上 下
74 / 87

お披露目会での襲撃2

しおりを挟む


「バケモノだなんて失礼ね!」


バケモノ扱いされて怒ったルナはお返しとばかりにファイヤーボールを放つ。

規模は小さいが赤と青が入り混じった炎は威力は大きく暗殺者を襲い包み込んだ。

「ぎゃあああああ―――っっ!!」

あっという間に炭消しになり骨も残らなかった。

「相変わらず、ルナのファイヤーボールの威力は凄いな・・・」
「フフフ・・ありがとう」

二人を襲った暗殺者は炭消しと氷漬けになり、全てが終わってから飛び込んできたのはアランだった。

「リオス、ルナ!無事か??」

急いできたのがわかるほど、アランの髪は乱れ額からは汗が流れていた。

「お母さまっ!」

アランの胸に飛び込んだルナは顔を押し付けぐりぐりと頭をこすりつけた。

「ルナ、大丈夫か?」
「はい・・」
「リオスは?」
「大丈夫ですよ」

二人の体を触ってケガがないことを確かめるとホッとしたのか床に膝をついて座り込んだ。

「よかった。護衛が二人が居なくなったと聞いて焦ったぞ。しかしなぜこの部屋にいるんだ?控室は反対方向だぞ」
「えっ?」
「あの、オレたちはこの部屋に案内されたんだけど・・」
「何だと!それじゃあ・・」

考え込むアランに顔を見合わせる二人。これはつまり・・

「その案内した奴の顔を覚えているか?」

真剣な顔に二人は思い出そうとするが顔がぼやけて思い出せない。

「思い出せません・・」
「私もです・・」
「・・・思い出せないってことは隠密魔法か・・」
「それって、相手に顔を認識させないというあの魔法ですか?」
「ああ、そうだ。手がかりはなしか。でも、二人が無事でよかったよ」

ギュッと抱きしめられて二人は嬉しくて笑みを浮かべる。

「お母さま、お父様に報するんですか?」
「ああ、もちろんだ」

二人を隠密魔法で連れ出し暗殺しようとしたことが許さなくて怒りが湧く。
だが、問題はそれだけじゃない。壁の向こうにいる貴族たちも巻き込もうとした行為はアランたちを罠にはめようとしたとしか思えなかった。

一体誰がそんなことを?
思い当たる人物がいないことはないが、こんなことをしても無意味なのは奴らが知っていることだ。

「さあ、行こう。みんなが待っている」

「「はい」」

二人の背中を押して部屋から出ると護衛の二人がホッとした顔になった。

「王子、王女、護衛できずに申し訳ありません」

片膝をついて頭を下げる二人にアランは眉をしかめるが連れ出された後ではどうにもできなかっただろう。

「次はないからな・・」

低い声で睨みながらそう告げたアランに護衛の二人は身を引き締める。

「はい!この身を引き裂かれてもお二人をお守りします」

騎士の誓いを言われてもと二人は思う。
自分たちのほうが強いんだけどなあ――と・・
実際あの場に護衛がいてもどうなっていたかわからない。倒せたかもしれないかもしれないがそうではないかもしれない。
暗殺者の属性は風と火だったおかげで倒すことができた。
だが、もし雷だったら?
重力だったら?

たぶん、倒すことはできずに殺されていたかもしれない。

格下の相手でも油断は禁物よ!

アリアの言葉が頭に浮かぶ。

まあ、5歳でこの実力なら敵う相手はきっと身内だけだろうけど・・



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【BL】水属性しか持たない俺を手放した王国のその後。

梅花
BL
水属性しか持たない俺が砂漠の異世界にトリップしたら、王子に溺愛されたけれどそれは水属性だからですか?のスピンオフ。 読む際はそちらから先にどうぞ! 水の都でテトが居なくなった後の話。 使い勝手の良かった王子という認識しかなかった第4王子のザマァ。 本編が執筆中のため、進み具合を合わせてのゆっくり発行になります。

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移要素はありません。

婚約破棄されたから伝説の血が騒いでざまぁしてやった令息

ミクリ21 (新)
BL
婚約破棄されたら伝説の血が騒いだ話。

顔だけが取り柄の俺、それさえもひたすら隠し通してみせる!!

彩ノ華
BL
顔だけが取り柄の俺だけど… …平凡に暮らしたいので隠し通してみせる!! 登場人物×恋には無自覚な主人公 ※溺愛 ❀気ままに投稿 ❀ゆるゆる更新 ❀文字数が多い時もあれば少ない時もある、それが人生や。知らんけど。

からっぽを満たせ

ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。 そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。 しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。 そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

気にしないで。邪魔はしないから

村人F
BL
健気な可愛い男の子のお話 , , , , 王道学園であんなことやこんなことが!? 王道転校生がみんなから愛される物語〈ストーリー〉 まぁ僕には関係ないんだけどね。 嫌われて いじめられて 必要ない存在な僕 会長 すきです。 ごめんなさい 好きでいるだけだから 許してください お願いします。 アルファポリスで書くのめっちゃ緊張します!!!(え) うぉぉぉぉぉ!!(このようにテンションくそ高作者が送るシリアスストーリー💞)

無気力令息は安らかに眠りたい

餅粉
BL
銃に打たれ死んだはずだった私は目を開けると 『シエル・シャーウッド,君との婚約を破棄する』 シエル・シャーウッドになっていた。 どうやら私は公爵家の醜い子らしい…。 バース性?なんだそれ?安眠できるのか? そう,私はただ誰にも邪魔されず安らかに眠りたいだけ………。 前半オメガバーズ要素薄めかもです。

処理中です...