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ここに知り合いはいない。

だから、誰かがふざけているのかと思った。


声の方に視線を向けると・・・

そこにはよく知った顔があった。


海斗かいとなぜお前がここにいる?」


「|勇人こそ?地元の高校に行ったんじゃなかったのか?」



海斗かいとの言う通り、本当なら地元で学校生活を送っているはずだった。



「・・まあ、色々あってな」


オレが相良から幸村になったことは秘密のためいくら海斗かいとであっても話すわけにはいかない。

話せば彼にも危険が及ぶかもしれないから。


「ふう~ん・・・」


だが、そう思ってもオレの態度から何かを察したようだ。

さすが、オレの相棒。

ここでの生活が落ち着いてから話してもいいかもしれない。

どのみち隠してもバレるだろうから・・。


オレたちのやり取りを聞いていた二人。


「知り合いなのか?」

「ああ、中学時代のクラスメイト」


「へえ~・・」

「仲が良かったのか?」


横から違う奴が割り込んで探りを入れて来た。


まあ、転校生とクラスメイトの仲が気になるのはわかるが・・・。



答えないことに何か勘違いをしたのかそいつの目つきが嫉妬じみたものに変わる。



「おい、何をかんがえているかは知らねえがオレと海斗かいとは友達だ。それ以上も以下でもない」



一応、否定はしておいた方がいいよな。ここの学校は変わってるしな・・。


だが、そう答えたのに納得していないようで睨まれた。


「・・・そうなんだ」


中島が興味ありげに呟いた時、教師が入って来たのでみんなそれぞれの席に戻った。


海斗かいとの席は意外にも近くて、横顔が見える距離だった。


オレと海斗かいとは、ああは言ったが小学生からの親友だ。

遊ぶのもケンカするのもいつも一緒で特に中学ではセットで見られていた。

そんなオレたちだが、選んだ高校は別だった。オレは地元の高校。海斗かいとは寮入りすると聞いていた。
それにお互い親の都合があったから、もうしばらくは会えないと思ったていた。だから、この再会はオレにとってはサプライズだった。


嬉しかった。

だから、今朝あったことをすっかり忘れていた。

いや、記憶から消えていたと言った方がいいかもしれなかった。



あんな衝撃的なことをされたのに・・・






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