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あり得ない再会

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「神子さま・・」

 じーっと奴の顔を見て──

 こいつ絶対気づいてるだろう

 それを確かめたいのだが昔からポーカーフェイスのエリオルには無茶な話で真意を確かめるのは無理のようだ。

 さて、オレはここでこいつらに正体を明かすべきか否か。状況によっては隠した方がいいだろうけど、さっきこいつらの名前を呼んじまったしな。

 左手で首を掻きながらどうしたもんだか考えるが突然のことで思考がまとまらない。

 エリオスはあの時と比べたら貫禄がついたみたいだし。ルイスも体つきがよくなっているが強面なのは変わってない。ドイルは身のこなしが柔らかくなったみたいだな。さすが優秀な従者だ。コールはこの中で一番年寄りだったが髭がますます似合うようになったし貫禄もついたか。ラスは相変わらずの筋肉がすげえな。

 全員の視線っがオレに向けられ、顔が引きつる。オレが桜井雄介だと言って信じてくれるだろうか?

 それにしてもなぜ召喚されてこんな姿に?何かトラブルでも起きたのか?


「神子様・・・とりあえずお部屋にご案内しますね」
「え、ああ頼むド・・」

あぶねえ、危うく名前を呼ぶところだった。まあ、今更だけど・・

「陛下、今日は神子様もお疲れでしょうから詳しいことは明日にでもされたほうかよろしいかと・・」
「・・・わかった」

 ニコッと笑うドイルの後に続く。

 ああ、名前を名乗らなかったからきっと内心警戒しているだろうな。


 知り尽くしている廊下を歩いて行くと、侍女や使用人の視線が突き刺さる。

「・・・では」
「いや、・・・」
「まさ・・・・・も?」

 おいお前ら聞こえているぞ!

 子供だったら何なんだよ!オレだってこんな姿で召喚されるとは思ってなかったよ!ていうか、何でまたオレなんだよ!せっかく、こいつらの気持ちを振り切って帰還したっていうのに。


 そこで、はたって気づく。

 あれ、あれから何年経ってんだ?オレは帰還してからまだ1年も経ってなかった。だけど、こいつらの顔を見ればそれ以上なのは間違いない。もしかしてその辺が関係しているのか?


「では、神子様。このお部屋をお使いください」

 案内されたのはオレが以前に使っていた部屋だった。

 ドアが開いて中に入ると家具も壁紙も何もかも変わっていない。漂う空気も窓から差し込む光もなにかも以前のままで懐かしくて目を細めた。

「ここは勇者さまがお使いになってたお部屋でございます」
「・・いいのか、オレが使っても」
「ええ、あなたさまなら勇者様もお喜びになるでしょう。」
「・・・そうか、なら遠慮なく使わせてもらう」
「はい。お食事は夕刻6時時からでございますので4時にお清めと身支度をさせていただきますので、それはでゆっくりとお休みください」
「わかった・・」


 軽く頭を下げるとそのまま下がって行った。


 ベッドに倒れこむとこれからのことを考える。オレがこの姿で召喚されたのには何か理由があるはずだ。
しかも神子だなんて・・そういえばステータスはどうなっているんだ。

「ステータス、オープン」

 ピカッと光って現れたステータスを確認していくと・・


職業・・・・神子
レベル・・・10,000
魔力・・・・3,000,000
攻撃力・・・2,000,000
防御力・・・3,000,000
瞬発力・・・2,000,000
知力・・・・150,000
運・・・・・20,000


スキル
鑑定・忍耐・アイテムボックス・言語翻訳・気配探知・回復魔法・浄化

称号
異世界人・元勇者・神々に愛されし者



「ゲッ!前とそんなに変わんねえな。違うのは防御力と回復魔法とか。まあ、神子っていうんだからこうなるか・・」

気になるのは称号だ。

「神々に愛されし者って、これも神子だからか?」

  帰還するときに魔導師がもう召喚されることはないって言ってたのに、何でこうなった?
  何か、原因があるはずだが、それはエリオルに聞かねえとわかんねえか・・。

 顔を上げてじっと見つめる。小さくてまだ何の力もない子供の手だ。この手をまた血で汚すのか?

 前に召喚された時オレはまだ16歳だった。殴り合いのケンカは日常茶飯事だったが、命の関わるようなことをしたことはなかった。
 
 目を閉じてぎゅっと力を入れる。

 もう、ここに来ることはないって思ってたんだけどな・・・

 だんだんと心が沈んでいく。勇者としての殺略は思い出したくもないほど悲惨だった。
 魔族を殺しても何の感情もなく、ただ剣を振るい魔法を放つだけ。まるで心のない人形のような日常だった。


*************************

回復魔法と浄化を追加しました。
神子なのにこれがないと・・・


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