？」


そっと近づいてみると

そいつは早瀬と拓也が好きだと告白した奴だった。

何でこいつがここに？

ここは滅多に人が来ない場所だ、二人のせいで嫉妬から襲われる可能性だってあるのに・・



これは生徒会長として見過ごすわけにはいかないな。


「おい、起きろっ」


身体を揺さぶってみたら、寝ぼけているのか目がトロンとしている。


「ん・・・なに・・？」


「・・・・」

「・・・・」


お互いしばらく見つめ合っていたが

やがて覚醒したのか目を大きく見開いて顔を真赤にさせて飛び起きた。


「え、えと・・・」

おろおろしている姿がかわいくてちょっと興味がわいた。

よく見ればかわいい顔をしているし髪の色もオレと同じで、陽にあたっている部分が透けてキレイだと思った。



「確か、相良勇人だったな。ここで何をしている？」

「あ、いや・・・別に・・」


今にも泣き出しそうな顔をしてオレを見つめる彼。


「ん・・・？」


何でもないっていう顔ではないと思いながらも、これ以上は踏み込むことはできない。

だけど凄く気になった。

余計なお世話かもしれないと思いつつも・・。


「・・・」

「・・オレでよかったら話を聞くぞ・・」


これだけ譲歩しているにもかかわらず、それでも迷うようにオレを見る。



「あ、あのだったら・・聞きたいことがあるんですけど」

「何だ・・言ってみろ？」


唇を噛み、決意したように真直ぐオレを見てこう言った。


「会長さんに弟がいるって本当ですか？」


これはプライベートな質問だ。

なぜそんなことを聞いてくる？

もしかして、早瀬たちを利用してオレに取り入ろうとしているのか？


「なぜそんなことを聞く？お前には関係のないことだろう・・」


無意識に眉が寄る。


「じゃあ・・いると仮定して・・その・・彼が本物だと思いますか？」


その言葉に怒りがわいた。

佐川隼人は違うと否定した。だけど、オレは彼がウソをついていると思っている。

実に不愉快だと思った。


「会長・・」


「・・・・」


オレが無言になったことに気まずいと感じたようだ。


「・・・すみません、オレ・・戻り、ます・・」


目を潤ませて離れて行く。


その姿に何か引っかかるものを感じたけど、それが何なのかよくわからなかった。