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2. 一日目②
しおりを挟む幼馴染みの登場に気持ちが一気に浮上するが、彼は機嫌が悪いようで誰も寄せつけないように威嚇して壁を作った。
それに気づいて落胆する。
彼もみんなと同じなのかと……
いや、たんに僕に気づいてないだけかもしれない。だって、彼の席とは離れていたから。僕の席はグランド側の一番後ろ。それに対して彼の席は廊下側の一番前。何かきっかけがない限りこっちを見ることはない。だけど、気分は軽くなった。
もう少しこのままでもいいか。
そう思えるほどには……
先生はため息だけをついて何事もなかったかのように授業を再開する。
彼の様子はここからじゃよく見えないが、机に突っ伏して寝こけているのか背中だけが確認できた。
声をかけてもいいんだろうか?
会えたのが嬉しくて迷ってしまう。
でも、みんなと同じように拒否されたら……それが怖くて体が動かなかった。
あれから何事もなく授業が進み昼休みになった。チャイムが鳴ると同時にみんなは昼食を求めて走って行く。ここは食堂があるけど、全員が座れるほど広くはない。だから毎日争奪戦になる。あぶれた者は売店へと流れるが、あっという間に売り切れるので、近くのコンビニが繁盛していた。僕もいつもそうしていた。だけど、今日は弁当があるのでそれを持って屋上へ上がって行くと帰って行く彼の後ろ姿が目に入った。
「やっぱり帰っちゃうんだ…」
後悔先に立たずとはこのことだと心底思った。
美味しいはずの弁当は一切味がしなかったが、無理に押し込んで完食した。
見上げる空は真青で雲ひとつなくて、ふく風が心地いい。今の僕に起こっている現状がウソだったらいいのに…と、夢だったらいいのに…と神さまに願いたくなった。
午後からの授業はぼんやりとしていてよく覚えていない。
気がつけば…誰もいなくなっていた。
空が真赤になっていて、感傷に浸りながら教室を後にした。
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