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そして、当日・・・




体育館に直行ではなく、教室に集まりくじ引きをさせられた。


次々に引いてその結果に興奮している。

実はこの鬼ごっこ、ただの鬼ごっこではなかった。

色々な景品があったのだ。

みんなそれをご褒美と呼んでいた。


「ご褒美ねえ~・・」


それを聞いて少し興味がわく。


そして、勇人はドキドキしながらくじを引いた。


開けてみたら


『逃げるほう』---だった。


「ゲッ!マジかよ・・・」


鬼だったら適当にサボるつもりだったのに・・


「勇人はどっちだ?」


後から覗き込むように肩を組まれて舌打ちする。


「見るなよ・・」


「何だ、逃げるほうか?」


「ああ、海斗は?」


「オレは鬼だ・・」


ちぇっ!そっちかよ!


ニヤニヤする海斗に勇人はムッとする。


「何だよ・・・」


「いや、上手く逃げろよ・・でないと、酷い目にあうかもしれねえぞ。特にあの会計さまは要注意だ」


「・・え、それってどういう意味だ?」


勇人の質問には答えず、海斗は早々に体育館へと向かう。

そのあともぞろぞろと教室を出て行く。

しかもみんな嬉しそうに・・・



何だよ、何だよっ!



何があるか教えてくれてもいいじゃねえかっ!




いつの間にか一人になっていて慌ててついて行く。

だってまだ、体育館の場所は知らないから・・


廊下にはたくさんの生徒たちがあふれていたからその心配はなかったけれど・・・


海斗の姿は人混みで見失ったが気が付けば隣には中島がいた。

「・・・」

「・・・・あのさ、原田の言う通り、会計さまには気を付けた方がいいよ。それに親衛隊にも・・」


そうひと言つげて先へと行ってしまった。

あれで、心配してくれているようだ。


いつもは突っかかってくることが多いのに・・・?

もしかして、ツンデレってやつか?

はあ~・・・女の子なら嬉しいけど、相手が男ならそんな余計な心配はいらんっ!


でも、忠告は受け取っておこう。


あとで酷い目にはあいたくないしな・・



クラスメイトよりも遅れて体育館に入れば、舞台には生徒会メンバーが揃っていた。


その歓声のすごいこと、耳を塞いでいてもうるさくてたまらない。


そこに風紀のメンバーが現れた。

するとみんなのボルテージがマックスになる。


「「「きゃああああああああああーーーーーーーーっ!!!」」」」


ぎゃあぎゃあ叫んでいるだけでなく、何か言っているようだが聞き取れない。



「静かにっーーーー!!」


マイクの音量もマックスで対応する。

それがこうして、シーンと静まり返った。


流石だと、いったほうがいいんだろうけど、マックスにする必要はあるのか?


いや、それはどうでもいいか・・うん、いいな。


それよりこれからどうやって逃げ切るかを考えないと・・


「今から、ルールを説明するから、よく聞け」


「・・・・」


ルールねえ・・・・



高坂さんから会長へとマイクが渡る。



「このゲームは誰もが知っている通り、鬼に捕まった奴を仲間が救うことができる。

だが、これは無効とする。つまり一度捕まればそれで終わりだ。

で、鬼にはこの赤いブレスレットを逃げるほうには青いブレスレットをつけてもらう。

これはただの目印じゃない。

センサー付きになっていて鬼は捕まえた奴のブレスレットにここのセンサーをスキャンさせ

青から赤に変わったら登録完了だ。そうなったら体育館に連行しろ」




エー・・何そのブレスレットは?


このためだけに作らせたってんじゃないよね?


「今年はすごい装備だね・・」

「うん、なんでも会計さまが考案したらしいよ」

「あー、そう言えば昨年不正が多発したって聞いた。」

「そうそう、会計さまが標的にされてもみくちゃだったって兄さんが言ってた」


「ふ~ん・・でもそれって関係なくない?」

「何が?」

「だって、このシステムがあってもさ・」

「・・・うん、そうだね」

「あっても、もみくちゃにされるだろうね」



数人のグループがそう話しているのを聞いて、その通りだと思った。


会計さま、どういうつもりでこれを・・?


教室を出る前に渡されたブレスレットを見つめながら、そうだこれを誰かと交換すればいいんじゃねえの?

と思ったが、副会長の言葉にそれは打ち砕かれる。



「あー、言っておきますがブレスレットの交換は禁止します。

まあ、つけたらこの私が持っている装置でないと外せないようなっていますので、

無駄な悪あがきはしませんように・・」


と、あの偽物の笑みを浮かべながらこっちを見たような気がして


ゾわ~っと、寒気がした


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