オレが受けなんてありえねえ！

７－５

鬼ごっこがあった日、早瀬と五十嵐が相良に告白した。


前から疑ってはいたが、まさかあの場で告白するとは思っていなかった。

『お願い券』で相良を傍に置くことだできたことに安堵していたのかもしれない。


だからあの告白には焦った。

そして気が付いたらあんなことを言ってしまっていた。


『風紀（オレ）のものだ。誰にも渡さん』


自分でもビックリした。

そこで相良に対する気持ちに気づいた。


『好きだ』とーーー


だから毎日、風紀室で会えることが独占できることが嬉しかった。

傍にいるだけでいいと思っていたが、それだけでは足りなくなっていた。

抱きしめたい。

キスしたい。

繋がりたい。

とーーー作業をしている後姿を見て、何度触れたいと思ったことか


そこに、あの賭けだ。

『テストでトップを取ったらスペシャルスイーツを奢る』

という、なんともかわいい賭けの対象に笑みがこぼれた。

そして、

『トップを取れなかったら何でも言うこと聞く』


どっちにしろ、結果を楽しみにしていたが

当日になっても風紀室に顔を出さないことにイラつき教室まで迎えに行った。

結果はまだ確認していなかったが、相良の実力は知っていたので当然トップだと思っていた。


だが、予想外の同率トップ。


これは棚から牡丹餅。

天は我に味方した・・・・て、やつだ。

つまり、賭けはオレの勝ち。

何でも言うことを聞くが実行できるということだ。


なのに、相良ときたら賭けを無効にしようとしやがった。

これはお仕置きが必要だなと

悪戯心がわいて、抱きしめて口説いてメロメロにしてやったら

ここが教室でクラスメイトに見られていると気づいて走って逃げて行った。


もう少しからかいたかったが、クラスメイトの相良を見る目が違ったことに気づいて舌打ちした。

恍惚とした顔やイヤらしい目つき、トイレに走る奴もいた。


だが、原田海斗だけは違った。

オレを敵だと認識したような目つきだった。

そうか、彼も相良に魅了された一人か・・

手ごわいライバルになりそうだなと

苦笑しながらオレは小さく息を吐いた。