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暗躍2
しおりを挟む「はあ~お母さまも無茶なことをされる・・幻影魔法でおびき出すって、それでうまくいくのか?」
頭をシーツに押し込んでこれからのことを考える。
もし、相手が幻影魔法に気付いたらどうなるんだろう?あの魔法は集中力がいる。その時にお母さまが襲われたら防げないよな?まあ、アリアもハインツもいるから大丈夫だと思うけど・・ああ、でも気になるっ!
コンコンコンコン――!
部屋のドアがノックされて思考が戻される。
「はい、誰?」
「オレだ、・・」
「お母さま?」
え、ちょっと早くないか?後で行くって聞いてたけど。まさか罠ってことはないよね?
慎重にドアの向こうの気配を探ってみたら不意にドアが開いた。
「へっ!」
「――あっ」
声が出たのはおそらく同時だったと思う。不意打ちを食らったオレは体制を崩して床に尻もちをついた。
「――っ!」
頭は打たなかったけどお尻の痛さは本物で・・
「いっ痛あぁーっ!」
「おい、大丈夫か?」
心配そうに覗きこんでいるお母さまの顔があった。
「はい・・ううっ」
手を貸してもらい立ち上がると背中やお尻を払ってくれる。
「お母さま、早かったですね?」
「ああ、転移を使ったからな・・」
苦笑しながら、そう答えてくれる。どんなバカをやってもお母さまだけはオレたちの味方でいてくれる。もちろん間違った時は叱られるけど、そんなお母さまがオレたちは大好きだ。
ソファーに座りるとお母さまは正面に膝をつき真剣な表情でオレに話しかけてきた。
「リオス、今回の作戦にお前たちを巻き込んですまない。怖いかもしれないが大丈夫だ。オレがお前たちを守るから安心しくれ・・」
頭を撫でられて何だか落ち着く。
「お母さま・・」
「リオス・・・・」
ギュッと抱きしめられて心がポカポカしてきた。
「はい、お母さまを信じてます」
「うん、ありがとう。よし、じゃあ食事にしよう」
「はいっ!あ、ルナは?」
思い出してしまったと思った。ルナはオレよりもお母さまが大好きで、世間でいうならマザコンである。オレがこんな風に甘えたと知ったらきっとヤキモチを焼くに違いない。
「ああ、大丈夫だ。先に行ってきたから」
「・・・・・ホント、よかった・・」
さすがお母さまよくわかっていらっしゃる。それを聞いて今度こそ食堂へと向かったのだった。
そして、その日の深夜―――作戦は決行された。
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