7 / 9
7. 五日目②
しおりを挟む何だかよくわからないけど、木村のウソが発覚してよかった。
でも、何であんなウソをついてたんだろう?
ざわつく教室に戸惑っているとドアが開いてゾロゾロと人が入って来た。
あ、東吾とじいちゃんだ。
「何の騒ぎだ…?」
眉間にしわを寄せるじいちゃんにクラスメイトたちが説明する。
「騒いですみません。理事長こいつに見覚えはありませんか?」
「ん…?なぜそんなことを聞く?」
事情がわからないじいちゃんは素直に疑問をぶつけると…
「実は、こいつがあなたの孫だと言ってたんですが…違いますよね?」
「何だとっ!この生徒が私の孫だと?」
話し方からして、孫ではないと確信したクラスメイトは冷たい視線で木村を睨みつけた。
「やはり、違うのですね?」
「ああ、ちがう。私の孫は涼介だけだ」
決定的な証言を得て木村はガタガタと震え出した。
「お、お終いだ…何もかも…うわあああああっ───っっ!!!」
急に叫び出し教室から逃げようとしたが、不思議なことに何もないところで誰かに足を掴まれてすっ転んだ。しかも、頭から……
「ゲッ!」
「何やってんだ?」
「何もないところで転んだように見えたけど……」
「その生徒を拘束しろ…」
テキパキと指示をしていく理事長に東吾は黙ったままみていた。
「イスに縛り付けておけ」
「ハっ!」
「離せっ!離せよぉおおおお──っ!」
ジタバタ暴れるがSPの拘束が簡単に外れることもなく、木村は泣きわめくだけだった。
そこへ、校長が慌ててやって来た。
「こ、これはどういうことですか?」
汗をタオルで拭いながら理事長を責めるが、拘束されている木村を見てギョッとする。
「こ、宏太っ!」
「あ、親父!」
「えっ!親父?」
「木村って校長の息子だったのか?」
ここで発覚した驚愕な事実に、慌てふためく校長。
「ば、バカ者!それは秘密だって言っただろうがっ!」
自爆ともいえる失態に校長の顔色が青くなる。
「ほぉ…私の孫だと偽っただけでなく、その正体は校長の息子だったというわけか…」
誰が見てもわかるほど凍るような冷たい視線の理事長に校長は『ひっ』と悲鳴をあげて尻もちをついた。
こんなはずじゃなかったのに…どうしてこうやった?
宏太を偽の孫に仕立て上げて騒ぎを起こして理事長退任させる計画だったのに…
どこで計画が狂ったんだ?
イスに拘束されている息子を見ると、情けない顔で助けを求めているのが、丸わかりで腹が立った。
息子といっても今の妻の連れ子で血のつながりはない。それどころか何度も面倒事を起こして頭痛の種だった。
この状況を作ったのはこいつであって、見捨てても何の問題もないはずた。
でも、どうやって?
何を言えばいい?
思考がごちゃごちゃになって何を言えば正解なのかわからなくなり、手足が震えるだけだった。
何も答えない校長にしびれを切らした理事長はため息をついた。
「校長、君の弁明は後で聞かせてもらおう…」
そう言い捨てて教壇に立つ理事長にクラスメイトたちに緊張が走る。
「さて、邪魔が入ったが、先日起きた転落事故について君たちが知っていることを話してもらおう…」
「───っ!」
思いもしなかったその言葉に戸惑うクラスメイトたち。
そして、それは僕も同じだった
転落事故───って…
───何のこと?
42
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説

嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話
あめ
BL
何度も殺されては人生のやり直しをする第二王子がボロボロの状態で今までと大きく変わった7回目の人生を過ごす話
基本シリアス多めで第二王子(受け)が可哀想
からの周りに愛されまくってのハッピーエンド予定

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。


なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる