嫌われものの僕について…

相沢京

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1. 一日目

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 教室のドアの前で、僕は固まったまま中に入れずにいた。息があがり汗がダラダラと流れ心臓の音がうるさくて体の震えが止まらない。
 一歩…一歩だけでいいから…とその言葉が頭の中をかけめぐるのに、足が動かない。
 その間に何人ものクラスメイトが横をすり抜けて行く。このままじゃダメなのはわかっているけど、足がどうしても動いてくれない。情けなくて涙がこぼれるけど、こんな僕に声をかけてくれる人は誰ひとりいない。

 何が原因だったのか僕にはわからない。


 そう…僕は───
 クラスメイトから嫌われていた


 最初はシャーペンがなくなり、次はノートがなくなった。どこかに置き忘れたのかなと安易に思ったけど、教科書がなくなったことで嫌がらせだと気づいた。
 あっちこっち必死に探したらゴミ箱の中からボロボロになっているのが見つかった。
 ショックだった…誰がなんのためにこんなことをと…頭の中がグルグルした。
 誰かに相談しようにもそんな相手はいなくて途方に暮れた。それがいけなかったのか相手が調子にのった。
 上靴に入っていた画鋲でケガ。机の中にあった教科書の間に隠していたカッターの刃て指を切って四針縫った。他にも色々されたけど犯人が誰なのか心当たりもなくて、段々と僕の心は不安定になっていった。そんなある日決定的なことが起きた。教室に入ったら僕の机に一輪挿しで菊の花が置かれていたのだ。
 クスクスと笑う声に僕の心は限界だった。悔しさと怒りでごちゃまぜになって花瓶を掴むと床に叩きつけた。
 シンと静まったかと思ったら非難轟々の嵐に我慢ができず教室を飛び出した。






 そんなことがあって一ヶ月。試験が近いなり仕方なく今日登校したのだ。
 心療内科に通院したかいがあってこの頃にはだいふ落ち着いたけど、現場に立つとやはり違う。何度も深呼吸してやっと中に入ることができたのは三十分もたってからだった。

 中に入るとまだ花が置かれていてムカつくけど、まだ席があることに安堵した。もしかしたら片付けられてないかもしれないと思っていたからだ。あんな嫌がらせをしていたのだから、そうなってもおかしくないと思っていたから意外だった。
 
 席について小さく息を吐きながら周りを見渡すと誰も僕と視線を合わそうとしないことに気がついた。ああ、やっぱりまだ嫌がらせは続いているんだ。でも心なしかみんな顔色が悪いように見えるのは気のせいだろうか?まあ、どうでもいいか…僕には関係ないことだ。
 それよりもテストが終わると長い夏休みが始まる。ボッチの僕には退屈だけど学校に行かなくて済むし嫌がらせをされなくて済む平穏の日々が訪れる…待ち遠して何だか楽しくなった。

 そうこうしていると授業開始のチャイムが鳴った。







 色んな感情が渦巻く中、授業が始まってすぐに違和感を抱いた。
 久しぶりに登校したのだから、声をかけなくても視線ぐらいこっちに向けてもいいはずなのに……
 

 明らかにこっちを見ているのに視線が合わないなんてことがあんるだろうか?

 まさか───先生も加担しているのか?

 今目の前にいるのは担任の先生だ。

 他の先生ならともなく、担任が!?

 いやいやそんなはずはない…と、信じたい。過敏になっているだけだと……

 でも、もしかしたら?

 心がズンズンと重くなっていく。やっぱり登校したのは間違いだったんだ。
涙がこぼれそうになるのを必死で我慢してうつむく。

 帰ろう…

 そう思った時、突然ドアが乱暴に開いた。

 視線が全てそっちに集中すると同時にみんなの顔が強張った。

 ギロリと睨みつけるのは、一人の生徒だか顔には痛々しいガーゼと絆創膏が貼られ左腕はギプスで固定されていた。




『東吾─!』

 僕の幼馴染みがそこにいた











































































































































 
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