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もしかしてオレ・・あの変態副会長に狙われる?


いや、だとしたらすげえピンチなんじゃ?


そ、そうだ海斗が鬼なんだから奴に頼んでワザと捕まれば大丈夫なんじゃ・・


そう思ってキョロキョロと探しているが見つからない。

クソッ!何でだよ!!



「は~い、みんな準備はいい?タイムリミットは二時間。

寮と生徒会のある棟とカギのかかっている部屋は禁止だからね」


会計ののんびりした声にムカつく。



「風紀の高坂だ。わかっているとは思うがゲーム中に暴力や制裁は禁止とする。

なお、見つけ次第拘束して連行する。わかったなっ!

あと、何かトラブルがあったら見回りの風紀に連絡しろ!以上だ」



「では、逃げる人はスタートラインに、鬼は後方の黄色いラインまでさがって~」


ぞろぞろとみんなそれぞれのスタートラインに着く。


「用意はいい~?鬼は十分後にスタートするから、それまでがんばって逃げてねえ~・・」


最後に会長にマイクが渡る。


「・・・では、よ~い・・ドンっ!」


拍子抜けするよなスタートの合図にガクッとしそうになったが、何とか走り出した。


「あー・・言い忘れたが今年は生徒会メンバーも鬼として参加するから」



遠くでそんなことを言ってたが勇人は全く聞いていなかった。









勇人は走って逃げるよりも隠れてやり過ごそうと考えていた。

というのも、あれから高坂と話をして勇人は臨時扱いに落ち着いた。

それはまだ公表されていないので、役目としては隠れて様子を窺うほうが都合がいいからだ。


悪さをしようと企んでいる奴らも絶対油断するに違いない。


でも、このゲームは楽しむつもりだ。


景品ならぬご褒美があるから・・


うわさでは『デート券』らしいが、勇人がねらっているのはそれではなく『一ヶ月の外出券』だ。


他にも『食堂の無料券』や売店で『大人気のデザート券』、『授業免除券』などがあるらしいがそれはどうでもいい。


あれさえあれば、どこにでも遊びに行ける。


まあ、危険だと思うけど・・・それでも息抜きをしたかった。



鬼のスタートまであと五分。

できるだけ遠くに行きたい。



さて、あの森にでも行くか?


あそこは人気がないからな・・


ひたすら走っていると段々と人影がなくなっていく。

しんとして、不気味だ・・


高坂さんが言ってたけど

確かにこれは何が起こっても不思議じゃないな

立ち止まって耳をすましてみるが、特に変わったことはないようだ。


ポケットにあるGPSつき防犯ブザーを握りながら考える。


『何かあったらこれを使え。すぐに駆け付ける』


こんな物を渡すってことは

このゲーム中に何かあるってことか・・


用心したほうがいいな・・


臨時とはいえ風紀委員には違いないのだから・・・
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