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儀式のその後
しおりを挟む王太子の儀式の翌朝―――
「・・・さま・・・クさま」
「ん・・んん・・・なに?」
寝ぼけてボーっとしているところに執事のシオンがカーテンを全開にした。窓も開けて薄暗かった部屋が一気に明るくなり心地よい風が入りこんで目が覚めた。
「目が覚めましたか?」
「え、ああ・・」
ふかふかのベッドから出るとてきぱきと仕事をこなしていくシオン。生まれたときからずっと仕えてくれている彼には随分と助けられた。
昨日も儀式でへとへとになっているオレに軽めの食事を運んでくれ湯あみも準備万端。この気遣いには恐れ入る。
「昨日はありがとう。おかげでゆっくり休めたよ」
「それはよろしゅうございました・・」
にっこりと笑みを浮かべながら背筋を伸ばしている姿は凛としていいなと思う。こっちまで清々しい気持ちになる。
「それで、今日の予定は?」
「はい。本日は婚約者のお二人と昼食を。午後からは陛下の執務室への訪問。以上でございます。」
「ん・・公務はないんだな?」
「はい、ルーク様が王太子になられたことで公務の変更がございまして今は調整中です」
用意された衣装は昨日までとは違う。青い燕尾服は違いないが昨日まではなかった銀色の刺繍が施されていた。
それを見て、実感が湧いてきた。
「本当に、オレは王太子になったんだな・・」
「ええ、ルーク様はただの王子ではございません。シャンデラ王国の王太子。次期国王陛下でございます」
さっきとは違う口角を上げるだけの笑みにオレの心が引き締まる。
「そうだな・・」
「これから、公務だけでなく王太子としての勉学にも励んでいただかないと・・」
「ああ・・」
父上との話があった日から時間に余裕があったおかげで覚悟はできた。王太子として次期国王として生きていこう。
「朝食のご用意はできております。召し上がりますか?」
「ああ、頂くよ・・」
「では、参りましょう」
静かに動き出したルークだが・・
眠っている間、王宮では大騒ぎになっていたことを
彼は―――知らない・・・
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