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あり得ない再会3
しおりを挟むエリオルは召喚した神子について考えていた。
初対面のはずなのにあの神子は我々の名前を知っていた。いやそれだけではない。前から知っていたようなあの口調はどういうことなのか理解不能で混乱する。
「陛下、神子はなぜ我々のことを知っていたのでしょうか?」
「それだけではない。自分の顔を見て驚いていたのもおかしい」
「あの場にいなかったダリオス様のことも知っているような素振りだった」
「陛下・・どうしますか?強制送還しますか?」
「宰相、それは無理な話だ。返したらもう召喚する魔力は残されていない。」
「そんな・・」
「今回の召喚はあいつが残した魔石を使った。我々にはもう召喚する力はないからな」
「クソッ!どうするんだ・・」
「とにかく、神子に聞くしかあるまい。」
「貴族たちとの顔合わせもある。その後で聞くのが一番いいだろう」
エリオルたちがそんな話し合いがしているともしらないオレは用意された衣装を着て時間までお茶をしていた。
「ん・・これは」
「お気づきになりましたか?これも勇者さまのお茶です」
ニコニコしながらお茶を用意してくれるのはいいが、何か居心地が悪い。それにさっきから勇者の元のオレの話しかしていないのが気になる。ここはこの国のことや子供のオレを安心させる話題とかするのが普通じゃねえのかよ?
こいつやっぱりオレの正体に気付いてるんじゃあ?
「どうされましたか?」
「ん・・・いや」
ダメだ。こいつの顔を見てたら何も言えなくなる。
気づかれないように小さく息を吐くと、これから貴族たちの顔合わせのことを考える。
あれだ、きっと色々言われるんだろうな。魔力検査もあるだろうし、下手すりゃオレの正体も見破られる可能性もあるってわけだ。ステータスだけは知られないように気をつけねえと。元勇者だと知られれば何をするかわかんねえからな。
コンコンコン───
ノックにオレの気持ちも引き締まる。
ドイルが出て対応すると、相手は護衛の騎士のようだ。
「神子さま、お時間のようです。よろしいですか?」
「ああ、行こうか」
立ち上がり、背筋をりんと伸ばす。
さあ、これから決戦と行こうじゃねえか――!
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