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銀色の腰巻き2
しおりを挟むあのバカっ!
無謀にも陛下の前で立ち上がり不敬な発言を吐いた男爵の息子にオレは焦った。立ち上がったせいで腰巻きが露わになりイヤでも国王の視線に入る。
案の定、怪訝な目つきに変わった。
「無礼者!」
護衛の騎士が素早く彼を押さえつける。
「ガハっ!・・」
床に顔を打ち付ち押さえつけられて痛みに苦しむ男爵の息子だが視線は陛下に向け、なぜ自身がこんな目にあうのかと訴えているように見えた。
シャルルもそれは同じだがここで怯んではいられないと無謀にも勝負に出る。
「陛下彼をお放しくださいっ」
それがあまりにも堂々としているので国王も驚いた。
「貴様、陛下に何て口の利き方を!不敬であろう!」
いつの間にか傍にいた宰相が激高した。彼の名はユリアス若くして宰相に就任に国を陛下を支えている重要な人物の一人であり、まだ公表されていない王太子の婚約者候補とささやかれている。
金髪に近いクリームがかった長い髪に青い瞳、整った顔は貴族にも平民のも人気が高く憧れの存在だった。
それはシャルルも同じで宰相の美貌に睨まれているのも関わらず見惚れていたくらいだ。
男爵の息子の無謀な行動にも呆れたがシャルルの行動はもっとダメだった。
あいつの処刑は決定だな。
本来ならこのまま拘束され牢屋に入れられるのだが、国王は男爵の息子がつけている腰巻きに興味を持った。
「よい・・」
「しかし・・」
「そなたに聞きたいことがある・・」
やった!陛下が興味を示してくれた。
計画がうまくいきそうだと感じたシャルルはそれが破滅への入り口だと気づかず歓喜する。
「はい・・なんなりと」
騎士から解放されシャルルの隣に跪く男爵の息子も同じように歓喜した。
これでオレはシャルルの婚約者になれる、と―――・・
「そなたの腰巻きだが、どこでそれを手に入れたか正直に述べよ」
シャルルは陛下の質問に、待っていましたとばかりに男爵の息子を差し置いて大きな声でハッキリと答えた。
「これは先祖から託された物です・・」
「先祖・・?」
「はい、実家の荷物整理をしていたところ埃をがぶった箱の中から発見しました」
その言葉を聞いて驚愕するルーク。
あの腰巻きはそんな簡単に手に居られる物じゃない。
先祖から託されたなんてあり得ないのだ。
その考えは国王も同じで見た目はわからないが、内心怒りの嵐だった。
「・・・・ふむ。事情はわかった。確かめたことがあるからそれを見せよ」
男爵の息子は慌ててそれを外し宰相に手渡した。
ドキドキしながら見守っているのはシャルルだけではない。この場にいる全員が同じ気持ちだった。
ただ一人、ルークを除いては・・・
あんな嘘をなぜついた?何か勝算はあるのか?
国王が手渡された腰巻きに手をかざし魔力を解析する。
ルークに渡す前に付与魔法をかけておいたそれを確認するためだ。
国王の手から青白いオーラが出てすぐに消えた。
「・・やはりそうか・・」
「陛下・・?」
国王が何をしているのか理解できていなかったシャルルは首を傾げた。
「これは世が息子に送った物だ」
誰もが予想しなかった国王の言葉に人々は驚愕した。
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