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最終決戦といこうか!2
しおりを挟むナロン侯爵は心の中で罵倒しながらも自身がなぜ呼ばれたのかわからなかった。しかしここにいる面子を見てイヤな予感がしてならなかった。
「では、最初はリム男爵とアルバ伯爵の取り調べを行う」
「―――っ!」
「ク゚ッ―――!」
名前を呼ばれた二人の顔色は悪い。
「二人は返せないとわかっているにも関わらず、金に困っている平民に金を貸し高い利子を取り追い詰めて奴隷として他国に売り飛ばしていた。間違いないか?」
「そ、それは・・・」
「恐れながら、貸した金を返してもらうのは当然のこと。それのどこが悪いのでしょうか?」
「ふむ、それはそうだ・・」
国王が頷いたことから少しホッとした二人だが続いた言葉に凍り付いた。
「だが、最初から決まっていたのなら別だ」
「―――な、何のことで・・」
「貴様、見た目のよい男女に近づきうまい話しがあると言って金を貸して罠に嵌めたのだろう・・?」
「・・ま、まさか・・そのようなこと」
「黙れ!貴様らに騙されたと何人もの訴えがあった。中には余が信頼しておる商人も被害にあったと聞いておる」
「そ、そんなはず・・」
ウソだ!そんな訴えなんてできないはずだ。
騙した奴らは全員連れて行ったのだから・・
だがもしそれが本当なら―――どこから漏れたのだ?
まさか、陛下の信用している商人から―――?
俯いて真青になっているリム男爵を見てアルバ伯爵は焦った。
リム男爵と結託して平民を奴隷商に売り飛ばしていたのは自分だ。
バレるはずがないそう思っていたのになぜ今頃?
それに、陛下が信用している商人とは誰だ?
二人の狼狽える様子を見て宰相は彼らに報告のあった証拠の書類を突き付けた。
「これが貴様らがやってきたことの証拠だ!」
バサバサと頭から落とされる証拠の中に見知った名前を見つけて驚く。
ーーー『エレン・ミネバ・ロータス』
「なっ!これはっ―――!」
なぜ、エレン様の名前がっ?
リム男爵が驚く顔を見て国王はニヤリと悪意のある笑みを浮かべた。
そう、奴らが平民を罠に嵌めたように国王もまた罠を仕掛けていたのだった。
『破滅』という罠を―――・・
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