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真の王太子
しおりを挟む悲痛な空気に包まれる中、男爵の息子がルークに視線を移す。
「誰だ・・?」
ルークの容姿は祝福を受けたことのよって変化していた。いや変化というよりも解けたと言ったほうがいいだろう。
黒色だった髪は金色に青かった瞳は紫色になって誰が見ても別人だった。
「あれは・・王族の印の金髪・・」
「それに紫色の瞳・・」
「まさか、かれが・・?」
「王太子様なのか・・?」
ざわつく会場にと、彼の美しさに見惚れる男爵の息子。
容姿が解けて本来の姿に戻ったルーク国王の手招きにより近寄り指輪を渡した。
「うむ、これより王太子儀式に入る。皆の者よく見ておくがいい・・」
「・・・」
「ルークよ、これより指輪の試練をうけよ。」
「はい・・」
「大丈夫だ、そなたなら指輪も認めてくくれよう・・」
ニコニコしてそういうがさっきのシャルルの結末を見てしまったからには悠長にはいわれない。拒否されれば同じ運命をたどるのだから・・
「・・・」
「手をこちらに・・」
差し出した手を国王は何の躊躇もなく中指にはめていく。
ドキドキした。第三王子であるオレが王太子だと昨日初めて父上から言い渡されて緊張して眠れなかった。
魔力を吸い取られていくのをグッと耐える。これは指輪が認めるかどうかの試練だと言われた。国王である父も通った道。
大丈夫だ。オレは魔力が人より多い。シャルルが消えたのは魔力が足りなかったのが原因だろう。
みんなが見守る中ルークは指輪に試練に打ち勝とうと懸命に歯を食いしばる。
「ルーク・・」
「「ルークさま」」
婚約者候補の宰相と騎士団長が緊張した趣で見つめる。
どれぐらいたっただろうか、時間にすればほんの少しのこと。しかしルークには長い時間のように感じられた。
やがて指輪は魔力を吸い上げるのをやめると眩い金色の光を放ちルークの全身を包み込んだ。
それは会場いっぱいに広がり雪のように天井から降り注いだ。
「‥キレイ」
「すごい・・こんなんは初めてだ」
「素敵・・」
人々が感動する中、国王も満足そうにルークに微笑みかける。
「ルークよ、これがそなたの魔力の色だ」
「オレの・・色」
「ああそうだ。おめでとうこれでそなたは晴れて王太子だ」
優しい眼差しでルークを見つめる姿は国王ではなく一人の父親の顔だった。
「ありがとう父上・・」
嬉しくて涙を浮かべるルークに男爵の息子は
「嘘だ。こなの許されるはずがない。ルーク貴様どんな手を使った!」
「・・・貴様、不敬であろう」
ラルクは我慢できず剣に手をかける。
ここで切り捨てても誰も文句を言うまい。ラルクは本気で切り捨てるつもりだった。
だが、またしてもルークに止められる。
「やめろ、ラルクっ」
往生際の悪い奴だと周りも騒ぎたつ。
「うるさい!シャルルを返せ!オレの・・オレの愛するシャルルを返せええ――っ!!」
「衛兵、こやつを牢にぶちこんでおけっ!」
宰相の命令に衛兵が男爵の息子を取り囲み引きずるように連れ去って行った。
やれやれと小さく息をはくと更に国王は言葉を述べる。
「これより、第三王子ルークを王太子と認める。そして宰相のユリアスと騎士団長のラルクを婚約者とする」
うおおおおおおおお―――!!
「王太子、万歳!」
「ルーク様、万歳」
「ご婚約おめでとうございます!」
会場いっぱいが祝福の嵐となり、その後正式に世界中に発表された。
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