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明かされる出生の秘密2

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「魔力だけではない。属性も関係する。まあ、全てではないが・・。余の属性は風と雷と水だ。それなのにダグラスの属性が火というのはおかしいのではないか・・?」


国王の問いにクリスは真青になった。


「それだけではない。髪の色も目の色も王族特性のものをあやつは何一つ持ってはおらぬ・・・」

「・・・・・」

「クリスよ、これはどういうことか説明せよ」




クリスは国王がこんな質問を投げかけてくるとは思ってもみなかった。今まで何をしても放置されてきたからだ。

男爵と伯爵を陰で操り国を荒らしてきたが、それでもクリスを見ようとしなかった。

媚をうっても冷たい目で見られ伸ばした手は触れるどころか振り払われて寂しさから憎しみへと変化した。

クリスがこうなったのは国王のせいだ。

本来ならクリスは王妃になるはずだった。婚約もしていた。だが、イアンが現れたことでそれが狂ってしまった。

気が付けば国王の心はイアンに奪われていた。



社交界では同情と蔑みがいじり交じり出席することが苦痛になりだんだんと回数が減っていった。

屋敷にいても公爵から叱責されクリスの心は病んでいった。

そんな心の隙をついてきた来たのがアルバ伯爵だ。

伯爵はクリスにこう囁いたのだ。



「国王に媚薬を飲ませ、ベッドへ誘うのです」――――と・・




クリスはその提案にのり国王と一夜を共にした。

しばらくして妊娠が発覚して結婚を迫り側室へと納まった。

これでクリスの名誉は回復したかのように見えた。

生まれた子は本来なら王太子になるはずがそうはならなかった。



「今、何と・・・?」


「ダグラスは王太子にはなれぬ」


「・・・な、なぜですか?」


「王太子には正妃の子と決まっておる。それに・・・とにかく、ゆっくり休め・・」


国王は何か言いたげだったが、そう言い残して離宮から立ち去って行った。

悲しみに暮れるクリスだったが、やがて身の回りの者を伯爵に関わる者へと変えていった。

生まれた子は国王の子ではなく伯爵の子であった。

囁かれたあの日から伯爵と逢瀬をかさね、国王の子だと偽って結婚したのだ。



そして、伯爵はまた囁く―――


王妃の子が生まれても消してしまえばいい―――と・・













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